「マルチ・タスク」で消耗しないためにやるべきこと ー デボラ・ザック「SINGLE TASK」

たくさんの仕事やアポイントを抱えて、朝早くから、夜遅くまで、人の話を聞き、人に指示をし、と慌ただしくビジネス生活をおくりながら、気がついてみると、まとまったことは何も出来ていない。何事も一つひとつしかでなく、上司からは「同時にいろんなことができないの?」の責められる。「あぁ、私は才能ないんだ・・」と悩んだことはないだろうか。

そんな、あなたに朗報。マルチ・タスクなんてのは「できなくて当然」とアドバイスしてくれるのが、本書『デボラ・ザック「SINGLE TASK 一点集中術」(ダイヤモンド社)』である。

【構成は】

はじめにーつねに「1つ」に集中する
シングルタスクの原則ーたった1つの銘じるべきルール
PART1 原則を固める
 第1章 マルチタスクを封印する
  ー「同時進行」の誘惑から逃れる
 第2章 すべてを一気にシンプルにする
  ー「一点集中術」とは何か
PART2 行動を変える
 第3章 脳の「集中力」を最大化する
  ー脳がエネルギーを出せる環境をつくる
 第4章 全行動を「1つずつ」にする
  ー最大の成果をもたらす1日の行動法
 第5章 5分で周囲の「信頼」をつかむ
  ー「ノー」と言うことで人望を集める
PART3 定着させる
 第6章 賢者の時間術「タイムシフト」
  ー「最重要課題」を攻略する
 第7章 継続する方法
  ー24時間「いま、ここ」にいつづける
付録 シングルタスクのメリット、マルチタスクのデメリット

【注目ポイント】

意識を変えないといけないのは、人間は「シングルタスク」しかできない、ということで、筆者によれば

マルチタスクは状況を改善するどころか、むしろ問題を悪化させる、そもそも人間の脳は、一度に複数のことに注意を向けることができないのだ。

一般に「マルチタスク」と考えられている行為は「タスク・スイッチング」にすぎない。タスクからタスクへとせわしなく、注意を向ける先を無益に変えているだけだ。

ということで、我々が「タスク」を複数こなしている、と思っているは幻想で、どうやら、タスクの上っ面をなぜるつまみ食いをしているだけで、実は「マルチタスク」とは中途半端に「タスク処理」に取り組んでいる状態が継続しているだけのものであるようだ。
であるなら、取り組むタスクは一つにして、その目処がたつまで、他のタスクは受けない、取り掛からないというのが「正解」ではあるのだが、他人に頼まれると「嫌や」とは言えないのが浮世の義理というもので

マルチタスクの誘惑に負けてしまうのは、たいてい、他者の期待や要求に応じねばならないという義務感にかられているときだ。
すると本来、自分が優先したいと思っていたことを後回しにしてしまう。そんなとき、あなたのなかにはたいてい「相手に高く評価されたい」という欲望があり」それが不安感を引き起こしている

という状況が二重に「マルチタスク」の苦痛感を生み出しているのであろう。
であるならば、単純に「マルチ」はやめ、みたいなことを言っていても解決しないわけで、例えば

1つの作業に集中している最中に、ほかのことについてのアイデアがひらめいたら、あとで考えられるようにそれを書き留めておく

自分専用の「パーキングロッド」を用意しておく
本来の仕事や議題とは無関係なテーマを後で話し合うためにメモしておく

平日のスケジュールを作成する際には、必ず毎日2回、アポや打ち合わせをいれない分の時間を設け、その時間に類似タスクをまとめておこなったり、予期せぬできごとに対処するようにする

といった小技を各種使いながら「シングルタスク」に絞っていく取り組みを継続的にやっていかないといけないわけで、本書でも

シングルタスクを実践するには、自身の「習慣」を変えるだけでなく、ほかの人があなたに寄せる「期待」も変えていかなければいけない

とあるように、結構手間暇を必要とする作業であることは間違いない。

【まとめ】

とはいうものの、タスクは放っておくと、どんどん仲間を呼んで膨れ上がり、「マルチ」化していくのが世の常というもの。本書は、どちらかというと、「シングル・タスク」処理の良い点をあげて、マルチ・タスクからの脱却を勧めるのが主眼で、テクニック的なところは他書で補強したほうがよい

ただ、メンタリストのDaigoも「超・時間術」の中で

忙しい人ほど仕事ができない理由は

①細かい作業が多くて集中力が続かない
②長時間の労働で脳の働きが下がる
③働きすぎで体調が悪くなる

であるとか「忙しい人ほど1日にさまざまな作業を詰め込んでしまう」「1日にジャンルが違う作業をいくつも行うと、それぞれのタスクを達成する確立は25%も下がった」といっているように、マルチタスク(本書に言わせると「タスク・スイッチング」か)の弊害は否定できないようで、タスクを割ったり、切ったりして、「マルチ」を「シングル」にしていくことは、不安や焦燥感を少なくし、効率よく仕事をしていく上で欠かせないものであるようですね。

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メンタリストによる時間管理術ーDaigo「週40時間の自由をつくる 超時間術」(実務教育出版)

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