グリフィスは王女に手を出して捕縛され、鷹の団崩壊。傭兵団は復活できるか?=「ベルセルク」黄金時代篇9〜11

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に身を売り、蘇った男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの黄金時代篇の第9弾から第11弾。

前巻までで、グリフィスの率いる傭兵集団「白い鷹団」が、敵国チューダー帝国の要衝・ドルドレイド要塞を攻略した功績で、ミッドランド王国の「騎士団」に昇格する中、グリフィスと別れ、孤独の道を歩むことを決断したガッツなのですが、彼が「鷹の団」を離脱している間に、団に存続の危機が迫ります。

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あらすじと注目ポイント

第9巻 グリフィスは王女に手を出し、失墜。そして鷹の団にも討伐軍が・・

第9巻の構成は

髑髏の騎士
果てしなき夜の始まり
堕ちた鷹
夢の終演
闘技会
逃亡者たち
闘者
戦友
告白
傷(1)
傷(2)

となっていて、グリフィスやキャスカたちと別れ、一人、森の中で野宿をするガッツだったのですが、そこで「髑髏の騎士」に出会います。
彼はガッツに「これより一年の後、蝕の刻」と告げるのですが、この「蝕」によってガッツだけでなく、グリフィス、キャスカの運命が大きく変わってくることになります。

一方、ガッツに去られたグリフィスのほうは精神的なショックが大きく、後宮のシャーロット王女の部屋に忍び込んで、彼女と結ばれます。そして、一夜を過ごした後、後宮を出たところで衛兵によって逮捕されてしまいます。このことはミッドランド国王へ報告され、ここからグリフィスの転落が始まります。

ミッドランド国王は、グリフィスを王国の重要な武人として最大限の処遇をするつもりではあったのですが、庶民あがりのグリフィスを王女の婿に、とまでは考えていなかったようです。
グリフィスは王都の居城「ウィンダム城」の牢に繋がれ、1年をかけて拷問死させるよう王命が下り、「鷹の団」の方へは、ミッドランドの国王軍が討伐にむかいます。いかに精強な「鷹の団」といえども、指揮官不在の状態で、国王軍の大軍の前にはいかんともしがたく・・という展開です。

そして、ほぼ1年後、修行の旅を続けていてガッツは、都近くの町で開かれている武闘会に姿を現します。そこで、武闘会を勝ち上がったターバンを巻いた「シラット」という謎の戦士のバトルを挑むのですが、その様子は原書のほうで。ここで、ガッツは初めて「鷹の団」失墜の情報を得たようですね。

このシラットとのバトルは、キャスカがリーダーとなっている「鷹の団」落人部隊をシラットが襲撃したため、再発しています。

シラットを撃退したガッツは再び「鷹の団」の迎え入れられ、ここでキャスカとも和解し、二人はここで結ばれることになるのですが、ぎこちないラブシーンは原書のほうで。

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第10巻 ガッツとキャスカはグリフィス救出に向かうが、異形の集団との戦い勃発

第10巻の構成は

切っ先の火花
ウィンダム潜入(1)
ウィンダム潜入(2)
前夜祭(1)
前夜祭(2)
千年封土
深淵の再会
血路
バーキラカ(1)
バーキラカ(2)
石の王城の花

となっていて、鷹の団に復帰したガッツは、キャスカや昔のメンバーたちとともに、ミッドランド王国のウィンダム城の牢に囚われているグリフィス救出へキャスカと団の精鋭たちを引き連れて城へ向かいます。

シャーロット王女の手引で、ウィンダム城の地下牢へと降りていくのですが、最下層の牢内で見たのは、手足の腱を切られ、舌を抜かれ、皮を剥がれているグリフィスの姿です。
その様子に激怒して拷問役人を刺し殺すガッツだったのですが、それを合図にしたかのように、ミッドランドの守備兵たちがガッツたちの攻撃を始め、城兵との戦闘が始まります。そして、それと合わせて、東方に母国を失った一民族で組織され、暗殺を正業とする武力集団「バーキラカ」の暗殺部隊が送り込まれてきます。暗闇の牢内での異形の暗殺集団とのバトルの様子は原書のほうで。

一方、本拠地に残ったリッケルトほかの鷹の団のメンバーは、グリフィスの帰還を楽しみに野営しているのですが、そこを「魔物」たちが襲います。魔物は髑髏の騎士によって追い払われるのですが、「鷹の団」の多くのメンバーが魔物によって食い殺され・・という展開です。

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第11巻 黒犬騎士団の団長・ワイアルドとの壮絶な死闘

第11巻の構成は

魔犬(1)
魔犬(2)
魔犬(3)
魔犬(4)
狂獣咆哮
惨劇の森
死闘(1)
死闘(2)
甲冑は胸に
飛来者
不死者 再び

となっていて、暗殺集団「バーキラカ」は、ガッツやジュドー、ピピンなど精鋭メンバーの反撃で撃退したのですが、グリフィスの抹殺を執拗に狙うミッドランド王は「黒犬騎士団」と呼ばれる、国中の罪人の中で腕のたち者たちで組織された兵団を派遣します。

ワイアルドという男をリーダとする集団は、途中で出会う民衆を、凌辱したり虐殺したり暴虐の限りを尽くしながら、ガッツとグリフィスを追ってきます。
そして、山中で追いつかれたガッツたちは、応援にかけつけた「鷹の団」のメンバーとともに、黒犬騎士団を迎え撃ちます。戦闘は「鷹の団」優位に動くかと思われたのですが、ここに出現したのが、魔物の姿に変身した「ワイアルド」です。

一旦は、ガッツによって斃されたワイアルドなのですが、一夜明けて、再び蘇り、今度は拷問によってボロボロのままのグリフィスに襲いかかります。グリフィスもっていたベヘリットを奪い、4人のゴッドハンドを呼び出し、再生してもらおうという魂胆のようですが、突如出現した「不死のゾッド」によって引き裂かれ・・という展開です。

ワイアルドはこの後、彼の体から出現した闇に内側に引きずり込まれるように消滅していくのですが、ここらに「闇の世界」の秘密の一端が隠れているのかもしれません。

Bitly

レビュアーの一言

第10巻では、ミッドランド国王に雇われている暗殺集団が登場するのですが、後の巻で「バーキラカ」がアラビア系かトルコ系の勢力を模したと思われる「クシャーン帝国」の暗殺集団として雇われています。ここらから想像すると、この暗殺集団のモデルは、シリアで勢力を誇ったイスラム教のニザール派の「ラシード・ウッディーン・スィナーン」たちが作り上げた「アサシン」たちがモデルだと思われます。
この教団は、山中に楽園のような花園をつくり、里の若者をそこの美女と遊ばせ、秘密の薬を調合して飲ませ、夢心地にさせた上で、花園から追放し、そこに帰りたければある使命を果たせ、と要人暗殺に送り出すという「秘密の花園」伝説あるいは「山の老人」伝説と結び付けられることの多い宗派ですね。
13世紀頃にはシリア・イランで独立政権を形成していたのですが、モンゴル軍によって崩壊させられています。
ただ、政権崩壊後も教団としては残り、現在でもインド、パキスタンを中心に東アフリカ、中央アジアに数百万人の信徒がいるそうです。

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