ヤノハは日下の大軍を「青谷」の地で迎え撃つ=「卑弥呼ー真説・邪馬台国伝」13

古代史最大の謎「邪馬台国」を舞台に、日向の巫女の娘が、権謀術数の限りを尽くして、生き残り、山社の国の女王「日見子」として成り上がり、九州諸国を束ねて、倭統一へと動き出す漫画版・卑弥呼物語『リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国」』シリーズの第13弾。

前巻で、穂波の国の中国からの渡来人の集落から鉄製の武器を凌駕する新式武器を手に入れ、五カ国の軍隊とともに本州へ進軍した卑弥呼ことヤノハは、いよいよ、金砂の国に進軍してきた、日下国の王・フトニ王との決戦に挑みます。

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あらすじと注目ポイント

第13巻の構成は

口伝95 鏡奇譚
口伝96 開戦の時
口伝97 遺言
口伝98 和議
口伝99 死に場所
口伝100 約束の地
口伝101 最後の大嘘
口伝102 囮

となっていて、冒頭話では、洞窟の神社に籠るヒルメのもとに、若い夫婦がやってくるところから始まります。この二人は最近、赤ん坊を亡くし、妻は毎日泣き暮らしていたのですが、ある満月の夜、家の近くに鏡とともに捨てられていた赤ん坊を見つけ、我が子として育てることにしたので、赤ん坊の安全の祈祷にやってきた、という筋立てです。

その赤ん坊が持っていた鏡と赤ん坊を捨てた親らしい者が刺青をしていたということでヒルメはその子の素性に気づき、ある利用目的を考えつきます。この赤ん坊の名は拾った夫婦によって「ニニギ」と名付けられているのですが、古代史ファンの人にはこの子の次巻以降の役回りにお気づきかと思います。

物語の本編では、金砂の国の事代主の殺害を命じられた日下国軍の将軍・吉備津彦は、事代主の神殿を多数の民衆が取り囲んでいるため、攻めあぐねています。

そこに、九州六カ国の軍が現在の山口県である「穴門」に到着し、こちらを目指して進軍しているという情報がはいり、日下のフトニ王からも事代主の始末を急ぐよう催促が入ります。事代主におとなしく投降すれば、神殿を取り囲んでいる民衆の命を助ける、と説得を続け、それに従うかのように、事代主は神殿をでてくるのですが、実はそこには、那のトメ将軍とミマアキも民衆の中に紛れ込んでいます。吉備津彦の目を欺く、「事代主」救出作戦がここから発動していきます。

一方、穴門に上陸したヤノハたちは、そこで金砂国を解放する作戦をたてています。しかし、日下の攻撃軍は、日下の直轄軍のほか、摂津、播磨、四国をあわせた1万の大軍で七百ばかりの九州六カ国軍がまともにぶつかっても勝ち目はありません。

ヤノハは兵を二手に分け、金砂国の「青谷」という海べりの土地へ、日下軍をおびき寄せるのせすが、彼女の秘策とは・・という展開です。ここで、ヤノハたちと戦う日下軍の総大将が、吉備津彦の弟「ワカタケ」といって、日本書記でいう「吉備氏」の遠祖となる「稚武彦」であろうと思われるのですが、このシリーズでは、青谷の戦闘でヤノハに射殺されてしまいます。

ちなみに、日下軍に参加している「伊予之二名島」、今の四国の軍勢には、「賛岐(さぬき)」「土器(どき)」「伊予(いよ)」「五百木(いおき)の4国のほか、「「土佐(とさ)」も加わっているのですが、瀬戸内海に面した4カ国と違って、四国山地を越えた土佐地方がこの時代に、大和政権の影響下にあったかはもう少し調べてみたいと思います。

卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-(13) (ビッグコミックス)
一万 対 七百の戦いが幕を開ける!! 出雲の事代主救出のため…… 同盟国の王ら...

レビュアーの一言

ヤノハが、日下のフトニ王の大軍を迎え撃つ、金砂国の青谷は、鳥取県の東部にある「青谷上寺地遺跡(あおやかみじちいせき)」が比定されているのでは、と推測されます。

この遺跡は当時は日本海側に点在する潟湖(ラグーン)のほとりに位置し、天然の良港として漁撈活動や対外交易がおこなわれていたと推測され、この地域では産しないヒスイサヌカイトも出土しています。さらに、ここで発見された人骨には殺傷痕のあるものもあり、なんらかの戦闘がここで行われたことを示しています。

ちなみに、遺跡が低湿地にあり、水分を大量に含んだ土の中にパッキングされたように遺物が保存されていたせいか、弥生人の「脳」もここで見つかっています。

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