アルキメデスの大戦14〜15「米国の女スパイ篇」=二重スパイを使ってアメリカに罠を仕掛けろ

世界大戦へと進んでいく日本の運命を変えるため、その象徴となる「戦艦大和建造」を阻止するため。海軍に入り、内部から太平洋戦争をとめようとする天才数学者の姿を描いたシリーズ『三田紀房「アルキメデスの大戦」(ヤングマガジンコミックス)』シリーズの第14弾から第15弾。

前巻で、高橋蔵相の私邸を訪ねていたところを二・二六事件の主導者の青年将校たちに蔵相とともに襲われ重傷を負いながらも、持ち前の強運で復帰した櫂中佐に、二・二六事件の余波で日米開戦へと進んでいく日本を予感した山本五十六によって、5年以内に大和を完成するよう命令をうけます。急ピッチで建造へと進む櫂の前に、アメリカに情報を流している日本人女性スパイが現れます。

あらすじと注目ポイント>二重スパイを使ってアメリカに罠を仕掛けろ

第14巻 ロケット砲完成に日本の技術力不足が立ちはだかる

第14巻の構成は

第129話 孤独な闘い
第130話 日本人のスパイ
第131話 綾部マキコ
第132話 探り合い
第133話 Y-1号
第134話 ロケット試射実験
第135話 誘導ロケット弾
第136話 小さなネジ
第137話 岸信介
第138話 天才たちとの再会

となっていて、5年以内の建造を厳命された櫂は、今までのロケット弾発射装置を装備した最新鋭戦艦から、20インチ砲を装備した従来型軍艦へと設計変更をします。ひとまずは艦の完成を急ぎ、後に開発したロケット砲を装備し直すという現実路線へ舵を切ります。

山本中将の命令があるとはいえ、ここまで急激な方針変更の陰には、新しい企みが隠れていて、櫂は外務省の丹原課長からアメリカの日本国内でのスパイ活動の情報をとりはじめます。

そして、ここで現れたのが、銀座でブティックを経営する「綾部マキコ」です。

櫂中佐は、かつて令嬢の家庭教師として勤めていた尾崎財閥の屋敷で偶然出会うのですが、「綾部マキコ」のほうも、アメリカ本国からドイツ人科学者の情報を海軍から探れ、という指令を受けて彼に接近を図ってきます。

で、物語のほうは、ドイツ人科学者たちによる「ロケット砲」開発に移ります。横須賀の海軍工廠で行われた発射実験は高度5キロまで達して成功に終わるのですが、ここで、ドイツ人科学者たちから、次の実験機を造ることができない、というショッキングな報告を受けます。

実は、ネジをはじめロケットを構成する部品には、すべてドイツから持ち込んだものを使っていて、それが枯渇してきたのですが、日本製部品は粗悪なため使用できず、ロケットはつくれないというのです。

これを聞いた櫂は商工省の、戦後、総理大臣となる「岸信介」にJES規格の改善について話をもちかけるのですが、あいかわらず大胆な提案で・・という展開です。

飛行機製造で形成した人脈を活かして、日本の技術力を高めるための総力戦が展開できるか否か、といったところが鍵になってきますね。

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第15巻 アメリカの女性スパイを味方につけろ

第15巻の構成は

第139話 二人の女
第140話 二重スパイ
第141話 彼女の闇
第142話 恨みの正体
第143話 尾崎造船
第144話 因縁の二人
第145話 アメリカ合衆国
第146話 世界征服
第147話 起工式
第148話 盧溝橋事件

となっていて、前巻の最後のところで、櫂はわざとアメリカのスパイであるマキコに、横須賀で行ったロケット発射実験の写真を撮影させて、アメリカへリークをさせます。

彼女がスパイ活動を行っていることをつかんで、二重スパイとして働かせようという策略の前振りですね。ついでにいうと、彼女が仕掛けてきたハニートラップを逆用して、自分の味方に引き入れることに成功するのですが、このあたりは芸者遊びで培ったテクニックなのでしょうか?

そして、かつて自分を大学から追放させた財閥の尾崎造船の社長に頭を下げて建造を開始した大和の設計図と誘導ロケット弾の情報を、マキコを通じてアメリカ側に流します。

ちょうどこの頃のアメリカはルーズベルト大統領が就任していたのですが、第1次大戦後の戦時特需の終了と世界恐慌で、不況のどん底にあり、ニューディール政策に象徴される大型の公共事業を実施するのですが、一向に景気が回復しない経済状況にあります。当然、大統領支持率も低下していて、再戦を目指す大統領としては、一発逆転の秘策が必要となっています。

そこで、目をつけたのが「日本」というわけで、経済顧問のガードナー教授の日本と開戦し戦争特需を産み出すとともに、日本を徹底的に叩いた上で、アジアでアメリカが経済覇権をにぎるための衛星国に仕立て上げるプランに大統領は乗り気です。はるか海の向こうで起きている大陰謀に「櫂」はどう動くのか、といった展開です。

ただ、最後のところで、日中関係を徹底的に悪化させる「盧溝橋事件」が勃発していて、ここに関東軍参謀長を務める東條英機中将がどう絡んでくるか、予断を許さないところです。

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レビュアーの一言>二重スパイは長生きしない?

自分の両親と義父母を殺した日本への復讐をするため、アメリカのスパイとなった「綾部マキコ」は、本シリーズの主人公である櫂直の「説得」と「くどき」で二重スパイとなるのですが、第15巻の「アルキメデスの知識」にもあるように二重スパイで長生きした者はいないとされています。どちらの陣営にとっても、自らの秘密を握る厄介な存在であるため、役に立たなくなるか、裏切りの様子が見えたらどちらもが早急に始末しようと思うからなのでしょうが、ネットで調べると第二次大戦中にイギリスの諜報機関MI6に属しながら、ソ連へ情報を流していた男性が98歳の天寿を全うしたり、とか例外は何にでもあるようですね。

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