No.2の重要性もわかったが、大変さもわかったような気がする — 大塚英樹「続く会社、続かない会社はNo.2で決まる」(講談社+α新書)

組織における「No.2」という存在がクローズアップされたのは、堺屋太一さんが、「豊臣秀長」に注目したあたりからであろうか。
そのNo.2の企業における役割や重要性について、熱く説いたのが本書。
 
構成は
 
第一章 いまこそNo.2精神を問い直せ
第二章 組織の浮沈はNo.2で決まる
第三章 だれも指摘しないNo.2不在のリスク
第四章 No.2が会社を救う
第五章 No.2の視点から未来を作る
 
となっていて、筆者によればNo.2とは
 
社員のモチベーションを上げ、社員を鼓舞するのはだれか。私は、トップの参謀であり、トップと社員をつなぐ複数の「No.2的存在」ではないかと考えている(P8)
 
私がいうNo.2とは、ヒエラルキーに基づく役職やポジションの「二番目」ではない。肩書は副社長かもしれないし、中間管理職であるかもしれない。・・No.2は、それぞれのレイヤー(階層)に存在する(P10)
 
というもので、どうやらトップに次ぐ役職ということに固定せず、機能としてとらえたほうがよいらしい。
 
そして、グローバリズムの浸透で特に顕著になった「強いトップ」「カリスマリーダー」には、辛めの評価のようで
 
カリスマリーダーさえ戴ければ、企業が時代の変化を乗り越えて持続的成長を遂げられるという考え方は、ただの幻想にすぎない。企業リーダーが真の力を発揮するためには、No.2の存在が不可欠(P89)
 
といったところにもそれは顕著で
 
これまで、日本のカリスマ経営者がことごとく失敗してきたのは、夢や思い込みを自分の殻に閉じ込めてしまったからだと思う。自分の夢をだれかに託し、その実現を楽しみにしようという人があまりにも少なかった。
(略)
もしうまくいっているケースがあるとすれば、必ずと行っていいほど、組織の中にトップを上手にサポートするキーマンがいる。これがNo.2である。(P25)
 
といったところで、筆者の No.2への期待はとても高いのである。
ただ、当方的に思うのは、今の日本の企業や役所組織がうまくいかいないところは、「良いとこ取り」をしようと中途半端にグローバリズムや成果主義を導入して、木に竹を接いだようなことになっているのが原因であるように思え、No.2がいれば、全て解決するというものでもないような気がする。
 
とりわけ、グローバリズムは、日本的組織にも根を張りつつあることは間違いなく、その意味で、No.2の役割も以前のものとは変化を求められるのは間違いないのだが、
 
No.2の役割の半分は、トップマターといっていい。トップの補佐役・参謀役・相談役としていうべき意見を表明し、伝えるべき情報を伝える。
(略)
また、No.2はトップの判断や決断が正しいかどうかをチェックし、もし判断や決断が間違っていれば素直に意見し、判断を変えさせ、決断を撤回させる。
(略)
No.2のもうひとつの役割は、社員のモチベーションを高めることである(P27)
舞台づくりを黒子となって行う世話役がNo.2である。ひとことでいえば、「社員の背中を押す人」だ。(P29)
 
というところも見ると、いやはやNo.2ってのは、「大変」の一言ですな、と思ってしまう。
 
まあ、カリスマリーダーだけを偏重する企業社会は、どちらかといえば働きにくい気がしないでもない。カリスマもいれば、それを支える番頭役のNo.2もいる。さらには、一番槍だけを狙う武辺者もいれば、謀反の意を含んだ軍師もいる、といった風に多士済々な世界が面白いのですがね。
 

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