「卑弥呼 真説邪馬台国」=ヤノハは出雲の事代主と手を結び、日下のモモソ姫との対決を決断

古代史最大の謎「邪馬台国」を舞台に、日向の巫女の娘が、権謀術数の限りを尽くして、生き残り、女王として成り上がっていく漫画版・卑弥呼物語『リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国」』シリーズの第9弾。

前巻でチカラオと交接したため、巫女王を続けることに自信を失い、出雲の金砂国の事代主との面談を承知した卑弥呼と、サヌ王の古族の後をおって、畿内へ向かい、サヌ王の末裔の治める「日下」国のフトニ王の娘・モモソに出会ったトメ将軍とミマアキだったのですが、今巻では事代主に会った後の卑弥呼の決断と、畿内の日下国の意図が明らかになってきます。

あらすじと注目ポイント

構成は

口伝63 別の神話
口伝64 日下の日見子
口伝65 苦難
口伝66 陣形
口伝67 八咫烏
口伝68 それぞれの運命
口伝69 敵か味方か

となっていて、まずトメ将軍とミマアキと、畿内のサヌ王の末裔の治める日下国の巫女・モモソとの面談のシーンから始まります。
この国でも伝染病「厲鬼」が流行していて、畿内の宮殿からは日下のフトニ王や配下は北方へ逃れていて、モモソは国の伝染病を鎮めるために残されているという経緯なのですが、彼女はトメ将軍たちに、畿内と四国を支配下におき、中国地方もほぼ手中におさめている「日下」国が「筑紫島」へ侵攻する予定であることを伝えます。すでに、その先制攻撃と一つとして、「厲鬼」に感染した者たちを筑紫島へ送り込み始めていることを告げます。この先発部隊が、前巻で山社国油津に漂着した五百木の海賊ということかと思われます。

この日下の攻撃はなにやら、現代の生物兵器による攻撃を思い起こさせるのですが、くれぐれも今回の新型コロナウィルスと同一視しないほうがいいでしょうね。

一方、同じ頃、卑弥呼のほうは那国の弁都留島で出雲の国の王・事代主と会い、彼から日下国の情報を得るとともに、日下の「天照大御神」の神話を聞いています。それによると、日下の国は、出雲の国の主神・大穴牟遅神(オオナムチノカミ)を自らの神話の中に取り込もうと出雲の国へ要求してきています。領土の実行支配だけではなく、神話つまりは文化自体を吸収してしまおうという意図で両者の共存を認める「ヤノハ」の方向とは真逆のようですね。

そして両国の和平条約とひきかえに、卑弥呼が事代主に要求したのは、この伝染病の感染を防ぐ、薬草をはじめとした医術知識で・・という展開です。ここで事代主が伝える防疫方法は、解熱をするヨモギなどの薬草の使い方などもあるのですが、最も効果的なのは国や邑を閉鎖して、人と人との接触を極力断つ、ということらしく、感染症の防疫対策は古からあまり変わっていないようですね。

巻の後半では、モモソの宣戦布告にちかい発言を受けて、トメ将軍は日下国からの逃亡をを図るのですが、ここで日下国の追手がかかります。伊香のシコオと呼ばれる日下の戦人である「物部」たちとか、日下王の隠密として暗殺を司る「八咫烏」とか、記紀の日本神話や古代政府の中で重要な立ち位置にあった「古族」たちが出てきています。

卑弥呼の女王国の所在地については、畿内説と九州説の決着がまだつかない状況なのですが、このシリーズでは「二つの女王国」というコンセプトが提案されているようですね。

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レビュアーの一言

今巻では、チカラオに乱暴され、身籠ってしまった「ヤノハ」が「厲鬼」と戦うというのを口実に「千穂の岩屋」に籠もるところで終わっていて、このあたりが、天照大神が天の岩戸に隠れた神話のもとになったのかな、と匂わせています。
さらに、魏志倭人伝によると、卑弥呼の死後、内乱状態になったのですが同族の「臺与(「壱与」とも伝わります)」が女王となることによって国が治まったと言われているのですが、巫女王であるため処女であることが義務付けられた卑弥呼の血縁者の娘の正体についての本シリーズの解釈ですね。

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