癒やされカフェはスイーツイベントの注目の的となるー清水ゆう「鹿楓堂 よついろ日和」2・3

東京郊外にある、古民家風の小さな甘味処を舞台に、この店で働く4人のイケメンが、店に訪れるお客の悩みを、絶品の「菓子」や「料理」、「珈琲」を使って解決していく、癒やし系スィーツストーリーの「鹿楓銅よついろ日和(バンチコミックス)」シリーズの第2弾と第3弾。

構成と注目ポイント

パティシエ・つばきは、スイーツ・イベントで開眼する

第2巻の構成は

第5話 カフェの取材は大変だ!?
第6話 今日は〇〇な気分
第7話 迷える乙女に愛の手を
第8話 魅惑のスイーツコレクション 前編
第9話 魅惑のスイーツコレクション 後編

となっていて、まず第5話では、とても強面でタウン誌の記者とも思えない人物「砂金さん」が登場。

彼は後の巻でもちょくちょく顔を出す、常連客の一員となるのですが、今倭では、ダメ出しが続いて編集者としての適性に悩み始めた彼が、ひさびさに通した「今行くべき最先端おしゃれカフェ特集」の取材で、流行っている他の店には気後れして入店できなかったところ、ようやく「鹿楓堂」に拾われる、という展開です。

この縁で、鹿楓堂のパティシエをしている「つばき」が、彼が気後れして入店できないでいる「カフェ」の取材に同行して、記事作成の協力をするというシチュエーションです。ここでチェックしておくべきは、

というワッフルでしょうか。前年ながら白黒シーンしかないのですが、想像をたくましくして擬似試食をしてくださいね。

第6話は昼食難民となってしまった、「柴野くん」という若手ビジネスマンに、シェフの「ときたか」が、メニュー外の「天丼」を出したことによって、思わぬ余得にあずかる話です。ちなみに、今話で提供される天ぷらは「とり天」ですね。第7話の真面目なビジネスマンに気に入られようと奮闘する、元気のいい金髪ギャルを手助けするパティシエの「つばき」の姿とセットで、「鹿楓堂」の優しさがしみこんできます。

第7話と第8話の「魅惑のスイーツコレクション」では、デパートの催事の仲介をしている「角崎」という結構調子の良い人物が、「鹿楓堂」を訪ねてきて、スイーツコレクションに出店しないか、という話を持ち込んできます。当初、参加予定だった店が出店できなかったために急遽、「鹿楓堂」に目をつけた、ということで、これが「詐欺話」というのはよくある設定なのですが、今回の場合は「本物」。しかも、客の集まりやすい一等地のブースで、「ウワサの隠れ家的名店」と鹿楓堂のことを告知して目立たせてくれる、という広報つきの待遇です。お客の目の前で菓子づくりをしたことのないメンバーはテンパりまくりなのですが・・・という筋立てです。
まあ、追い詰められると人間は急成長するもので、なんとかこの催事をこなし終えるのですが、ここで、「スイ」が有名大企業・東極グループの御曹司であることが判明して・・・という展開ですね。

Bitly

京水は対立している兄・八京と出会う

続く第3巻の構成は

第10話 春の悩みをふきとばせ
第11話 小さな珍客
第12話 それぞれが選んだ道
第13話 ダイエット大作戦 前編
第14話 ダイエット大作戦 後編
第15話 真夏の友情

となっていて、第10話、第11話は、第2巻の怒涛のようなデパート催事の後の、箸休め的なお話。

五月病でどんよりしている常連客を元気づけるための「苺スィーツパーティー」とか、「スイ」の愛猫のもとへ迷い込んできた黒い子猫のお話です。猫好きはおさえておきたいところですね。

第12話から第14話までは、「スイ」の実の兄との関係性が少し明らかになってきます。前巻で催事イベントを持ち込んできた「角崎」さんが、今度は「スイ」の実の兄「八京」をつれて来店してきます。もともと「鹿楓堂」は二人の祖父が経営していた喫茶店で、子供の頃はスイこと京水と、八京ふたりでよく遊びに来ていたのですが、中学の頃から二人の間に隙間風が吹き始め、そのため、祖父の店にも八京の脚が遠のき、という状況のまま大人になっています。

第13話と第14話の「ダイエット大作戦」では、ダイエット中にもかかわらず、「鹿楓堂」のお菓子と料理の旨さに

と「陥落」してしまう夫婦のストーリーをメインにしながら、八京が割ったまま、店に残されていた湯のみ茶碗をシェフ「ときたか」が金継ぎしてくれるエピソードが語られるのですが、割れた茶碗にはなにか兄弟の因縁がかくされていそうです。

鹿楓堂よついろ日和 3巻: バンチコミックス
和風喫茶・鹿楓堂(ろくほうどう)はスペシャリスト4人が働く人気店。毎回個性豊かなゲストが訪れ、一風変わった悩みを持ち込んでくる。今回のゲストは、ダイエットがなかなかできない夫婦、なかなか元気が出ない常連客達、親友が転校してしまう少女、小さな...

レビュアーから一言

この2巻と3巻では、シリーズのこれからに登場するキャストがだんだんと揃っていっているとともに、主人公である「スイ(京水)」が大きな企業グループの経営者一族であることと、兄弟間の深いわだかまりの存在を垣間みせてくれています。」スイ」の兄・八京は、鹿楓堂にはあえて関心をもとうとしていないのですが、八京の部下的存在の「角崎」がトリックスター的な役回りでちょっかいをだしてきますので、後の巻では鹿楓堂のメンバー全員を巻きこむ騒動が予測されるところですね。

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