パワフルなメモ術の極意、ここにあり ー 臼井由妃「やりたいことを全部やる!メモ術」

前著「やりたいことを全部やる時間術」では、何もわからない専業主婦であった筆者が、夫から急に事業を引き継ぐことになり、悪戦苦闘しながら事業を大きくしていき、さらには著述家としても成功した、パワフルな女性経営者の時間管理を教えてくれた筆者なのだが、そのパワーのまま、「メモ術」について記したのが本書『臼井由妃「やりたいことを全部やる!メモ術」(日経ビジネス人文庫)』である。

【構成と注目ポイント】

構成は

序章 「メモ」で人生のムダをあぶりだす。
第1章 時間を牛耳る人になるーカギは分割と集中
第2章 「やりたいこと」に最短距離で届く人づき合いー人間関係も「メモして捨てる」が基本
第3章 ”資本家思考”を持てばお金から自由になれるー夢を実現する原資
第4章 モノに縛られない人生ー目的や幸せにつながるモノしか置かない

となっていて、本書はまず

メモ術と冠している本書は、単なる「メモの書き方の指南書」ではありません。
「書き出す」ことでムダをあぶり出し、余計なものを「捨て去り」、本来の目標や夢に「集中」して、それを実現していくための本です。

といったアドバイスから始まるので、いわゆるバレットジャーナルなどの「メモ術」のテクニック的なものを期待して読む始めると肩透かしを食わされる。

傾向としては、ノート術・メモ術のうちの、いかにメモをとる仕掛けをつくるか、メモを活用する仕組みをつくるかといったことが中心の「メモ術」本で

メモをする上で大切なのは「とにかく書く」こと
①いつでもメモできる環境を整える
②迷わず書く

といったところは、精神論的ところがちょっと鼻につくのだが、

書き出したくなる仕掛けをする

目をつけたのが、短冊のような長方形(75ミリ×25ミリ)の付箋
書き切れないことは、付箋にメモをしてページに貼ればいい。
手帳に書き切れないことは付箋を活用する

日々の書くことが増えてからは「スマホ+ノートやメモ帳+付箋」

といった風に、書く「ノート」に必要以上に拘らないところや

メモは、書く習慣を持つことが重要であって、それを残すツールは自分のライフスタイルに合ったものでOK。ノートでも手帳でも付箋でもメモ帳でも、コースターや広告の裏に書いても構いません。スマホの録音機能を使ってもOKです。
重要なのは、いつどんなシチュエーションでメモしたかを必ず入れること。
(略)
書いた時の風景や心情、空気感まで呼び起こされることが必須です

としているところは、経営者の書いた「メモ術」本らしく、文具自慢や、ビジュアル自慢に陥っていないので交換がもてますね。もっとも、筆者にご愛用は

今好んで持ち歩いているのはゴールドのノート。日本の文具ブランド「デルフォニックス」製で表紙がゴールドに輝いている「リング式の切り離しミシン目つきノート」です
(略)
チェックリスト型付箋(50ミリ×15ミリ)や伝言メモ型付箋(75ミリ×60ミリ)も携帯しています

らしいので、ここはちゃんと紹介しておきます。

ただ、そうはいっても、テクニカルなところが全くないわけではなくて

・A4サイズの紙で作成する
・まず紙の一番上に「目標や夢」の実現日と「〇〇できました。ありがとうございます」と完了形で書くのがポイント
・1年を逆算型で四分割して、9か月前、6か月前、3か月前というように、できていなければいけないことを3か月前から順に書き出す。
目標は期限までに達成して当然。すくなくとも3か月前には結果を出し、残った時間でどれだけ売りのばせるか。
3か月前を意識するのが時間を牛耳るコツです

という 『 「1年逆算シート」のスケジューリング術 』や

1か月で結果を出すなら、「見開きカレンダー」を使ったメモ術
・この場合目標は一つに絞ること
・絞り込んだ1つの目標を、み開きカレンダーの左上にメモする。
・できることを、目標達成から逆算して4週に分けてメモする
・この作業は少なくとも前月の1日(1か月前)には終え、必要なものの手配や相手との交渉を進める
・卓上カレンダーに、これらをメモして目につくところに置いて常に意識し、やるべきことが浮かんだら即座にメモする。
・外出時は該当月のものを携帯して、移動中に行動にぶれがないかを検

といったこともアドバイスされている。

ただ、第3章以降は、人生論の部分がかなり強調されてくるので、メモ術・ノート術について関心が高い向きは前半部分を集中的に読んだほうがよい印象をうけましたね。

【レビュアーからひと言】

ノート術、メモ術っていうのは、目をつける観点によって、いろんな切り口があるところが面白いのだが、本書は、女性のパワフル経営者の視点、ということで、ちょっと他の「メモ術」本では出てこない「熱」を感じることができて面白い。筆者によれば

メモには「値段」がつく。「メモは金の卵。大化けする可能性がある」

ということなので、興味のある方は、しっかり「メモ」に向き合ってみてはいかがでしょうか。

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