もとむらえり「淡海乃海 水面が揺れる時3・4」ー朽木基綱は小夜姫を娶り、拡大路線を歩む

織田信長や豊臣秀吉、徳川家康が活躍する、今どきの戦国時代史では、旧勢力として圧迫されたり、蹴散らされたりする側の琵琶湖の北側を舞台に、現代の中年オヤジの精神がタイムスリップして、「朽木家」の当主・朽木基綱として戦国の世をかき回していく物語「淡海乃海」のコミカライズ版の第3弾と第4弾。

【あらすじと注目ポイント】

第3巻から第4巻では、六角勢の中で、朽木の勢力が徐々に力を増していき、本来であれば、織田信長と同盟を結び、戦国の有力大名として近江地方を支配した「浅井家」が、朽木と六角のもとに崩れ去っていく姿が描かれます。

野良田の戦いの1ヶ月前、反旗を翻した浅井家に対し、六角家は討伐の兵を出すことを計画しているのですが、朽木家のほうへも援兵の要請が来ます。六角家との関係にはいくつかのわだかまりがあるので、義理立て程度の出兵でよいのでは、とう家中の声に対し、竹若丸は一千の兵と三百の鉄砲隊を出陣させる決定をします。

浅井勢6000の兵に対し、六角勢1万2千の兵が押しつ押されつの戦いを繰り広げるのですが、兵が少ない浅井勢の勢いが止まり六角勢に押し込まれ、このまま攻め込まれるかというところで、一転して浅井勢が反転攻勢に出ます。

浅井勢にはこのまま六角勢に攻め込まれては後がないため、捨て身の攻撃に出たというところで、史実では、六角勢の油断をついて浅井勢が勝つのですが、こちらの(本書の)歴史では、情勢を見定めていた朽木勢の鉄砲隊が銃撃したところに、朽木の本隊が攻めかかり、浅井勢が総崩れとなります。

まあ、こちらの歴史では、浅井の現当主は「浅井長政」ではなく「浅井賢政」となているので、すでにパラレルワールドに入り込んでいるのでしょう。この戦いで、浅井賢政は討ち取られてしまいますね。

そして、この戦での功績で、六角承禎から領地を恩賞として与えられたり(もっとも、これによって朽木家は浅井家と領地を接することになるので、体よく最前線に駆り出されたことになりますね)、六角家の重臣・平井加賀守の娘の「小夜」との婚姻の話が持ち上がります。

ちなみに、史実でも、平井加賀守の娘は、浅井長政に嫁いだものの離縁されているのですが、朽木元綱の奥さんは、元綱の母親の実家・飛鳥井家の一族となってます。

ただ、幼馴染の賢政に離縁され心に傷を負う「小夜」姫」が竹若丸(元服して基綱という名になってます)によって癒やされていく所は、初々しくて「ほんわり」する場面なので本書でご堪能を。

そして、朽木基綱の、浅井家への圧迫はとどまらず、六角家からの独立を狙って、偽装追放劇を演じていた浅井久政を圧迫し、さらには、琵琶湖をとりまく有力豪族を寝返らせることに成功します。

さて、近江地方の勢力図はいったいどういうことになるのか、は本書のほうでご確認ください。

【レビュアーから一言】

いよいよ本格的にパラレルワールドの戦国時代に突入し始めたので、歴史の教科書や解説本を片手に、おー、こう改変したのかってな感じで読むと面白いですね。
近江地方の戦国史は、尾張から攻め上がってきた田舎者の「織田信長」によって蹂躙されてしまう歴史なので、これから朽木一族が、織田勢をどう迎え撃つのか、楽しみではあります。

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