変人医師と見習い女性鑑定医は、製薬会社の悪徳幹部と対決する=「フラジャイル」3〜4

臨床にでることなく、生体検査や病理解剖などを通じて、病気の原因過程を診断する専門医が病理医。都会の大病院・壮望会第一総合病院の病理部診断科長・岸京一郎と女性見習い病理医・宮崎、病理部たった一人の敏腕臨床検査技師・森井を中心に、臨床をもたずに患者を治療する病理医たちが臨床医たちの誤診と傲慢、製薬会社の横暴や病院の採算のために医療を切り捨てるコンサルたちに立ち向かう活躍を描く医療コミック・シリーズ「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」の第3弾から第4弾。

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あらすじと注目ポイント

第3巻 変人病理医は、癌の特効薬に隠された偽装事件を見抜く

第3巻の構成は

第9話 岸先生、怖い女が来ます!
第10話 岸先生、怖い女が暗躍しています!
第11話 岸先生、怖い男もいます!
第12話 岸先生、怖い女と対決です!

となっていて、冒頭話では、大手アミノ製薬のMRで上昇志向が強く、利用できるものはなんでも利用する陰謀女子・火箱直美が本格的に登場します。

まずは、岸の元指導医で、医学部の私学の雄・慶楼大学病理部の教授・中熊のところへ、「JS1」という新薬の治験を引き受けてくれる医師の紹介を頼みにくるところから始まります。彼女の言うには、がん細胞に標的性のある基剤で、既存の抗がん剤を化学的に載せてがん細胞を集中的に攻撃できる画期的な薬剤という触れ込みなのですが、胡散臭いものを感じた中熊教授は拒否します。

このため、火箱ちゃんは壮望会病理部の岸に泣きつくのですが、彼はあっさり引き受けて・・ということで「JS1」篇の開幕です。この話では、新薬の承認を得るため、医学界の大物を接待しているアミノ製薬の幹部も登場するのですが、ここでこのシリーズでアンダーグラウンドなところを一手に引き受ける「間瀬」も登場します。

この火箱ちゃんの成り上がるためには何でもやりそうな「怖さ」はぜほ原書のほうで確認してほしいですね。

で、この「JS1」の壮望会での治験の第1号になるのが、膵臓癌のステージⅣで、緩和病棟の稲垣医師が担当医となっている竹田です。彼は最後の望みを託してJS1の治験を申し込んだという次第ですね。

しかし、ちょうどその頃、アミノ製薬にはJS1に関する不穏な雰囲気が漂っている上に、岸尾は他の治験例のうち、退院後、再来院していない高齢の女性患者のケースが気になって・・という展開です。

岸にそのケースに疑惑があることを強く指摘された火箱は、その患者の退院後の状況を調査するのですが、その患者は退院して二日後に急死していることが判明し、同じ薬を服用している竹田に治験を中止するよう勧めるのですが彼は了解しません。そして、火箱は死亡した患者の状況を上司の間瀬に問いただすのですが、彼はある衝撃的な事実を彼女に告げ・・という展開です。

Bitly

第4巻 変人鑑定医は、偽装を隠蔽する製薬会社を掣肘する

第4巻の構成は

第13話 岸先生、怖い男と対決です!
第14話 岸先生、出番です!
第15話 岸先生、セカンドオピニオン外来の時間です!
第16話 岸先生、部下が修行中です!

となっていて、冒頭では、治験者の竹田にJS1の副作用のため急性膵炎の症状が出始めたため、岸たちは火箱の上司・間瀬と対決します。そこで間瀬は竹田が死亡した場合、検査解剖をして膵臓をアミノ製薬に提供してほしいことと症例報告を改ざんしてほしいと岸に要請するのですが岸は拒否。これに対し、間瀬は治験を終了することを岸に宣言するのですが・・という筋立てです。

同じ頃、竹田は火箱と一緒に野球観戦のデートにでかけているのですが、これを思い出に、竹田はあの世へ旅立つことになってしまいますね

そして、治験の強制終了によって、竹田のJS1の副作用の症例ももみ消されてしまったのですが、アミノ製薬による治験症例の偽造を暴くため、岸はある強行手段に出るのですが・・という展開です。

ちなみに、岸の行動をアシストするため、宮崎医師は男子トイレに立てこもることになるのですが、詳細は原書で。

この事件で火箱はアミノ製薬をクビになるのですが、すぐさま他社で復活しているのが彼女のたくましいところです。

後半部では、少しでも収益を上げるため、病院にはいってきた経営コンサルの助言で、岸と宮崎はセカンドオピニオン外来の開設と運営を押し付けられることになります。収益のでない病理部の収益をあげようという魂胆なのですが、これがいまくいかなければ病理検査自体を外注しようという企みも隠れているようですね。

そして、全くやる気のない岸に、外来患者の対応をおしつけられた宮崎医師は、案の定、一筋縄ではいかない患者たちを相手にして、てんやわんやになるのですが、それを救ったのが放射線科のベテラン医師の高柴で・・という展開です。

宮崎はこの高柴から医師のいろんな心得を押してもらうことになるのですが、これがもたらす事態は次巻で。

Bitly

レビュアーの一言

JS1の治験者となった竹田とアミノ製薬営業の陰謀女・火箱の野球場デートで語られる近鉄とロッテのエピソードは、1988年、昭和63年の近鉄・ロッテの最終戦の話なのですが、コミックで火箱が語る話のほかにもエピソード満載ですね。

この試合はダブルヘッダーの第2試合として行われたもので、このダブルヘッダーに連勝すれば近鉄の逆転優勝、という試合です。前シーズン最下位だった近鉄のコーチだった仰木が監督昇格してはじめてのシーズンで、途中の主力4番打者が大麻不法所持で逮捕された後、中日から移籍したブライアントの活躍などで首位西部に肉薄し、ついに最終戦で連勝すれば優勝、というシチュエーションになったわけですね。そして、第1試合は引退を決めていた梨田昌孝が9回表に奇跡の逆転打を放って勝ち越し、最後は吉田理人・阿波野とつないで第1戦をものにします。

そして23分後に行われた第2試合。8回までリードしていた近鉄は、8回に阿波野がロッテの主力・高沢に打たれ同点となり、9回裏を迎えます。試合時間は3時間30分を超えたところで、阿波野が投げた牽制球でのアウトの宣告を巡って、ロッテの有藤監督が猛抗議。10分以上続く抗議で、球場内は騒然となっていき・・という前段があった試合です。このエピソードをしって、火箱の「語り」を聴くと、もっと「ぐっ」とくるかと思います。

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