あなたも、新時代のリーダーの資格はある ー ピョートル・F・グジバチ「ニュー・エリート」

「世界一速く結果を出す人はなぜメールを使わないのか」「0秒リーダーシップ」「PLAY WORK」などで、新しい働く環境やスキルについて、幅広く著作をあらわしている、おなじみの「グジバチ」氏による、AIなどの進化で大きく変わっていく現代における「新しいリーダー論」である。

モルガン・スタンレーやGoogleなど最先端の企業で働いてきた筆者の手によるものなので、単なる精神論にとどまらず、具体的なノウハウにまで及んでいるのが、ありきたりの「リーダー本」とはちょっと違うところである。

【構成と注目ポイント】

構成は

第1章 2020年代の「成功者」とは?
第2章 常に学び、自分をアップデートする
第3章 決断は直感で。早く動いて結果を出す
第4章 会議・チーム作りはアウトプットから逆算する
第5章 スプリントのリズムで体調を管理する
第6章 人材をめいっぱい活かす企業のやり方

となっていて、まず、今までのエリート層を「 従来型のオールドエリートは、固定化された「地位」みたいなものでした。」で「 裏を返せば、オールドエリートには成長の余地がないということです。」と、今までのリーダー層に対する否定から始まる。このことは、うすうす、ほとんどの人が気づいていることなんであろうが

ナレッジエコノミーの時代になると、専門性や知恵が求められるようになりました。
ところが、これらも今やアウトソーシングで事足ります。
これからの働き方のステージは、クリエイティブエコノミーです。
そしてこの時代に生き残る人材や企業は、ゼロから新しい価値を生み出す人々であり、彼らに求められるのは、情熱、創造性、率先です

といったことで、ほんの少し前まで言われていた「ナレッジ・マネジメント」もすでに古びたのか・・・、としょんぼりしてしまう人もあるとは思う。

一方で

今のところ選択肢の多さは、時間とお金に比例しています。
お金を豊富に持って、そのお金で時間を作る。
結果として、選択肢を増やすことができ、やりたいことに注力できます。
でも、この先ずっとこの状態が続くとは思えない。
なぜかというと、時間とお金の必要度が大きく変わり始めているからです。
新しい事業を起こすとき、ちゃんとしたビジョンやパツションがあれば、仲間も技術も、資源すら集まってくることが起きています。
そうすると、お金がないからできない、時間が足りないという課題さえ周りが解決してくれて、人の輪が選択肢を生み出してくれるのです

ということなので、見ようによっては、より多くの人に「チャンス」が広がっているということなんであろう。

で、そうした時代にあっての、自分のレベルアップの仕方も当然、工夫が必要で

それと同じ理屈で、日頃から成功者と接していると、自分が成功する確率も高くなります。
ですから、成功者と会うチャンスをもっと大切にしてほしいのです。
成功者と会ったときには、その人の価値観や、これまでの人生の歩み、成功した理由(その自分なりの解釈)、成功しそうで失敗した理由などをとにかく聞く。

といったオーソドックスな人とのネットワークの構築に加えて

情報収集術僕の情報収集について、少し紹介します。
まずグーグルアラー卜を活用して、重要なキーワードー「イノベーション」「エアビーアンドビー」「テスラ」「グーグル」「アップル」など―に関連する最新情報が毎朝メールで通知されるように設定しています。
また、グーグルトレンドを見て、そのとき人々の関心が高いニュースもチェックしています

といったようなネットを使った情報収集をしたうえで、「人からネット」へ、あるいは「ネットから人へ」と双方向にやっていくのが、グジバチ流ニューウェーブのようですね。そして、さらに「ふむ」と思わされるのが

手に入れた情報は常にストックしています。
手書きでメモをすることも、グーグルキープにメモすることもあります。
グーグルキープには音声や写真も記録できます。
たとえば雑誌を読んでいて参考になりそうな記事は、すかさず撮影しておきます。
メモをした内容は、空き時間などに見直します。
そして、「なぜ、この記事に心を動かされたのか」「自分の考えや理論とどう関係があるのか」を考えます。
この作業を「自分化」と呼んでいます。
グーグルキープに記録した情報は、 一日の終わりに見直すこともあります。

といったことで、「”インターネット” ー ”人” ー ”自分”」といったハイブリッドな構造をつくるのがキモのようですね。
このほか、イノベーティブな組織の作り方であるとか、リーダーシップの新しい姿、自分のブランディングなど、「ニューエリート」に関するテーマが幅広くアドバイスされているので、詳細は原書で確認を。

【レビュアーからひと言】

「はじめに」のところで、筆者の会社で接しているビジネスパーソンを「変革層」「実践層」「変えたい層」「気づいた層」「ゆでガエル層」に分類して、それぞれの評価が書かれているので、ここで自己評価してから読んでみたほうがいいだろう。
このうち「変革層」に属する人は本書を読む必要はないかもしれないが、それ以外の大多数の方は読んでおいたほうがいいという感じですね。もっとも、「変革層」に属する人は、こうした本を書く側にいるんだろうから、総括すれば、「ゆでガエル型」を除く、ほとんどのビジネスパーソンにおススメといっていいかな。本書によれば

具体的に計画して行動している人が、どんどん自由な働き方を手に入れる。
一方で、行動しない人たちのキャリアが閉ざされていく。
そんな二極化に拍車がかかるはずです。
成功した起業家たちと話をしていると、みんな拍子抜けするくらい「普通の人」たちです。

ということであるので、本書に興味をもった全ての人に、ニュー・エリートなるチャンスがあるといっていいのではないでしょうか。

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