シャーロックとウィリアムはアメリカで地上げ屋集団をぶっ潰す=「憂国のモリアーティ」17~19

類まれな頭脳と、あらゆる分野にわたる知識をもち、世界一有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」の最大の敵役で、ロンドンで迷宮入りする事件の過半数は彼の犯行と噂される「モリアーティ教授」を中心に、イギリスの腐敗した貴族を次々と暗殺して、体制変革を狙う「犯罪卿」一味の犯罪と彼らの真の目的を描く、クライム・ストーリー「憂国のモリアーティ」の第17弾~第19弾。

前巻で、タワーブリッジでの最後の対決で行方不明になっていたシャーロック・ホームズとウィリアム・モリアーティが、ビリー・ザ・キッドに救出され、アメリカに渡りピンカートンの探偵になっていたことがわかったのですが、今回は、そのアメリカで二人が相棒として手を組んで事件を解決していきます。

あらすじと注目ポイント

第17巻 ニューヨークに渡ったシャーロックとウィリアムはピンカートン探偵社のエージェントになる

第17巻の構成は

#65 空き家の冒険 第九幕
#66 許されざる者たち
#67 恐怖の谷 第一幕
#68 恐怖の谷 第二幕

となっていて、前半では、シャーロックやウィリアムが無事、ロンドンへ帰還したことと、再び二人が仲間として復帰したことを祝って、合同での夕食会が開かれています。ここのところは、幕間の休憩ぐらいの感覚で呼んでおけば良いと思います。

第一部の最終話は、二人がニューヨークへ渡り、これからどう生きていくか方向が見いだせないでいる二人が、ビリー・ザ・キッドの要請でピンカートン探偵社の探偵として請け負った任務とビリー・ザ・キッドの過去の清算が語られます。

このシリーズでは、合衆国政府が表立ってできない利害調整や政治調整、あるいは揉め事の強制的な解決を、探偵社が裏で執行している、という設定になっていて、しかも、それがばれて反ピンカートン法ができて、探偵社の政治系の事業がやりにくくなった時代になっています。

で、シャーロック宛の政府の作戦司令書が届くのですが、その指令にはキッドも参加すると言いだして、という展開です。

第18巻 キッドとシャーロックは、地上げ屋退治に乗り出し、ウィリアムは再生する。

第18巻の構成は

#69 恐怖の谷 第三幕
#70 恐怖の谷 第四幕
#71 恐怖の谷 第五幕
#72 恐怖の谷 第六幕

となっていて、前半部分では、ビリー・ザ・キッドがシャーロックの担当する作戦になぜ加わりたいのか、そのカギを握る彼の幼少期からの想い出が描かれます。

少しネタバレしておくと、彼の故郷はニューメキシコ州のフォートサムナーという小さな田舎町なのですが、幹線道路に面した都市間の中間点であったため、流れてくるヤクザ者も多く、彼らを取り締まるため、ビリーは賞金稼ぎに、幼馴染のギャレットは保安官となります。そして、彼があちこちに荒稼ぎしている時に、故郷の町から、町全体が大規模な地上げの対象となっていて住民が二分されて対立しているの助けてほしい、という依頼が入ります。

地上げ屋は軍隊なみの組織を抱え、反対派を暴力で口封じするような乱暴な集団で、ビリーは、保安官を助けるため、帰郷するのですが、保安官となっている幼馴染のギャレットはなんと「地上げ屋」側にたっていて・・という展開です。

この「地上げ屋」が、ペンシルヴァニア州ヴァーミッサで同じようなことを繰り返そうとしているので、これを抑えろというのが今回の指令であったため、ビリーもこの事件に乗り出した、というわけですね。

二人はヴァーミッサに乗り込み、武器の扱いに不慣れな住民の組織化を始めていくのですが・・という展開です。

一方、ニューヨークに居残ったウィリアムのほうは、未だにこれからの方向性を見いだせないままでいるのですが、街中で、母親へのプレゼントを紛失して困っている女の子・ヘレナに協力してプレゼント探しを始め、ここで新たな「人生の目標」を掴むことになるのですが、詳しくは原書のほうで。

第19巻 「恐怖の谷」の地上げ屋集団をぶっ潰せ

第19巻の構成は

#73 恐怖の谷 第七幕
#74 恐怖の谷 第八幕
#75 恐怖の谷 第九幕
#76 帰還。そして・・・

となっていて、地上げ屋マギンティ率いる傭兵集団スコウラーズがヴァーミッサの町に対して、100人の集団で攻撃を開始します。これを迎え撃つために、シャーロックは町のいたるところに罠をしかけ、傭兵たちを翻弄し、殲滅していきます。

しかし、多勢に無勢で、徐々に押されていく住民たちとシャーロック、ビリーを救うために現れたのが、ニューヨークでこれからの人生の目的を掴んだウィリアムで・・という筋立てです。

この後、マギンティたちの新たな武器である「パロット砲」による砲撃によって町のあちこちが破壊される中、どうやってこれを撃退し、マギンティを捕らえたか、といったあたりは原書のほうで。

今回はひさびさにアクション・シーン、バトル・シーン満載の展開になっています。

レビュアーの一言

シャーロックとウィリアムを助けた、ビリー・ザ・キッドなのですが、彼の出生地は、本巻で書かれている、ニューメキシコ州のほか、ニューヨーク、オハイオ、カンザスなど様々な伝承があって、21歳でギャレット保安官に射殺されるまで、あちこちで牛泥棒や銀行強盗を行い、21人の相手を撃ち殺した、と言われています。

その銃の早撃ちの腕は相当なものであったらしく、鏡に映った銃を抜く敵の姿を見て振り返らずの射殺した、とか宙に放り上げた空き缶が地面に落ちるまでに6発の銃弾を命中させた、と言ったエピソードが残っています。

ただ、どんな修羅場でも、上機嫌な笑顔を受けべて、哄笑しながら相手を撃ち殺したという猟奇的なエピソードも残っていることを付け加えておきます。

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