仕事の先に見えない時代の自己防衛策がここにある ー ピョートル・フェリークス・グジバチ「世界一早く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか」(SB Creative)

最近の著作では、「疲れない」などのメンタル的なケアやチームとしての力の発揮の仕方のアドバイスが目立つ著者の原点ともいえるのが本書『ピョートル・フェリークス・グジバチ「世界一早く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか」(SB Creative)』であろう。

たしかに本書は「効率」をいかにあげるか、というところを強調したつくりになってはいて、最近の「働き方改革」のほうからは怪訝な目でみられるかもしれないが、本書の基本は

この本で一番みなさんにお伝えしたいのは、「自分の仕事を壊す」 ということです。自分の仕事を自分でしなくて済むようにすることこそ、究極的な「効率化」であり、今後生き残るために必要なこと

ということであって、今後のテクノロジーによる職場環境の激変のが予測される現在に、いかに対応していく、というところが主眼と考えるべきで、けして、古の「残業復活」の世界ではない。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 世界より早く動くための仕事術
第2章 ロジカルシンキングなんてしている暇はない!
第3章 忙しくても、10倍の結果を出すために
第4章 仕事の加速度を上げる人間関係のつくり方
第5章 必要なことを航測で学ぶ方法
第6章 グーグルの疲れない働き方
終章 自分の仕事を壊せる人が、次の時代をつくる

となっていて、まず注目すべきは

多くの企業は、今ある業務を100% こなしたうえで、そこに追加する形で成果を上げていこうという考え方を持っています。そのため「前年比 10% 増」といった目標が出てくるのですが、 こうしたやり方では、従来の延長線上の発想から抜け出せず、しかも仕事量だけが増えていくということになりかねません

といったところで、「働き方改革」云々とはいいながら、いまだに「キャッチアップ」型の行動目標や達成目標を掲げている企業や自治体は多いもので、このあたり「働き方改革」を推奨するなら、効率化や成果性を議論するのと同じレベルで「目標設定」についても考え直したほうがいいのでは、という気がしてくる。

そして、

生産性を上げたいのであれば、もう少し自分の仕事環境にこだわりを持ちましょう。  外で仕事をするのが禁止されていても、途中で散歩にいくとか、椅子が合わなければクッションを使ってみるとか、できることがあるはずです。
ルールではなく、自分が最大限の結果を出せる環境を自分でつくることも、ひとつの責任ではないかと思います

といったところには、職場環境を変えることは、どうしても「雇用側」のやることのように思いがちな我々に、久々にアメリカの「Do it Yourself」や独立志向を垣間見た気がしますね。
また

僕が考えるに、「AIに仕事をとられないために、今すぐできること」はひとつです。
それは自ら自分の仕事をなくしてしまうこと。
(略)
つまり、自らの仕事を、テクノロジーに置き換えて、もっと速くできないかと考えることです。

といったところでは、AIに仕事を奪われるのでは、と戦々恐々していうのではなく、「攻め」の姿勢の大事さを思い知らされますね。

もちろん、基本のところは、Google流の仕事の効率化を上げる、会議の生産性を上げるといった、いわゆる「デキる人」になるノウハウもたくさんあるので、その方向を求めている人にも十分満足sできる内容になっていますので、念の為。

【レビュアーから一言】

本書で特におさえておきたいのは、Google流のテクニックというより、その変化に対する考え方で、

大事なのは、時代の変化にただ流されてしまうのではなく、 その変化より速いスピードで動けたら、時代に取り残される心配はなくなる、ということ

であったり、

そうした変化を止めることも、避けることもできません。だからこそ、変化を受け入れ、変化を乗りこなし、変化を楽しむ必要があるのです。変わること。変わり続けること。そのためには、常に次の可能性に備えておくことです。変わる前提で動いている人は、何か想定外のことが起きたときも柔軟に対応できます。

といったことであろう。
「変化を恐れない。変化を楽しむ」、そんな感じでありましょうか。

 

世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法
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