勇と麗華はハルピンの中国とロシアのマフイア抗争に巻き込まれる=門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」5・6

第二次世界大戦前、中国東北部に徒花のように成立した国家「満州国」を舞台に、その闇を支配しようとする日本陸軍の「関東軍」、中国の闇組織「青幇」、革命政府に対立する無法組織「ロシアン・マフィア」に対抗して、独立した犯罪組織をつくろうとする「日下勇」や「麗華」「リン」たちの活躍を描くクライム・ストーリー『門馬司・鹿子「満州アヘンスクワッド」(ヤングマガジンKC)』シリーズの第5弾から第6弾。

前巻で共産革命やスターリンによる粛清からアジアへ逃れてきている白系ロシア人へ、自らの商圏を広げるため、ハルピンでそこの闇の支配権を争っている青幇とロシアン・マフィアの対立を煽ろうと画策した麗華と勇たちだったのですが、「逃がし屋キリル」の恋人ナターシャの拉致をきっかけに、その渦中に巻き込まれていきます。

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第5巻のあらすじと注目ポイント

第5巻の構成は

第三十六話 拉致
第三十七話 真の敵
第三十八話 競売
第三十九話 救出作戦
第四十話 囚われの身
第四十一話 黒幕
第四十二話 皇帝の素顔
第四十三話 取引
第四十四話 脱出

となっていて、第4巻の終わりで、大観園内のアパートからナターシャを拉致したのが、青幇の人買いたちであることが判明します。この人買いの首領となっているのが、このハルピンの青幇の幹部「憑英九」で、彼は大観園内から子供や女性を拉致しては売りさばいて巨利を得ています。

彼らの手からナターシャを取り戻すため、キリルが奔走するのですが、元NKBDあがりの彼に協力しようというロシア人はおらず、最終的には麗華たちのメンバーがハルピンにおける商圏拡大に協力することを条件に協力を申し出ます。さらに、青幇のボスの根拠地を探る「リン」たちに大観園の子どもたち「閻馬」も協力を申し出てきて、という筋立てです。大観園の子どもたちは兄弟姉妹が「憑英九」によって誘拐され売り飛ばされることが続いているため、その復讐戦ですね。

そして、ナターシャをはじめとする少女たちが競売される現場にキリルの運転する車でのり込んだ勇と麗華はナターシャを奪還するのですが、そこからの逃亡中にロシアン・マフィアの縄張りに入り込んでしまいます。彼らに捕まった麗華は自分が青幇の大ボス・杜月笙の娘であることを取引材料に使おうとするのですが、そこに現れたハルピンのロシアン・マフィアのボスは、ハルピンの発展に力を尽くし、逃亡してきた貧しい白系ロシア人たちを保護して人望の高い白系露人事務局局長の「アレクセイ・ロジャエフスキー」です。

ここから、前巻でシングルマザーのニーナに事務局の秘書の職を斡旋するなど「善人」イメージの彼の「ブラック」な本性が明らかになってきます。
そして、ロジャエフスキーの次の一手は、捕まえた麗華を、青幇の憑英九と交渉するネタに使うとともに、ナターシャを白系露人事務局の地下室に監禁して慰み者にしようとするのですが・・という筋立てです。

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第6巻のあらすじと注目ポイント

第6巻の構成は

第四十五話 負傷
第四十六話 助っ人
第四十七話 復讐の連鎖
第四十八話 脱出
第四十九話 闇医者の正体
第五十話 作戦始動
第五十一話 皇帝の力
第五十二話 餞別
第五十三話 襲撃

となっていて、前巻の最後でロシアン・マフィアから脱出する際に、憑英九に胸を撃たれ負傷した麗華を救出したのは、閻馬の仲間の子どもたちです。銃弾は貫通しているため、命は助かったのですが、かなりの重傷です。
しかし、青幇やロシアンマフィアの見つからないようにするためには、街中の普通の医者に診てもらうわけにはいかず、吉林にいる金さえ出せば何でも診察してくれる「闇医者」にかかるため、ハルピンからの脱出を試みます。
吉林の闇医者の手がかりは、満州の古都・吉林市の江南街の裏筋の酒場にあるようなのですが、麗華と勇、そしてリンはそれを見つけ出すことができるのでしょうか・・という筋立てです。

一方、麗華によって火をつけられた青幇とロシアン・マフィアの激化した抗争の隙間をついて、キリルとニーナは白系露人事務局の地下室に潜入します。地下室からナターシャを連れて脱出しようとしたときに、ロジャエフスキーたちロシアン・マフィアたちが待ち構えています。ここからキリルたちの救出にやってきたバートルとマフィアたちとの大バトルが勃発し、その後、バトルで負傷したロジャエフスキーとキリルとのカーチェイスが始まるのですが、その結末については原書のほうで。

さらに、最後半では青幇の事務所を襲撃する大観園の子どもたちとの戦闘が始まるのですが、その勝敗の行方は次巻で。

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レビュアーの一言

第5巻と第6巻の舞台となる「哈爾濱(ハルピン)」は現在の黒竜江省の中心的な都市で、中国古代の漢王朝の頃から夫余や靺鞨といった周辺民族の支配地となっていて、地名の語源は満州語、モンゴル語、女真語それぞれに説があって定まっていません。古来から多民族の集まる交通要衝の地と考えておけばいいのかもしれません。

この物語の当時は、日本資本の流入の多かった新京と違い、住民の多くはロシア人と中国人で、1909年には極東アジア最大といわれたロシア系の「チューリン百貨店」が開店している、当時有数の「国際都市」といえます。

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