麗華と勇は、新京で中国有名女優を解放後、新市場「ハルピン」へ向かう=門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」3・4

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」、革命政府に対立する無法組織「ロシアン・マフィア」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第3弾から第4弾。

前巻までの「奉天篇」で、日下勇のつくる高濃度アヘンを売りさばく輸送網を確保するため、満鉄の内部に基盤をつくりあげた「麗華」たちだったのですが、さらに商圏拡大のため、「満映」を利用しようとする「新京篇」と、ロシアン・マフィアとの対立の始まる「哈爾濱」篇が開始します。

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第3巻のあらすじと注目ポイント

第3巻の構成は

第十七話 代役
第十八話 ヒロイン
第十九話 快楽
第二十話 犠牲
第二十一話 中毒者
第二十二話 人間の本質
第二十三話 火の車
第二十四話 決死の取引
第二十五話 囮
第二十六話 プロパガンダ

となっていて、第二巻の後半で日本人でありながら、軍の宣伝のため中国人と偽らされている満州映画協会(満映)の有名女優「李姚莉」を、新京で開催されている​​新作お披露目パーティーの会場から脱出させた勇たちだったのですが、満映を裏で支配する青幇の男たちが彼女の捜索を始めます。彼女を保護するよう麗華に命じられた勇は青幣に奪還された彼女を救おうとその本拠へ乗り込み、新京を任されている青幣の中ボス「針使い」の周と対峙します。

一方で、麗華は行方不明になった李姚莉の代役になると自分を売り込みます。彼女の目的は女優としてデビューすることではなくて、勇の精製したアヘンを使って、満映を支配すること。
麗華は、二枚目俳優の池山を筆頭に次々と満映関係者を中毒者にしていくのですが、その狙いは、麗華や勇のブラックな商売の広報をするための「李姚莉」を使った企みなのですがそれは・・というところは原書のほうで。

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第4巻のあらすじと注目ポイント

第4巻の構成は

第二十七話 阿片王
第二十八話 それぞれの道
第二十九話 逃がし屋
第三十話 次なる地
第三十一話 犬の生き様
第三十二話 火種
第三十三話 大観園
第三十四話 皇帝
第三十五話 地獄の楽園

となっていて、冒頭では麗華の父である青幇のボスの一人「杜月笙」と、関東軍にも影響力を持つ日本人阿片王「里山」との会談から始まります。里山はジャーナリストから転身し、満州における軍の広報、慰撫、宣伝を関東軍から引き受け、さらに軍の諜報資金を生み出すため、阿片売買を一手に握ったといわれる「里見甫」をモデルにしていると思われます。
彼らは「阿片ビジネス」の独占を維持するため、それを脅かす、勇の「真阿片」と麗華の組織を潰すことを密約することとなります。

一方、新京では、麗華のビジネスをコマーシャルする映画の主人公となった「李姚莉」こと山内洋子に、この地域の青幣の中ボス「周」の追跡の手が伸びてきます。日本へ帰ろうとする彼女を奪還しようとする周が襲撃してくるのですが、取り囲まれる勇や麗華の危機を救ったのは、なんと関東軍の憲兵隊伍長・長谷川に命じられて勇を追っている熊田監督官。追跡者の一人によって勇たちは窮地を脱出することとなります。

中盤からは「哈爾濱(ハルピン)」篇が始まります。新章の冒頭では、中国人勢力とロシア人勢力とが鎬を削るハルピンで、逃亡を請け負う商売をしている「逃がし屋・キリル」の様子がまず描かれます。「哈爾濱(ハルピン)篇」では彼がメインキャストの一人となってきます。
プロフィールを少し紹介しておくと、もともとはソ連のスターリン政権下で諜報と秘密警察を担当した「NKBD(内務人民委員部)」に属する兵士だったのですが、粛清されようとする女性・ナターシャを救い出すために、部隊の隊長を射殺して、この極東のハルピンへ逃れてきた、という経歴です。このため、革命政府によって肉親を殺されている白系ロシアの人々からはハブられている境遇です。

他方、新京で新しい商圏を獲得し、一旦、根拠地の熱河に帰って作戦を練り直し、共産革命に追われ、白系ロシア人の流れ込んでいる「哈爾濱」を次の標的地に定めた麗華たちだったのですが、同時期に彼女の父「杜月笙」は、関東軍から自らの闇ビジネスの主導権を守るため、新京で麗華たちに煮え湯を飲まされた「周」に麗華たちのビジネスを潰すよう命じ、東洋のモスクワと呼ばれる「ハルピン」で再び戦いの火蓋が切られることとなります。

そして、ハルピンに潜入した麗華たちは、ここで自らの商圏を広げるため、ハルピンを裏で支配している「青幇」と「ロシアン・マフィア」とを噛み合わせようと画策します。
ここで麗華と勇は、青幇によるロシア正教会の神父殺害に巻き込まれたところで「逃し屋キリル」に助けられ、リンとバートルは青幇のハルピンでの根拠地「大観園」へ乗り込んだところで、ここに住んでいる孤児をまとめている「閻馬」と出会うことになるのですが・・という展開です。

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レビュアーの一言

麗華や勇が「満映」を集中にするため暗躍する「新京」は、現在は中国人民共和国長春市で、当時は清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀が満州国執政となる就任式の行われた満州国の首都となった都市ですね。このため、日本人の移民や企業投資も多く、1932年当時、13万人だった人口も、1944年には85万人を超える大都市に発展しています。

ちなみに、2022年3月17日に「秘密のケンミンSHOW極」で紹介された、唐辛子とにんにくの効いた味で、台湾ラーメンと並んで、愛知県や岐阜県の名物である「ベトコン・ラーメン」の発祥の店といわれるのが愛知県一宮市にある「新京」です。

このお店の「ベトコン・ラーメン」は、新京の生まれの初代店主が、当時、その原型となるソバで新京の店で食べたものが原型にあり、オイルショック後に始めた中華料理店で雇っていた調理人さんがつくったラーメンがそれを思い出す味だったので賄いで食べていたものらしいです。唐辛子とにんにくの味が疲れたときに元気をつけてくれると、お客さんに出したところ好評で、現在のような全国メニューになっていったようですね。

「ベトコン」の由来はニンニクと唐辛子のパンチのある味で「ベスト・コンディション」になれるというものと、店のメニューにのぼった当時、ベトナム戦争の最中で、アメリカ軍を悩ましていた「ベトコン・ゲリラ」のたくましさにあやかった、という2つあるようです。

ここらへんの経緯やベトコンラーメンのレシピの情報については下記にまとめておきましたので、興味のわいた方はどうぞ。

「ベトコンラーメン発祥 新京」のお店のHP

メシ通『東海住みなら知らぬ者はいない「ベトコンラーメン」とはなんなのか

中日新聞 おうち名古屋めしの教科書『「名古屋めしラーメンの定番! ベストコンディションになれる「ベトコンラーメン」のレシピ

ネットにはベトコンラーメン・レシピはこれ以外にも「ベトコンラーメン」で検索するとたくさん出ています。

Youtubeのベトコンラーメンレシピ一覧

クックパッドのベトコンラーメンレシピ12選

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