白髪の少年隊士は会津藩士を襲う刺客を倒し、将軍・家茂の危難を救う=安田剛士「青のミブロ」3〜5

幕末の京都、厳しい取り調べと剣技の凄まじさで、攘夷派の浪士や倒幕派の諸藩の藩士を恐れさせた近藤勇、土方歳三率いる「新撰組」で、永倉新八から「三匹の狼」と呼ばれた、歴史の渦の中に消えていった三人の少年隊士「ちるぬ にお」「田中太郎」「二代目・斎藤一」の活躍を描いた幕末新撰組シリーズ『安田剛士「青のミブロ」』の第3弾から第5弾。

前回では、団子屋の養子であった白髪の少年「にお」が土方歳三に見出されて「浪士組」に入隊し、そこで同年代の少年隊士「太郎」と「はじめ」と出会い、芹沢鴨の隊士粛清の真相などを見抜いたのですが、今回は会津藩の「お預かり」となるための五人の刺客の捕縛に乗り出すほか、幕府の超エライ人の危難を救うことになります。

【スポンサードリンク】

あらすじと注目ポイント

第3巻 白髪の少年隊士「にお」は会津藩を狙う5人の暗殺者を倒す

第3巻の構成は

第15話 それぞれの正義
第16話 青い怒り
第17話 小さな世界
第18話 刀の重さ
第19話 おかしなこと
第20話 約束
第21話 悪人と矜持
第22話 掌
第23話 笑顔

となっていて、前巻で京都の大店の呉服屋の跡取り・世都のところへ会津藩の藩士が連続で殺されている情報をとりにきた「にお」と「はじめ」はその帰り道に、その暗殺者の一人に襲われます。

突然、剣をふるってきたその青年は、「にお」に対し、列強のアヘン貿易の話や攘夷をすべき理由をとうとうと述べ始めます。どうやら、単なる金で雇われた「暗殺者」というわけではなく、信念をもって会津藩を標的にしているようですが、こういう信念のあるテロリストが一番面倒なのは、今も昔も変わらないようです。

ただ、「みお」たちを心配してやってきた沖田によって簡単に斃されてしまっていて、やはり沖田や土方とは修羅場をくぐった経験と剣技にかける信念の強さに差がありすぎたようです。

そして、世都から、この暗殺者の情報を聞き出したひ「にお」は近藤や芹沢、土方たち浪士組のメンバーと暗殺者退治に乗り出すのですが、その様子は原書のほうで。

この巻で、「にお」も自ら剣をふるって暗殺者を捕縛しているのですが、剣の技というわけではなく、彼らしいやり方で相手をねじ伏せています。

第4巻 将軍・家茂を襲う「血の立志団」登場

第4巻の構成は

第24話 MOTHER
第25話 ふるさと
第26話 強さの種類
第27話 宝
第28話 何者
第29話 それぞれの役割
第30話 最弱の将軍
第31話 武士の世
第32話 鋼の意志

となっていて、前半部分では正式に会津藩の「お預かり」となって、大宴会を開く浪士組のメンバーの姿やひさびさに団子屋に里帰りして、あらためて「壬生狼」に所属して戦う理由を確認する「みお」の姿が描かれます。

そして、里帰りして店の手伝いをしている「にお」たちの前に現れたのが将軍・家茂と彼を狙う新たな暗殺者です。

二条城から市中に出ているところを、突然、長剣をもった大男が斬りかかってきて、護衛の侍たちが応戦している隙をついて逃げ、命からがらたどりついたのが「ちりぬや」だったという経緯のようです。

「みお」と「はじめ」によってこの長剣をもった男は撃退するのですが、夜更けて「ちりぬや」から二条城へ帰還しようとしたところで、再びその男が率いる一段の襲撃を受けます。

彼は「血の立志団」という集団を率いていて、彼らが将軍・家茂を襲う理由は「武士の世を復活させる」ということで、徳川が築いてきた泰平の世を終わらせ、大きな戦を起こすことが目的のようですが、長州をはじめとする倒幕派の主張とはかなり違った、アナログな思想集団のようですね。

第5巻 白髪の少年隊士と将軍は土方に救われ、二条城へ帰還

第5巻の構成は

第33話 真の強さ
第34話 語らない男
第35話 恩返し
第36話 英雄的働き
第37話 八つの頭
第38話 RIVER
第39話 同じ夢を描いて
第40話 しるし
第41話 二代目

となっていて、冒頭では二条城へ将軍・家茂を向かわせ、「にお」は家茂を狙う血の立志団の団長「直純」を足止めしようと戦いを挑むのですが、力の違いは歴然としていて圧倒的に不利な状況です。

「直純」の剛腕で「にお」は叩きのめされそうになるのですが、そこに現れたのは二条城の手前で還ってきた「将軍・家茂」で、彼は震えながらも剣をかまえ、「にお」を直純から助け出そうとするのですが・・という筋立てです。

まあ、この救出劇は家茂の剣の技が未熟なせいで、「直純」に叶うわけもないのですが、こうやって時間を稼いでいるすきに、土方がやってきて・・という展開で、ここでやっと新撰組マンガらしい、剣のバトルが展開されていきます。

少しネタバレしておくと、土方vs直純の勝負はひとまずお預けで、決着は次巻以降の「血の立志篇」へと持ち越しになります。

後半部分では、京都の治安維持のため江戸への帰還をあきめた浪士組のメンバーたちが、組のシンボルとして「羽織」をつくることを決めるのですが、その費用がなんと250両。ここから、それぞれが得意な方法でこの資金を稼ぐために金策に走るのですが、その騒動がどんなものかは原書のほうでお確かめくださいね。

レビュアーの一言

新撰組の「隊服」といえば水色の袖にだんだら模様の羽織姿が思い浮かび、このシリーズでは「にお」の祖母が考案したことになっているのですが、本当は、当時人気だった「仮名手本忠臣蔵」の衣装のデザインをもとに土方が考案したもので、色は武士が着用していた「浅葱色」からきているという説が有力です。

ただ、この隊服は夏用出会ったために着る機会は少なく、通常は汚れが目立たず、返り血を浴びても目立たない黒い羽織を着ることが多かったようです。

史実は別として、黒羽織の黒づくめ姿では「悪役」イメージがでてくるので、ドラマなどではやはり目立つ水色にダンダラ模様の羽織が新撰組のユニフォームとして使われるようになったんでしょうね。

【スポンサードリンク】

コメント

タイトルとURLをコピーしました