グロースハックでビジネス成功の秘訣を探ろうー須藤憲司「ハック思考」

ビジネス

リクルートの最年少役員を経て、起業。現在は、グロースハックという手法使って多くの企業の事業成長をアドバイスするスタートアップ「Kaizen Patform」の経営者をしている筆者が、会社の事業の成長や自分の業績を飛躍的にアップさせるマインドセットと方法を解説してくれるのが本書『須藤憲司「ハック思考ー最短最速で世界が変わる方法論」(NewsPicks BOOK)』です。
本書によると、チームや組織も様々な企業に対して、事業の成長を加速させることができるのは

やること自体は変わらないからです。
様々な構造や状況の中から規則性や法則を見つけ、それを構成するシステムのスキマをハックして事業の成長を加速する。
僕自身はエンジニアでもなければ、特殊技能の持ち主でもありません。
ただ、考え方のコツのようなものを持っています。
このコツさえあれば誰でも、劇的に成果を高めていくことができます

ということで、ビジネス成功の秘訣を本書で探ってみてはいかがでしょうか。

【構成と注目ポイント】

構成は

はじめに なぜあなたが世界をHACKする必要があるのか
第1章 世界をHACKするための2ステップ
第2章 真の因果の見つけ方
第3章 ”視点”の引き出し
第4章 ”方法”の引き出し
第5章 ”勇気”の引き出し
第6章 人生の出来事すべてが引き出しになる
最後に
巻末付録 ケーススタディ

となっていて、「はじめに」から「第1章」までが本書の「Hack」というものについての総論、第2章と第3章がHacksを行うための現状把握や分析の方法論、第4章が筆者のビジネス経験からのHacksの具体的な手法の紹介、第5章が筆者のビジネスの失敗とかつての上司や先輩たちのアドバイス、第6章が筆者の「経営論」のまとめといった形になっているようなので、興味の強いところを集中的に読むのもいいかもしれません。

今回のレビューでは、Hacksの現状把握や分析などについて書かれたところをPickupするとまず、「視点」の持ち方の重要性がアドバイスされていて

世界を疑うということは、自分自身の持っている世界観を疑く事です。そして、自分の世界観を疑うことで、新しい規則性や法則を発見し、それが広がってい行くことが世界の世界観を変えることにつながっていくのです。・・・僕たちは、結果について一喜一憂してしまいます。しかし、その因果関係について疑う人は驚くほど少ないのです。

といった指摘には自らの視点の狭さと短さを反省させられます。
さらに、とかく自分の環境では限られたビジネスの経験しかできなかったり、担当の範囲が狭いことを嘆く人への

社会に出て実際の仕事をしたり、逆に社会人経験がなかったり、あるいは仕事を直接は手がられなくても、やってみて失敗しても、考えを深めていくことはできるんですよね

という話は貴重ですね。仮想通貨ビジネスと16世紀のオランダのチューリップバブルの類似性を見出す話を通じての

いつも未来に向けて考えるとき、新しい技術やトレンドを点でとらえるのではなく、線でとらえるようにしています。そのために、歴史の流れをとにかく勉強して、引き出しをいっぱい持っておくようにしています。

というアドバイスは、歴史を学習することの大事さを改めて感じるところです。
このほか

ある一点を突いて、そこの200%の持てる力を投入することで、モノゴトをひっくり返してしまう。閉塞感漂う状況を打破する、そんなことを実現するのが、このHackの目指すところです、
これはある意味、リスクを取って偏らせるということです、
加速するためには、スキマを見つけ思い切って踏み込む勇気が必要です。ただし、本当にリスクを取ってはいけません。一見リスクのように見えるけれども、たいしたリスクではない、ないしはそのリスクをコントロールできる、ちょっとした策を用意して仕掛けます。それがハックするということです

といったあたりは、「とにかくリスクをとらないと駄目だ」と煽ってくる風潮への対処法の一つとして考えてみてもいかもしれません。

【レビュアーからひと言】

「ハック」「Hacks」と言う単語は、ひところあらゆるものに使われたせいか、薄っぺらいイメージがついてしまったのですが、まだまだ有効な方法論であることは本書を読むとよくわかります。本書では「同じインプットから大きな成果を得られるように転換効率を劇的に高めることをハック」と呼んでいるのですが

世界をハックするのに複雑なプロセスは必要ありません。
人と違う規則性や法則を見つけて
その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する
というたった2つのステップで実行できます

ということなので、本書を読んで、あなたも自分のビジネスを「ハック」してみてはいかがでしょうか。

Bitly

コメント

タイトルとURLをコピーしました