ヤノハはタケル王を始末し、ヤマトの支配を固めるー「卑弥呼ー真説・邪馬台国]」4

古代史最大の謎「邪馬台国」を舞台に、日向の巫女の娘が、権謀術数の限りを尽くして、生き残り成り上がっていく漫画版の卑弥呼物語『リチャード・ウー・中村真理子「卑弥呼ー真説・邪馬台国』シリーズの第4弾。
前巻までで、山社(ヤマト)へ入り、この地を統治するミマト将軍と巫女・イスズを味方に引き入れて、拠点確保に成功した日見子ことヤノハだったのですが、彼女の動きを封じるため、暈(クマ)の国のシャーマンキング・日見彦を名乗る「タケル王」が国軍を率いて山社へと攻め寄せてきます。この危機をヤノハは切り抜ける彼女の智謀が見られるのが本巻。

【構成と注目ポイント】

構成は

口伝23 膠着
口伝24 交渉
口伝25 光
口伝26 剛毅
口伝27 兵法家
口伝28 賽は投げられた
口伝29 軍界線
口伝30 人柱

となっていて、まず、種智院の長で、愛弟子をヤノハに殺されたため、ヤノハの失脚を狙ったヒルメの追放のシーンから始まります。ヒルメに四肢を砕く刑を与えるのは、かつての種智院の部下たちなので、ヤノハは種智院を支配化におき、宗教勢力を我が手のうちにしたようですね。ただ、ヒルメは追放後、狼を操る謎の人物に出会っていて、ここが次巻以降の隠し玉になっているようです。

一方、暈の国の兵に包囲されたヤノハのほうは、配下となった忍びのアカメや女戦士・ヌカデを使った謀略戦を展開します。暈の国に対峙する強国・那国のトメ将軍を動かし、暈国の軍勢の背後をつかせるのですが、一方で、那国に流言を流し、味方ともいえるトメ将軍を更に牽制する手を打っておきます。これには、アカメも

とヤノハを非難するのですが、これに対して「面白いだろ?」

とうそぶくヤノハにはもっと深い意図がありそうな気がします。まあ、那国のトメ将軍を使って暈の国軍を揺さぶり、ついには敵のタケル王の始末まですることに成功し、さらにトメ将軍の軍隊も母国に引上させるのですから、ヤノハの謀略の腕は見事なものです。こうしたヤノハを那国のトメ将軍は、「巫女」ではなく

と評しているのですが、「山社vs暈」戦争の様子とあわせて、原書のほうで。

そして、暈国の圧迫を退け、那国も国内の勢力争いを激化させた後、ヤノハは宿願の「日向」の併合へと向かいます。この物語では、日向の地は、かつて倭国の統治していた「サヌ王」という支配者が東へ向かった後、各国の緩衝地帯となっていたところなのですが、ヤノハにとっては故郷でもあり、この地の平定は義母の願いでもあるので、ぜひとも叶えたいところです。

ここで日向へ軍を進めようとするヤノハの夢枕へ、再び「モモソ」の幻が現れ、ヤノハに

という託宣を伝えます。真性の「日見子」でヤノハに忙殺されたモモソは、こんな感じでヤノハを大事な局面で誘導し、ヤノハを通じて「日見子」として出現しようというところでしょうか。
このモモソの託宣に従って、ヤノハは日向へ行く前に、「天照(アマテラス)」の聖地である「千穂」(現在の「高千穂」ですね)へ行き、日見子としての権威性を高めることを狙うのですが・・・と新たな展開が始まります。

【レビュアーから一言】

今巻ででてくる那国の勢力争いの原因の一つは、中国大陸との貿易を司る「島子」の役職につきたい「トメ将軍」に対し、「ウラ家」の勢力が邪魔をしている、という事情があります。

”ウラ”島子、ということでわかるように、「浦島伝説」を「家」の創設伝説にもつ家、という設定ですね。浦島伝説は丹後の伝説として有名なのですが、似た話は西日本各地にあるようなので、ルーツはひょっとしたら邪馬台国以前の九州という説もありえるかもしれませんね。

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