麗華はビジネスの世界展開を狙って大連へ進出=門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」11

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第11弾。

前巻でハルピンで負った傷の治療のために訪れた「吉林」の満州旗人たちから大量の金品を巻き上げたのですが、彼らのビジネスを潰そうとする関東軍との抗争の末、なんとか逃げ切った麗華と勇たち。体制を整え、新たなビジネス・フロンティアに向かう準備をするため、芥子栽培の本拠地・熱河に帰るのですが、ここにある大物が訪ねてきたことから、新たな展開が始まります。

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あらすじと注目ポイント

構成は

第九十三話 来訪者
第九十四話 旗人の誇り
第九十五話 嵐の後に
第九十六話 旅支度
第九十七話 潜入と暗号
第九十八話 大連前夜
第九十九話 港町・大連
第百話   ビジネスマン
第百一話  荒波をまつ者
第百二話  金体泰

となっていて、熱河で帰ってきた麗華や勇たちを訪ねてやってきたのは、関東軍と共謀して満州のアヘン取引を仕切る、通称「阿片王」と呼ばれている「里山柾」です。彼は、今後始まるであろう世界大戦を前に、勇の精製する「真阿片」を手に入れて、闇ビジネスを牛耳ろうという魂胆ですね。この里山の申し出に対し、勇の答えは・・というのが前半部の一つの山です。

そして結束を固めた麗華、勇、リン、バートル、キリルのチームに正式に、吉林で知り合った闇医者「クアン」が加わります。彼女は、麗華たちから高額な報酬をせしめて、貧乏人を治療する「大病院」をつくることを次の目標とするのですが、その一方で、吉林に残った彼女の弟、ハオ・ティエンには過酷な運命が待っています。

中盤からは、休養を十分とり、吉林までのビジネスをの報酬を山分けしたメンバーに対し、麗華が次の目標を告げます。
それは満州を出て、ビジネスのエリアを世界中に広げること。これまでで関東軍とと派手に戦い、「阿片王・里山柾」のオファーを断ったことから、満州でのビジネスが厳しくなると見込んでのことですが、それは同時に、敵の数も今までとは比べようとないほど増えるということです。これからさらにバトルが大きくなるのを予測させる展開ですね。

しかし、そのためには製造したアヘンを外へ大量に密輸するルートとその仲介をする信頼できる人物を見つける必要があり、麗華たちはそのルートを求めて「大連」へとやってきます。

当然、そこには中国全土の暗黒街を仕切る「青幇」も勢力を伸ばしていて、新京で、勇によって顔中に大火傷を負わされた「周」が勇たちを見つけ出そうと、青幇の大連の支部長・黄飛龍とともに捜索を始めます。黄の手下とバートル・リンとがニアミスする場面はあったのですが、今のところは無事ですね。本格的な対決は次巻になりそうです。(ちなみに今回のニアミスで、リンの独特なファッション・センスがわかります。)

そして、仲介役を探して、大連の酒場をはしごする麗華たちの前に現れたのが、メイビン貿易公司の「静(ジン)」という貿易商。彼は麗華の本当の狙いを見抜いて、上海への橋渡しをすると提案してくるのですが・・という展開です。
実は今巻の中程で、彼が「工作員18」というコードネームのどこかの国の諜報部員で、「真阿片」の製造者の情報をさぐるよう命令されているシーンがでてきますので、今回のビジネスも無事にはすまないようですね。

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レビュアーの一言

今巻の舞台となる「大連」は、中国古代から都市が形成されていたところなのですが、本格的に大港湾都市として発展を始めるのは、三国干渉によって、遼東半島の租借権を獲得したロシアが、貴重な不凍港としてシベリア鉄道と連結する東清鉄道を敷設し、港の整備を始めた頃からです。
その後、日露戦争で租借権を継承した日本がその整備も引き継ぎ、港などのインフラ整備と都市開発を進め、街路と市電を開設しています。
1900年代の初め頃は4万人だった人口も、この物語に近い1940年には60万人を超え、日本人も20万人居住し、日本人の政治家や公務員も多く、日本が実質支配する大都市となっています。

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