グルメ

西川治

旅の食事の基本は「朝」にある ー 西川 治「世界ぐるっと朝食紀行」(新潮文庫)

(この記事は2018.11.24にリライトしました) 旅本でうまいもの紀行というのは、よくある話で、そういうテーマで1冊をものしようとすると、かなりの工夫か味付けか、あるいはグロものか、といったことが必要になるのだが、「朝食」だけにテーマを...
グルメ

国内にある「世界各地の豊穣さ」を楽しもうではないか — イシコ「世界一周ひとりメシ in JAPAN」(幻冬社)

一人で食事することが苦手なのに、世界を巡りながら一人で食事をする旅を「世界一周一人メシ」にまとめた、イシコ氏による、再びの一人メシの世界旅である。とはいうものの、「世界一周一人メシ」の旅から帰国後、岐阜県の定住者としてどっぷり地域に浸かって...
グルメ

極度に「東京的」な懐かしい味は、今、滅びつつあるのかもしれない — 町中華探検隊「町中華とは何か 昭和の味を食べに行こう」(立東舎)

> グルメ・リポートというと「豪華」路線か「ヘルシー」路線か、といったところが最近の定番であるような気がするが、そのどちらからも離れたところにいるのが、「町」の「中華料理」「中華屋」というものであろう。   本書の構成は   プロローグ・・...
グルメ

日本の食文化の重要要素として無視できない「チェーン店」という存在 — 村瀬秀信「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(講談社文庫)

<br /> 当方の子どもたちがまだ、幼いころ、「外で御飯食べるぞ−」となると、行くのは決まって「チェーン店」であって、子どもたちも、テレビのCMにでてくる店で食事ができるということに大喜びしてしまうというのが、「辺境」に住まう家族の寂しい...
平松洋子

手練の「食エッセイ」をどうぞ — 平松洋子「夜中にジャムを煮る」(新潮文庫)

&lt;br /&gt;<br /><br /> 食エッセイというものは、得意不得意が当然あって、食べ歩き的なものが得意な筆者もおれば、手料理もの・自分ちの台所ものが得意な筆者もいるのだが、どちらも「良し」という...
グルメ

たかがラーメン、されどラーメン — 武内伸・大泉孝之介「ラーメン人物伝 一杯の魂」(グループ・ゼロ)

ラーメンは、すでに国民食の域を脱して、「民族食」「日本文化食」のレベルに達していて、そうなると、それをつくる調理人も「料理人」「職人」として扱われるようになってきているのだが、有名店のラーメン職人たちの物語を紡いだのが本シリーズ。 収録は ...
グルメ

ラーメンを題材にした歴史論的奇書 — 速水健朗「ラーメンと愛国」(講談社現代新書)

「新書」というジャンルは幅が広いせいか、結構な曲者が何食わぬ顔ではいりこんでくることがあって、おなじ講談社現代新書の坂口恭平氏の「独立国家のつくり方」が最たるものであろうと思うのだが、この「ラーメンと愛国」も、個人的には、そうした「魅力ある...
平松洋子

万人が好む、東京の”旨いもの”がざっくざっく — 平松洋子「焼き餃子と名画座ーわたしの東京 味歩き」(新潮文庫)

<br /> 食エッセイの舞台は、地方の名勝・観光地あるいは秘境をとりあげるパターンと、東京・京都・大阪といった都会地をとりあげる2つのパターンがあるのだが、平松洋子さんのものは、以前レビューした「ステーキを下町で」や「サンドウィッチは銀座...
平松洋子

ちょっと行動範囲が広がった、なつかしい味わいの食エッセイ — 平松洋子(画 谷口ジロー)「ステーキを下町で」(文春文庫)

<br /> 平松洋子さんと谷口ジローさんの文・画のコンビの食エッセイの第二弾。 食エッセイというやつは、旨いもの自慢、高い店自慢に陥ると鼻持ちならないもので、読む人との距離感が近いほど親和性が増す。 ただ、近ければよいというものではなくて...
平松洋子

なつかしい味わいの食エッセイ — 平松洋子(画・谷口ジロー)「サンドウィッチは銀座で」(文春文庫)

食エッセイというものは東海林さだおさん風の自虐系から吉田健一氏のスノッブ風のものまで、その幅が広いだけに、人によって好みが別れるもの。 その点、平松洋子さんのエッセイはほんのりとした下味がついた吸い物のように、すうっと読めて、アクが少ないの...