木乃美の白バイ競技大会出場と箱根駅伝先導の夢はどうなる?ー白バイガール5・6

島根県出身のタレ目のぽっちゃりの癒やし系キャラ「本田木乃美」と、ライダーテクニック抜群ながら、ツンデレ系の「川崎潤」という性格も体型も全く違う女性警官二人が、神奈川県警の白バイ隊で”元気”に活躍していく、「お仕事」ミステリー「白バイガール」の第5弾と第6弾。

あらすじと注目ポイント

白バイガールはオリンピックを襲うテロ集団と対決する(「白バイガール 爆走!五輪大作戦」)

前巻で、一般道でバイクの最高性能をいかにして引き出すか、という「最高速アタック」という暴走行為の陰で進行していた大規模なバイク窃盗団をつかまえた木乃美と潤たちなのですが、東京オリンピックをターゲットにする大規模テロ組織と対決するのが「白バイガール」シリーズ第5弾の『佐藤青南「白バイガール 爆走!五輪大作戦」(実業之日本社文庫)』です。

今巻の冒頭は、木乃美たちが、東京オリンピックの野球競技に出場する日本代表の練習を、横浜スタジアムで見学しているところから。本巻の物語の設定では、新型コロナウィルスといったものは毛ほどもなく、外国人の入国もフリーで、観客もばんばん入ったオリンピックが開催されているのですが、これが今巻の物語の犯人集団の動機と密接に関連していきますので、覚えておいてくださいね。

で、物語のほうは、あちこちに衝突して破片を飛び散らせながら、横浜駅に向かって爆走していくライダーを、白バイ隊員が追跡しているところからスタート。そのライダーの運転は酒か薬物でもやっているのでは、と思われるぐらい危なっかしいもので、横浜駅の近くにいた人々を何人もなぎ倒す大惨事をひきおこします。

このバイクの暴走が、白バイの過度の追跡が原因では、という声があがり、木乃美や潤の同僚の白バイ隊員・元口が非難されることとなるのですが、木乃美たちの自主的な現場検証で、犯人のバイクが歩行者を跳ね飛ばして車道に飛び出す度に、歩道へ戻る走りをしているスキッド痕をみつけ、これが故意の「殺人」であることをつきとめ、犯人捜しを始めることとなります。

この捜査の過程で知り合うのが、公安部に属する「塚本」という刑事で、彼によると、この犯行にかげにオリンピックをテロ行為によって妨害し、社会を不安に陥れようとする「学生団体」の仕業らしく、首筋にタトゥーを入れている首謀者をみつけるため、動体視力に優れる「木乃美」に白羽の矢が立ったわけですね。

で、いつもの巡回パトローを使って、木乃美が犯人捜しを続けていくわけですが、野球のオリンピック・メンバーによる飲酒運転があったり、犯人のアジトを見つけ潜入すると、圧縮鍋を改造した爆弾によってアジトが爆発したり、この爆弾を積んで暴走する、首謀者に運転するトラックとカーチェイスを繰り広げたり、と連続していきますので、激しいアクション・シーンについていきましょう。

そして、犯人たちが作った最後の一つの爆弾の行方をめぐって、木乃美たちの推理が展開していくのですが、彼女たちが向かった先は、オリンピックの野球会場で・・という展開です。

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木乃美の白バイ競技大会優勝と箱根駅伝先導の夢はどうなる?(「白バイガール フルスロットル」)

箱根駅伝の先導を務めることが夢で、白バイ競技大会に出場するために日夜精進をかさねながらも、ドライビング・テクニックに優れる「潤」に先を越されてきた木乃美もやっと今回、晴れて競技大会の出場候補メンバーに選ばれます。

上位入賞して、箱根の先導の座をつかむべく合同訓練に臨んだ木乃美にふりかかる事件が描かれるのが、「白バイガール」シリーズ第6弾の本書『佐藤青南「白バイガール フルスロットル」(実業之日本社文庫)』です。

物語のほうは、白バイ競技大会の合同訓練に参加している木乃美と、警察署のほうに残って、木乃美が長期出張している穴を埋めながらパトロースにあたっている潤の二人にそれぞれおきる事件が並行して描かれます。

まず「潤」のほうは、横浜の繁華街の主導権を巡って、日本のヤクザと韓国系のマフィアとの抗争事件の捜査に関わっています。韓国系マフィアのドンの命を、日本のヤクザが、表面上は除名した元構成員に狙わせている、という構図で、市中での銃撃も想定される、かなりアブナイ事件なのですが、この捜査の過程で、韓国人青年の「姜」という青年と知り合い、そのツンデレなところと、祖母思いのところに「潤」がだんだんと惚れていく、という展開ですね。
もっとも、狙われている韓国マフィアのドンの正体をさぐるために潜入して、韓国の木彫りの面を被った三人組に襲われたり、とアブナイ目にもあってますので、けして「恋」に浮かれているわけではありませんので念のため。

一方、木乃美のほうは、関東地区の警察本部の白バイ競技大会の出場候補となっているメンバーたちと合同の練習合宿を行っているのですが、この出場メンバーで、大会優勝の有力候補である警視庁と群馬県警の女性白バイ隊員が連続して自損事故を起こします。
二人ともバイクで走行中、突然「猫」が飛び出してきた、というのですが・・という展開です。二つの事故がおきたのは、どちらも交通量の多い公道で、猫が飛び出すようなところではないのと、ドライビングテクニックに優れた警察官二人を転倒させるようなトリックが何だったのか、というのは謎解きのキモですね。これを仕組んだ動機のほうは、最後のほうで明らかになるのですが、「えー」という声が洩れてしまうかもしれません。

そして、今巻の見せ場は、抗争事件の巻き添えで死んだ祖母の恨みを晴らすため、犯人をおいつめる姜が返り討ちにあってしまうのですが、バイクで逃げ出す犯人を、木乃美と潤が追走。そして、二人が共同したあの「技」が犯人に炸裂し・・というところですね。

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レビュアーの一言

白バイガールは、この第6弾をもってひとまず終了と言うことで、箱根駅伝先導という夢を叶えるための前段階となる白バイ競技大会出場という木乃美の夢の行方がどうなるのかは、第6巻の最終章で明らかになります。けして才能に恵まれているとはいえず、最初の頃は転倒したバイクも起こせなかった「木乃美」の見事な成長は嬉しい限りですね。

白バイガールとしてはシリーズ終了でも、消防ガールに登場したように、「楯岡絵麻」シリーズとか、筆者の他のシリーズへの登場も期待したいところです。

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