洞窟の闇を抜け、ヤノハは「日見子」となる ー 「卑弥呼ー真説・邪馬台国伝 2」

古代史最大の謎「邪馬台国」を舞台に、日向の巫女の娘が、権謀術数の限りを尽くして、生き残り成り上がっていく物語『リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国シリーズ』の第2弾。

前巻で、「暈」の国の巫女集団の学び舎・種智院に潜り込むことに成功するのだが、そこで、「天照」の恩寵を受け、百年に一度出るか出ないかの巫女・日見子の素質をもった「モモソ」を殺害したのだが、その無実を立証するため、「トンカラリンの洞窟」に放置されたヤノハのその後が描かれる。

【収録と注目ポイント】

構成は

口伝7 暗闘
口伝8 東へ
口伝9 日見子誕生
口伝10 一計
口伝11 聖地
口伝12 四番目
口伝13 思惑
口伝14 女王国

となっていて、まずはこの「暈」の国を治める「タケル王」と

「鞠智彦」が登場。

前者が、宗教面の統治者で、後者が実質の政治面での統治者という役回りですね。このタケル王は、天照の化身である「日見彦」であると自称しているのですが、じつはそんな霊力はなく、これから、ヤノハが偽装する「日見子」と対立していくことになるますね。

で、その「ヤノハ」のほうは、種智院の院長・ヒルメによって、他の祈祷女たちととももに「トンカラリンの洞窟」へ放り込まれています。この洞窟は、「日見子」であれば脱出が可能といわれていて、洞窟の中では日見子には太陽の音が「トンカラリン」と聞こえ、その音に導かれて脱出ができる、という言い伝えとなってます。

そして、この洞窟の中で、ヤノハは「アカメ」という少女と出会い、彼女とともに脱出を図ることになります。実は、この「アカメ」は鞠智彦将軍の配下の忍びでなのですが、この洞窟からの脱出騒動によって、この後、ヤノハの影武者として味方になる設定ですね。

そして、この洞窟脱出で役立つのが、ヤノハが日向にいた時に、母親から教わった、火打石を使って火起こしの技術であるとか、即席の磁石づくりの技です。この知識は、なまじの霊力よりも役に立つもので、ヤノハが夢の中で、彼女が殺したモモソに

と日見子の素質を持ったモモソを殺した罰として「倭国大乱をおさめる」役目をすつことになった理由かもしれません。そして、ヤノハは見事、このトンカラリンの洞窟を脱出し、

「日見子」を名乗る資格を得ることとなりますね。ただ、もともと霊力のほうは心もとない「ヤノハ」なので、彼女が真正の「日見子」であることを疑う、「暈」国の種智院の院長・ヒルメ、タケル王、鞠智彦にそれぞれ殺害や捕縛を狙われることになります。
この危機を脱するため、ヤノハがとった手段は、ヤノハの協力者となった種智院の巫女・イクメの父親・ミマト将軍の守る「山杜(ヤマト)」を逃げ込むことで・・・という展開なのですが、ここから先は本書のほうで。

【レビュアーから一言】

トンカラリンの洞窟から生還した後、ヤノハの味方になった種智院の巫女・イクメによって、

という「日向」の里の秘密が語られます。いわゆる「東遷説」を思わせるものなのです。仮にそうだとすると、今は霊力のかけらもないように見える「ヤノハ」も、日向の巫女の娘ですので、実は・・・、といった隠し玉が後から出てくるかもしれません。

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