「行動心理捜査官・楯岡絵麻vsミステリー作家・佐藤青南」=絵麻はキネクシス対決を征せるか?

犯罪容疑者が本人が意識しないで見せる「なだめ行動」や「マイクロジェスチャー」といった微妙な行動から、相手が隠そうとしている犯罪を見抜く「キネシクス」を使う敏腕の女性捜査官・楯岡絵麻シリーズの第9弾が本書『佐藤青南「行動心理捜査官・楯岡絵麻vsミステリー作家・佐藤青南」(宝島社文庫)』です。

今回は、絵麻のもつ高度な心理学スキルである「キネクシス」を使うミステリー作家と彼のカルト的熱狂に駆られるファン集団が犯す連続殺人を、絵麻が暴いていきます。

あらすじと注目ポイント

構成は

第一章 創作は模倣から始まる
第二章 困ったら死体を転がせ
第三章 嘘はつかないが本当のこともいわない
第四章 いっきに伏線を回収しろ

となっていて、冒頭は、都内で二年前からおきていた通り魔殺人事件の容疑者を、本シリーズの主人公・楯岡絵麻が得意の心理捜査で取調べをしているシーンから始まります。

取り調べは絵麻の得意な方法で進行していて、最初、容疑者の小説家志望の”岸裕久”という男性と、相棒の西野を「悪用」しながら、「親密」な関係を構築して見方と取り調べている相手の「脳」に認識させ、相手のプロフィールを掴んだところで、一気に攻撃を開始していき、ダメ押しに「尖頭ポーズ」で追い詰めるやり方です。

ところが、遺留品の被害者の血のついたパーカーを捨てたことと殺人を犯したことには、それを示すマイクロジェスチャーが現れのに、「被害者」を殺したことについては現れません。

容疑者は、被害者のことを名前も含めてよく知らないままに「殺した」と推測されるのですが、そこで容疑者は売れっ子の推理作家「佐藤青南」にオンラインサロンの加入者で、佐藤のことを熱狂的に信奉していることがわかります。

そして、被害者は、”佐藤青南”の悪口をSNSで投稿していた女性と同棲していたことがわたるのですが、全く被害者たちとは面識がなくて・・という展開です。

さらに、連続殺人の被害者の誰もが、「佐藤青南」の批判者であったことがわかり、この事件の「黒幕」として、この推理作家「佐藤青南」が浮上するのですが、彼は、絵麻と同じく、わずかな表情の変化から相手の心理を読み取る技術「キネシクス」の使い手であるらしく、絵麻の誘導や取りべにの全く証拠も何も見せません。

しかし、絵麻の尋問に際し、「誰かを殺した」ことについては、それを示すマイクロジェスチャーが現れていたことから、捜査を進める中、佐藤とかつてSNSで揉めたことのある伝説のミステリー作家が変死体で発見されたことがわかるのですが・・といった展開です。

絵麻と同じ心理分析のテクニックを使う「佐藤青南」という小説家と絵麻との対決や、佐藤のオンラインサロンに加入している彼の熱狂的ファンたちの行動の異常さが物語の怖さを増しています。

Amazon.co.jp: 行動心理捜査官・楯岡絵麻 vs ミステリー作家・佐藤青南 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) : 佐藤 青南: 本
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レビュアーの一言

今巻の最後のほうで、「佐藤青南」の秘書的な役割をしていた女性が、ある男と接触して、楯岡絵麻への復讐をそそのかせる場面が登場します。

その男の名前は「畑中」といって、このシリーズの読者でしたらわかるように、第8作目「ツイン・ソウル」で出てきた、週刊誌の記者ですね。彼は絵麻の宿敵のシリアル・キラー「楠木ゆりか」の獄中結婚の相手でもあるのですが・・、といった筋立てになってます。次巻以降、再び「絵麻」vs「ゆりか」の操り人形の対決が展開されるような気がします。

ちなみに「楯岡絵麻」シリーズは2020年にテレビ東京で「栗山千明」さん主演でTVドラマ化されています。放送は終了しているのですが、ドラマの概要はこちらで見ることができますね。ドラマのVODはU-NEXTで提供されています。U-NEXTについては、こちらに特徴やおすすめポイントをまとめています。

【VOD(動画配信)】U-NEXTの特徴とおすすめポイント
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