デジタルとアナログの融合したメモの極意を学ぼうー上坂徹「メモ活」

筆者はフリーランスのライターとして、経営、金融、ベンチャー、就職問題など幅広い分野のインタビュー記事や執筆活動を展開しているとともに、ブックライターとしても幅広く活躍されていて、「毎月1冊、本を書いている」といわれるほどの売れっ子の「物書き」。

その筆者が、大量に執筆できる秘訣としている「メモ」の極意について惜しげもなく開示してくれているのが本書『上坂徹「メモ活」(Gakken)』です。

構成と注目ポイント

構成は

はじめに 「なんでもメモ」の習慣が人生を変えた
第1章  「メモ括」の基本原則
第2章  とにかくすぐに記録する!段取りメモ
第3章  A4ノートに記録する!要約メモ
第4章  速く、正確に記録する!スピードメモ
第5章  思考を加速させる!アイデアメモ
第6章  文章力の決め手!素材メモ
おわりに

となっていて、「はじめに」のところで筆者は

本当にたくさんの仕事、さまざまな仕事に携わらせていらだいたのですが、それを可能にしてくれたもののひとつが、間違いなく「メモ」です。
(中略)
私がやっているのは、ややこしいメモ術ではありません、とにかくメモする。いつでもどこでもメモする。なんでもメモするのです。

とされていて、どうやら筆者の大量の執筆活動の源泉は「メモ」にあって、その「メモ術」のキモを学べば、ビジネスや自己表現活動でも大きな成果をあげられそうな気がしてきます。

その中でも、まず、多くの人が一番悩みのタネとしている「アイデア出し」のところに注目したいのはまず

アイデアはデスクで考えない、考える時間をスケジュールにも組み入れない。ではいったいいつどこでアイデアを考えるのか、応えはシンプルで「いつでもどこでも」考えるのです。
(中略)
何かの表紙にアイデアが出てきたとき、すぐにキャッチしてメモしておくこと。このことがなにより大事なのです。

というところで、このへんは他の著者の企画、アイデアを出すときの秘訣としてよく言われるところですが、本書の特徴は、

メモアプリを使う方法もありますが、メモを一覧できる点やメモできる量、パソコンと同期できること、メモがまとまったらそのまま自分にメールを送ってしまえる便利さから、メーラーにメモするようになりました。

とアイデアをスマホに貯めていき、さらにそれを見直して膨らました上で、最終的には

スマホやパソコンだけで完結してしまうことはあまりありません。小さな画面の中では、思い浮かぶことに限界があると思っているからです。
そこで使うのが、A4サイズのノートや紙です。・・・スマホのメモを全て書き写すわけではありませんが、メモから発想するキーワードを書き連ねてみたり、そこから浮かんでくる別のキーワードを書いてみたりします。

ということでスマホと手書きの紙とのハイブリッドで進めるという柔軟さは参考になりますね。現在ほとんどの人が常時持っている「スマホ」をアイデアの卵の受け皿として考え、その発展を「紙」でまとまった時間をとって行うというやり方は、多くの人のライフスタイルにぴたりくるのではないでしょうか。

そして、もう一つ見逃してはならないのが、最終的に「文章」に仕上げるときの「素材メモ」という考え方。筆者によれば

文章の「素材」があれば、読み手に必要なことは十分に伝わる、ということです。
(中略)
そして文章の「素材」とは、事実、数字、エピソード(コメント=会話文)だということに気づきました。その3つだけで文章はできているのです。
(中略)
「素材」をしっかりメモしていさえすれば、文章を書くのに困ることはもうありません

ということで、文章や企画書を書くとき、書き始めは調子よくても、だんだんとまとまりがつかなくなったり、途中で頓挫してしまうことがままあるのですが、その原因は思考が足りなかったのではなく、各材料がそもそも不足していたことが原因だったのか・・と改めて気づいたところであります。この「素材を貯める」という意味でも「どこでも、なんでもメモをする」というのがキーワードになってくるわけですね。

このほか、すばやくメモをとるテクニックや、基本のスケジュールメモなどの技も載っているので、「メモ術」に興味のある人は一読をおススメします。

レビュアーから一言

今、「手書きをする」ということが見直されている傾向があって、記憶の定着や自由な発想を広げるには、「手を動かす」ことの大事だと言われるようになっているのですが、その意味でも「メモ」を効率よくとる、というのはビジネスの基本中の基本といってもよいでしょう。
その時に、今までは「デジタル」で処理することが流行だったのですが、「手書き」「アナログ」との併用に見直す時期なのかもしれません。

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