関東軍憲兵隊からリンとクワンを救出せよ。=門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」9・10

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第9弾から第10弾。

前巻までで、ビジネスの範囲を広げるため、ハルピンで中国マフィア「青幇」とロシアン・マフィアを噛み合わせて、双方の勢力を削り合わせようとして重傷を負った麗華。彼女の治療のためにやってきた吉林で、満州旗人たちにビジネス・ターゲットを広げようとしたところで、彼らを追う関東軍憲兵隊の追及の手が伸びてきます。

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第9巻のあらすじと注目ポイント

第9巻の構成は

第七十三話 急襲
第七十四話 囚われ
第七十五話 スカベンジャーの娘
第七十六話 ノーマン・バーチ
第七十七話 闇医者の誕生
第七十八話 地獄の拷問
第七十九話 薬瓶
第八十話  脱出の覚悟
第八十一話 誤解
第八十二話 始末

となっていて、関東軍憲兵隊の長谷川伍長に捕縛されたリンとクワンから勇たちの行方を聞き出すために、尋問が始まります。長谷川は拷問の専門家であるらしく、彼がリンに使う拷問具は「スカベンジャーの娘」の改良前の型。人間の体を固定して、体内の血液の流れを悪くしてエコノミー症候群を人為的に起こす拷問具ですね。ネット(私立電脳拷問図書館「スカベンジャーの娘」)で調べてみると、15世紀から16世紀にかけてのヘンリー八世の時代(こざき亜衣さんのマンガ「セシルの女王」の時代ですね)にロンドン塔に勤務していたスカベンジャー中尉が開発したもののようですが、実際に使用された記録はあまり残っていないようです。まあ、拷問の使用記録なんてのは秘密のままにしておかれるものなのでしょうが・・。

そして、クワンのほうは、彼女の「過去」をターゲットにした心理的な拷問です。ここで、吉林の下級旗人であったクワンが父母の死後、弟との生活を支えるため身を売ろうとして客に刺されて重傷を負ったところを「ノーマン・バーチ」という貧しい人々を無料で治療しているカナダ人医者に助けられるといった回想シーンが挿入されます。クワンは彼の助手として医学を学び、彼の診療所を引き継いだ、という設定ですね。

日本軍に連行されたバーチの行方をネタにクワンを攻めるのですが、それが効果が薄いとみると、満州旗人街で麗華たちに利用されていた「ハオ・ティエン」を連行してきます。実は彼は・・という筋立てで、長谷川伍長たち憲兵隊の厳しい拷問にさらされるリンとクワンの運命は、という展開です。

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第10巻のあらすじと注目ポイント

第10巻の構成は
第八十三話 一歩も退くな
第八十四話 封鎖
第八十五話 検問
第八十六話 最悪のタイミング
第八十七話 再会
第八十八話 銃撃戦
第八十九話 カー・チェイス
第九十話  突破口
第九十一話 巨体の守護者
第九十二話 跳躍

となっていて、「スカベンジャーの娘」による拷問で瀕死の状態になった「リン」は、長谷川の部下である「凡」によって、死体置場に放置されます。上司である長谷川はリンにとどめをさすよう命じたのですが、若死にした自分の妹の思い出が甦り、リンは彼に救われたことになります。

一方、バートルとキリルは、クワンの患者たちを扇動して武装させ、警察本部に乗り込みます。

そして激しい銃撃戦で奪還したクワンを任せ、リンや彼女を死体置場から救出した勇や麗華をピックアップし、追ってくる長谷川伍長の車とのカーチェイスと、道路封鎖をする憲兵隊との間のバトルが始まるのですが、詳しくは原書で。

この巻の最終盤で、満州人の闇医者クワンがメンバーに加わり、日本人、中国人、モンゴル人、ロシア人の今までのメンバーと合わせて五つの民族が集まるパーティーができあがります。

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レビュアーの一言

闇医者クワンに医学を教えたノーマン・バーチのモデルはカナダ人外科医で、延安で医療活動に従事したノーマン・べチューンと思われます。
彼はスペイン内戦で世界初の移動輸血システムをつくったお医者さんで、中国共産党を支援するため、中国の延安に渡ってからは、医療活動の加えて、地域の医療レベルを上げるため、医療教育に力を入れていたので、クワンのような人も実在したのではないでしょうか。

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