麗華たちは大連を出て上海進出。上海勢力との戦い始まる=「満州アヘンスクワッド」12・13

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第12弾と第13弾。

前巻で、いままで新京、ハルピン、吉林と中国東北部を中心に行っていた闇ビジネスの飛躍を図るため、大連で窓口となるエージェントを探し、「静(ジン)」という貿易商をスカウトした勇と麗華たちだったのですが、今回はいよいよ上海へ進出するのですが、そこを支配する紅幇や上海工部警察との闘争が始まります。

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あらすじと注目ポイント

第12巻 勇たちは大連を出港し、魔都・上海に潜入する

第12巻の構成は

第百三話 密告
第百四話 船旅の支度
第百五話 ガサ入れ
第百六話 出港の朝
第百七話 魔都、頂上会議
第百八話 上海上陸
第百九話 大世界
第百十話 不器用な踊り
第百十一話 社交場
第百十二話 別室

となっていて、冒頭では勇を追ってきたハルピンの青幣の生き残り「周」が大連のボス「飛龍」へ彼らの捜索と始末を依頼しています。ここで不審な動きをしているのが貿易商の「静」で、流れ者の行商人の格好で、飛龍の配下たちに、ブランド物の時計や靴を安価で売っています。そして、配下たちから不審な人物の情報を求められて、しっかりと勇や麗華たちが使われていない造船所に潜んでいることをリークしていますね。

ああ、やっぱりね、と思わせる筋立てなのですが、「静」のリークの目的は、周や飛龍がその「造船所」を襲撃し、中にいる男女を撃ち殺したところで明らかになります。周は、静から商品を買っていた男の靴のヒールに盗聴器が仕掛けられているのを見つけるのですが、周たちの情報を掴んでアジトの偽情報を流していた、というわけですね。

そして、見事に騙された周たちは、大連港から出港する船に網をはり、自分たちの船で襲おうと計画しているのですが、静はその裏をかく作戦を立てていて、という展開です。この静の悪知恵はこれだけではおさまりません。上海に上陸し、真阿片を密輸入するときにも、見事なアイデアで警察の目をくぐり抜けるのですが、その詳細は原書のほうで。

そして、勇たちは無事、上海に入り込み、ビジネスに利用するコネクションをつくるため、当時、東洋最大といわれたナイトクラブ「大世界(ダスカ)」にいき、そこへやってくるセレブたちに接触を始めます。
しかし、ダンスもおしゃべりも下手な勇は「壁の花」状態でミッションは果たせそうにないのですが、そこで、クラブの踊り子「春鈴」と知り合うこととなります。彼女は田舎からでてきて、病気がちの弟の面倒をみながら暮らしを立てている娘なのですが・・という展開です。

第13巻 麗華たちの紅幇の縄張り侵食の秘策は「人」

第13巻の構成は

第百十三話 煙館の改革
第百十四話 工部警察
第百十五話 ”正規販売人”たち
第百十六話 双子
第百十七話 紅幇の犠牲者
第百十八話 戦局の要
第百十九話 魔都の機
第百二十話 上海の竜虎
第百二十一話 新聞社
第百二十二話 煙館に蠢く

となっていて、冒頭では、「大世界」で得た情報をもとに、紅幇が営む煙館(阿片窟)へ麗華たちが潜入し、煙館の支配人と接触しています。彼女の目的は「真阿片」を使って紅幇の煙館を奪って、紅幇のボスを表にあぶり出そうということですね。

そして3つの煙館を手中にした麗華だったのですが、彼女の真の目的は支配する館を増やしていくことではなく、独自の「煙館」を作り上げることです。そのために、「静」に上海の様々なコミュニティでリーダー的な役回りを演じている人々をスカウトさせるのですが、麗華の考えた「煙館」とは果たしてどんなものなのか?ということで詳細は原書のほうで。

こうした麗華の派手な行動が、紅幇や工部警察の目にとまらないはずがなく、上海の秩序を乱す動きを潰すため、麗華たちの正体をつきとめようとする動きが活発になります。これに対し、紅幇との対決を睨んで、麗華は最後の準備を進めるため上海のユダヤ人街にドイツから避難してきたマルクという少年に目をつけ、彼を新聞社のアルバイトとして就職させるのですが・・という展開です。

レビュアーの一言

この「上海シリーズ」で、紅幇と並んで、麗華たちを探している「工部警察」は上海の「工部局」の所管する警察組織という設定なのですが、この「工部局」というのは上海独特の組織で、もとは上海開港後、外国人たちが道路や埠頭を建設するための基金を集めた委員会に起源をもつ上海市参事会(上海市議会)の下部機関で、行政機能だけでなく、警察、教育、図書館など13の部局をもつ強大な機関となっています。
上海租界は中国内にありながら、「国の中の外国」という位置づけでしたので、今回登場した王梓督警部の実質的な権力も相当なものであったろうと推測されます。

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