星野之宣「海帝4」ー鄭和はマラッカ海峡に至り、海賊と戦う

コロンブス・マゼランといったヨーロッパの大航海時代の百年以上前、アジアの大国・明の三代皇帝・永楽帝から第五代・宣徳帝の時代にかけて、7回のわたって派遣された明の大艦隊の指揮をとって、アフリカまで到達した、異色の宦官「鄭和」の大航海を描いた「海帝」シリーズの第4弾。

前巻でジャワに至った鄭和艦隊は、狭い海域に多くの島が密集していて、古来から海賊の出没する「難所」といわれるマラッカ海峡に至ります。ここを抜ければ、インド、セイロン(今のスリランカ)への道も開ける要衝の地での鄭和の采配が読みどころです。

【構成と注目ポイント】

構成は

第24話 父の仇
第25話 前触れ
第26話 海賊の目標
第27話 奇襲
第28話 旧友
第29話 密通
第30話 靖南の役
第31話 抜け穴

となっていて、まずはモンゴル軍の只中にのこされた明軍の同僚を救出して帰陣したことが「敵前逃亡」扱いとなって、鞭打ちの刑を受けている「鄭和(このときはまだ、馬和」と後に永楽帝となる燕王との出会うところからはじまります。

実力No.1の自分ではなく、まだ若く経験の少ない甥の建文帝が次期皇帝に指名されたことで、「冷酷」で有名な燕王の気も弱くなっていたのでしょうか、鄭和を自分の護衛役として起用されることになります。

その後、モンゴル軍との戦闘で、瀕死の重傷をおう燕王を脱出させたりといった功績で、信頼を勝ち得ていくのですが、これが後半で描かれる、燕王が皇位を奪取した「靖南の役」での活躍につながっていきます。

「大航海」のほうは、マラッカ海峡のスマトラ西部で商売をしている華僑たちから、海賊に人質になっている家族を救い出すとともに、海賊を一掃してくれという依頼を受けます。

この華僑たちも、海賊に脅されて鄭和にいらいしているという事情もあり、さらには海賊の背後に、第3巻で鄭和に提携を断られた腹いせに、彼の生命を狙うアラビア商人がいることが明らかなので、事はそう単純ではないのですが、ここで華僑の頼みを断れば、新興の「明」から離反していくことは目に見えているので、ここはぐっと全部を呑み込んでの「大人の対応」でありますね。

で、鄭和は、海賊の本拠へと全艦隊で突入するのですが、彼の秘策はいかに?、そして迎え撃つ海賊とアラビア商人の対抗策は・・、ということで、大活劇が展開されますので、本書のほうでお楽しみくださいね。

【レビュアーから一言】

「大航海」といってはいても、この頃すでにベトナムやビルマなどインドシナ半島に進出していた「華僑」たちの権益を守り、アラビア商人と対立したといったところがあるので、最近の国際情勢と重なってきて、ちょっと微妙なところですね。
アラビア商人にしてみれば、彼らの信仰に従って行動しているわけで、元イスラム教徒でありながら、それを棄てた「鄭和」は裏切り者には間違いないところですからねー。
まあ、ここは、鄭和が、非業の皇帝・建文帝と皇女を亡命させる大サスペンスということで読んでいきましょうか。

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