吉田友和「ご近所半日旅」=「遠く」へ行くばかりが「旅」じゃない。新しい旅のキーワードは「ご近所」

新型コロナウィルスの感染拡大前は、より遠く、より話題になるところへというのが旅のキーワードだったのが、一挙に旅行需要がへこみ、そこででてきたキーワードが「マイクロ・ツーリズム」や「ご近所旅」。

本書『吉田友和「ご近所半日旅」(ワニブックスPLUS)』は、初海外旅行となる新婚旅行で「世界一周」を敢行し、「3日もあれば海外旅行」「10日もあれば世界一周」など、海外を中心とした旅行作家として有名な筆者が、遠くへ旅行することが困難になった「新型コロナ時代」に見出した新たな旅のおススメです。

注目ポイント>「遠く」へ行くばかりが「旅」じゃない。新しい旅のキーワードは「ご近所」

本書の構成は

第一章 ”ご近所半日旅”とは
第二章 ”超ご近所”で再発見
第三章 ”ややご近所”に遠征する
第四章 人のいない場所を求めて
第五章 いまこそ行きたい一人旅
第六章 ご近所半日旅の心得七箇条
第七章 たとえばこんなご近所半日旅

となっていて、基本は「自宅かた徒歩あるいは自転車で訪問可能なエリア(超こ近所)」か「自宅から電車やバスなどの公共交通手段で短距離移動したエリア(ややご近所)」を「半日程度」で楽しむ旅のノウハウが中心となっています。

なので、新型コロナウィルス感染拡大下で、「星野リゾート」さんほかの観光業界のほうで提案されていたマイクロツーリズム=「自宅から1時間から2時間圏内の地元または近隣への宿泊観光や日帰り観光」と共通点は多いながらもイコールではない感じで、ただし、1~2時間が中心となる「散歩」ともちょっと違う、という微妙な立ち位置ですね。

その時にまず心すべきは

ご近所とはいえ、あくまでも旅先なのだと自分に言い聞かせる、色目が部を外して、馴染みの街との向き合い方を変えてみる。繰り返しになるが、旅人殞モードをオンにするのだ

というのが第一段階。日常の中に、今までとは違う「景色」に気付いていくというのがまず大事のようです。ただ、実際に、ご近所を歩いてみると、新しくできた店や行ったことのなかった「史跡」とか意外に気付いていないことがたくさんあることがわかるはずで、筆者の場合も、室町時代のはじめに吉良氏が築いた「世田谷城」の跡である「世田谷城址公園」に初めて出かけていますね。

そして、移動距離が「ややご近所」となると選択肢もまた広がり、

ご近所半日旅の行き先としては、普段あまり立ち寄らない街へあえて言ってみるのはおススメだ。それも初めて行くのでなく、しばらくご無沙汰していた街がいい。久々に訪れると、街の変化に敏感に反応でき、結構楽しめるのだ

というスタイルになると、これは若者よりも、楽しい思い出や苦い記憶やいろんなものをたくさん抱えてしまった中高年向きの「旅」なのかもしれません。特に「青春」の頃を懐かしく思い出す世代にはおススメかもしれません。
ちなみに、本書は「ご近所半日旅」の心得として

心得一:お金をかけて楽しもう
心得二:時計は持たない方がいい
心得三:荷物は最低限で。手ぶらもアリ
心得四:疲れることは基本的にしない
心得五:旅と「移動」は分けて考える
心得六:スマホを上手く活用せよ
心得七:予定は決めすぎない方がいい

ということを挙げていますので、「ご近所旅」のときの参考にしてくださいな。

このほか、最終章では「レインボーブリッジを歩いて渡る」とか「ローカル線下車しまくりの旅」、「香川まで行かずに「うどん」食い倒れ旅」といったおススメコースが提案されていますので、ご近所の方は実体験してみてはいかがでしょうか。

https://amzn.to/3I5Q5mZ

レビュアーの一言>「旅」を「日常」に組み込んでみよう

2021年の秋になって以前のような「旅行熱」が戻りつつあるといっても、まだまだ人ごみや団体旅行への敬遠感は残っているのが実情だろうと思います。
もともと、星野リゾートさんが「マイクロ・ツーリズム」を提案されたのは旅行シーズンの分散と「端境期」対応のように聞いているのですが、我々旅行者のほうも、お金をたくさん使って「旅」をするだけでなく、日常の中で「旅」を味わう生活スタイルを考えてもいいのではないでしょうか。

【スポンサードリンク】

「ご近所旅」のプランは旅人自らの工夫が必要となるのですが、旅のネタ探しには、街のタウン情報集めが必須。楽天BOOKSといった雑誌系のサブスクリプションサービスを利用すると、効率的な情報収集ができますよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました