【総解説】キングダム 63=「平陽戦」の激戦地・影丘を飛信隊征す

中国の春秋戦国時代の末期、戦国七雄と呼ばれる七カ国同士の攻防が続く中、中華統一を目指す秦王「嬴政」と、戦争孤児の下僕から、天下一の大将軍を目指す「信」が、ともにその夢の実現を目指していく歴史大スペクタクル「キングダム」シリーズ第63弾を総解説します。

前巻でいよいよ中華統一へ向け、宿敵・趙へ進軍した桓騎軍に加わった飛ぶ信隊だったのですが、桓騎軍は趙の首都防衛に専念し、王都の守護神と呼ばれていた扈輒軍によって押され気味です。なかでも、崖に取り囲まれた「影丘」を攻めていた王賁の玊鳳隊は壊滅状態になっているのですが、援軍にかけつけた飛信隊の怒涛の攻撃が展開されるのが本巻です。

あらすじと注目ポイント>「平陽戦」の激戦地・影丘を飛信隊征す

構成は

第680話 お頭の伝言
第681話 強靭な力
第682話 崖上の攻防
第683話 バカ親子
第684話 奇襲の別働隊
第685話 断罪の時
第686話 桓騎の狙い
第687話 痛み
第688話 動きの勝負
第689話 最大の娯楽
第690話 予定通り

となっていて、まずは、平陽で趙の扈輒軍と対峙している桓騎軍本体の様子が描かれます。扈輒軍の中央軍・虎白公は桓騎軍の中央を分断し、個別な殲滅戦をしかけてきます。こうなると、もともとが戦利品目当てに集まっている盗賊の集まりでもある桓騎軍の結束は弱く、あちこちで戦列から離脱する武将が増えてきます。

その中で、オギコが桓騎の秘密の伝言を伝えてくるのですが、これが何なのかはこの巻ではまだ明らかにならないのですが、いつも策略を秘める桓騎が何かを企んでいることは間違いありません。

そんな折に、趙軍の左翼の龍白公という武将の息子が雷土軍に捕獲されます。雷土はこの息子を惨殺し、救援にかけつけた龍白公も血祭りにあげるのですが、トドメをさすのに時間をとられているうちに、攻め込んできた趙軍の捕虜となってしまいます。ここで、趙軍の総司令官・扈輒による、桓騎の秘策を聞き出すための拷問が待っているのですが、雷土は、桓騎の真意に気付き、いままでの「盗賊」っぽい言動とは裏腹に「お頭・桓騎」へ殉ずることとなります。

一方、影丘を攻める飛信隊のほうは、王賁のアドバイスによる攻略地にたどり着くのですが、そこは想像を絶する崖です。

そして、その中でも敵もまさか登ってくるとは想像もしていない「オーバーハング」の崖を、飛信隊の歩兵のすさまじい気迫と鍛え上げられた強靭な力でついに登攀に成功します。そして、そこを足がかりに、崖上の「狩り場」と称している登りやすい平場の趙軍に穴をあけ、そこから信率いる騎馬隊が突入していきます。ここから、劣勢一方だった影丘の戦いで、秦軍への光明が見え始めます。

ここで信の前に立ちはだかるのが、巨大な棍棒と体術を使う趙の右翼の主軍の「岳白公」軍が、飛信隊と激突するのですが、ここで伏兵として玊鳳隊の別働隊として別方向から崖を登ってきていた亜花錦の騎馬隊が出現します。趙軍を飛信隊と亜花錦の騎馬隊で挟撃する中、信と岳白公と彼の近衛師団・閃叫隊との対決が始まります。

月刀と体術を駆使してくる岳白公との一騎打ちの迫力あるバトルシーンは第689話でしっかり描かれていますので、詳しくは原書のほうで。

この岳白公との決戦の行方が「影丘」攻防戦の勝敗を左右することになっていきます。

Bitly

レビュアーの一言>岳白公の「侵略者」よばわりへの信の回答は?

「キングダム」自体が、秦側から描かれているので、信たちに感情移入してしまうのですが、この戦争は秦による「中華統一」を行う戦争で、攻め入れられる趙にしてみれば、中華統一の理念はどうあれ、秦の「侵略戦」であることは間違いありません。
そして侵略戦争を仕掛け、その快楽に浸りきった者の息の根を止めることが自分のとって最上の”快楽”だとし、

と主張する岳白公に、信がどんな反論をしていくのか、詳細は原書でお確かめいただきたいのですが、管理人的にいうと、変革による痛みを許容するか、穏やかな停滞を選ぶかといったところでしょうか

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