浪士組と「血の立志団」との橋上の壮絶なバトル始まる=安田剛士「青のミブロ」6・7

幕末の京都、厳しい取り調べと剣技の凄まじさで、攘夷派の浪士や倒幕派の諸藩の藩士を恐れさせた近藤勇、土方歳三率いる「新撰組」で、永倉新八から「三匹の狼」と呼ばれた、歴史の渦の中に消えていった三人の少年隊士「ちるぬ にお」「田中太郎」「二代目・斎藤一」の活躍を描いた幕末新撰組シリーズ『安田剛士「青のミブロ」』の第6弾から第7弾。

前巻で将軍・徳川家茂を襲った「血の立志団」のリーダー・直純を退けた「みお」と土方だったのですが、今回は、新撰組のシンボルとなるダンダラの羽織制作の費用捻出に隊員たちが悪戦苦闘をする様子が描かれるとともに、「血の立志団」との壮絶なバトルが始まります。

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第6巻 「みお」は羽織制作資金の金策の途中で謎の天然美女に出会う

第6巻の構成は

第42話 金策奔走
第43話 本物
第44話 川の流れのように
第45話 雀の涙
第46話 鐘の音
第47話 求道者
第48話 分かれ道
第49話 出陣
第50話 矛盾上等

となっていて、冒頭では羽織の費用捻出のため、金策に走る浪士組のメンバーが描かれるのですが、土方だけは、直純とのバトルで歪んでしまった刀の代わりを探して市中を巡っているのですが、そこで出会ったのが、女性刀鍛冶の「さくら」です。彼女は華道の名家に生まれなのですが、実家を出て刀鍛冶に弟子入りしたという変わり種です。もっとも、彼女を弟子にしたせいで師匠のつくる刀も売れなくなっているのですが、全くそれを後悔していない師匠も変わり者といえば変わり者でしょう。

土方を鍛冶場につれてきた「さくら」は師匠の刀を進めるのですが、土方の選んだのは「さくら」の打った刀で・・という展開です。土方が彼女の刀をなぜ選んだかは、「血の立志団」とのバトルの最後のほうで明らかになりますので見逃さないようにしておきましょう。

そして、「みお」と「太郎」は資金稼ぎの途中で「ナギ」という名前の美人の妊婦と知り合いになるのですが、彼女も「血の立志団」とのバトルで重要な役回りを務めることになります。実は彼女は、「京八流」という町道場の道場主「陽太郎」の細君なのですが、この道場を直純ほか「血の立志団」が根城しています。
直純たち「血の立志団」は次のターゲットを「壬生狼」に定め、京八流道場の門人が直純たちとともに将軍・家茂を襲ったことから「陽太郎」も「立志団」に協力を迫られることになります。

彼らは浪士組に対し、「今宵 亥の刻、鴨川にかかる七つの橋を落とし、京の町に火をかける」という犯行予告を届けてき、ここから浪士組と立志団との大バトルが始まることとなります。

まずは三条大橋で、団のリーダーである「直純」と芹沢鴨とのバトルが始まります。「直純」が手にする刀は、女性鍛冶「さくら」の師匠の打った「暗晦(つぐもり)」という銘の刃身の真っ黒な刀で、太刀筋が見えにくく、暗闇で最も効果のある長刀です。「直純」は芹沢の堕落を糾弾しながら斬りかかってくるのですが、桔狂犬のような芹沢は意に介していないようですが、決着が語られるのは「血の立志団」」篇の最後のほうになりますのであしからず。

第7巻 血の立志団と浪士組との壮絶な橋上バトルが始まる

第7巻の構成は

第51話 猟犬
第52話 居場所
第53話 永倉の剣
第54話 名の価値
第55話 土の人間
第56話 違和感
第57話 強さに憧れて
第58話 継承者
第59話 現在地

となっていて、冒頭では二条大橋での永倉新八+原田左之助に対し、立志団は「猟犬」と呼ばれる槍使いが立ちはだかります。彼は鎌倉武士・工藤祐経の末裔で仇討ちのために故郷を出奔したのですが、旅中で侍たちの乱暴狼藉をみて武士の堕落に絶望し、武士を一人でも多く血祭りに上げるため、「立志団」に加わった侍です。

しかし、侍出身ではない「左之助」と侍という地位にこだわらない「永倉」の価値観に自分の価値観を揺さぶられているうちに、仲間の「夜叉」によって同士討ちされてしまいます。この卑怯な仕打ちを黙っていられないのが永倉新八で、彼の剣の冴えを原書のほうで確認を。

四条大橋では土方と「扇動」という異名をもつ剣士との戦いです。「扇動」は彼の人脈の豊富さを自慢する能書きの多い人物で、さらに鎖帷子を着込んで防備を固めているという用意周到な剣士です。
しかし、この用意周到さが、直情径行の土方に通用するはずもなく、「さくら」の打った軽くて頑丈な「剛剣」をふるう土方の連続打撃に粉砕されていきます。

松原橋では、斎藤一+新見錦と左腕を隠している「彩芽」という剣士です。彼は刀の鯉口も右手で切り、左手を袖から出そうとしないので、斎藤が左手に小型の暗器を仕込んだ暗器使いと判断するのですが、この見極めが斎藤を窮地に追い込みます。
実は「彩芽」は左腕が生まれたときからない、隻腕の剣士なのですが、左腕に毒に発射装置を仕込んでいて、この猛毒によって斎藤は意識が遠のきはじめます。

意識が薄れる中で、斎藤は彼を子供の頃拾ってくれ、剣を教えてくれた「一代目 斎藤一」との記憶が蘇ってきて・・という展開です。

少しネタバレしておくと、毒に侵されながら立ち上がろうとする斎藤に気をとられたことが、「彩芽」の敗因となっていきますね。

レビュアーの一言

この回で壬生狼の相手となる「血の立志団」のメンバーは、幕府によって禁止されている子供の仇討ちのために脱藩した侍、長州や土佐、薩摩の有名志士と人脈がありながら倒幕に参画させてもらっていない剣士、大身の武家に生まれながら、片腕がないことから見世物小屋に売られそうになっている者など、「武士」の家に生まれながら、そこから弾き出されている人物たちばかりです。

しかし、勝負となると「壬生狼」たちのほうが圧倒するのは、剣の技術だけでなく、弾き出され方やそこから這い上がろうとする意欲が、浪士組のメンバーのほうが強かったということなのかもしれません。「血の立志団」のほうは「侍」「武士」へのこだわりの強さがかえってウィークポイントになっているのかもしれませんね。

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