妖精島でシールケとファルネーゼによって、キャスカは心を取り戻す=「ベルセルク」38〜41

中世ヨーロッパを思わせる、キリスト教に似た宗教が強大な力を持ち、貴族階級と王権が支配する「ミッドランド」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を武器に、悪魔となった上に恋人を陵辱した、かつての盟友への復讐を志して旅を続ける死人から生まれた男「ガッツ」と、自らの国をこの世界につくりあげようと、暗黒の世界に落ちながら「蝕」の模倣によって再生した男「グリフィス」を軸に、剣と悪魔と魔獣が戦う「ダークファンター」シリーズの名作・三浦建太郎「ベルセルク」シリーズの「幻造世界(ファンタジア)篇 妖精島の章」の後半部分をレビュー(単行本第38巻から第41巻)。

【スポンサードリンク】

あらすじと注目ポイント

第38巻 リッケルトはグリフィスと決別し、バーキラカ・ダイバとともに旅へ出る

第38巻の構成は

ー幻造世界篇 妖精島の章ー
人の都
王権神授
万魔殿
別離の橋
夕闇の死客
月下の王都
暗闘
逃飛翔
上陸

となっていて、鷹の都・ファルコニアに到着したリッケルトとエリカは、ルカ姉の宿へたどり着きます。彼女はアルビオン修道院事件で、修道院の外の貧民窟で女の子たちをまとめていた女性ですね。さらに、この宿には、クシャーン帝国で妖獣兵団を指揮していた仙将・ダイバも正体を隠して潜伏しているようです。

そして、リッケルトは国を統べる立場となったグリフィスと会います。彼は、鷹の団の戦死者を祀った「剣の丘」でグリフィスから聞かれていた「同じ夢をみるのかどうか」という答えをするために鷹の都へやってきたのですが、宮殿内の万魔殿内での戦魔兵同士の闘いを見た後の答えは「NO」ですね。

グリフィスへ別れを告げたリッケルトだったのですが、グリフィスの過去を汁人物を野放しにしておくのはまずいと考えた側近の月光の騎士・ロクスによって刺客「夜魔(ラクシャス)」が放たれます。
この後、リッケルトを狙うラクシャスに対して、バーキラカとダイバが敵に回り、リッケルトとエリカと一緒に旅へ出発します。

一方、孤島の海神を退治したガッツたちはパックの故郷・妖精島へ到着します。一見すると穏やかな島なのですが、島に立ち入った者を迷わせ送り返す「結界」が張られていたり、かぼちゃ畑のカカシが突如襲ってきたり、と侵入者を排除する仕掛けがしっかり仕掛けられています。

第39巻 妖精島でシールケとファルネーゼはキャスカの心の復元を始める

第39巻の構成は

ー幻造世界篇 妖精島の章ー
炎の人形
魔女の村
大導師
妖精郷
花吹雪く王
薄闇の荒野
夢の回廊
記憶の欠片

となっていて、冒頭では、妖精島の若い魔術師たちがしかけた防衛陣をくぐり抜け、ガッツとシールケたちは魔術師たちの村へと迎え入れられます。ここで、魔術師たちの長たちから、グリフィスがどうやって現世の中に幽界を導き入れたかを教えられます。

中盤では、ガッツたちは、この妖精島の主である「花吹雪く王」に合うことができるのですが、その正体は、なんと魔術師の長たちの介護をしていた妖精の「ダナン」ですね。彼女から、「夢の回廊」を使えば、キャスカの心がもとに戻るであろうことを教えられるのですが、キャスカがガッツに対して強い脅えを抱いていることからガッツが夢の回廊をくぐることは断念。フローラとファルネーゼに託すこととなります。

そして後半部分で、二人はキャスカの心象世界である「薄闇の荒野」へと潜航します。そこで見つけた棺の中の壊れた人形を元に戻せば、キャスカの心ももとに戻ると思われ、二人はキャスカの過去の記憶を辿っていくのですが・・という展開です。

第40巻 シールケとファルネーゼは「夢の回廊」を通り、キャスカの心を復元する

第40巻の構成は

ー幻造世界篇 妖精島の章ー
屍と針過ぎの森
元凶
最後の欠片
覚醒
木漏れ日の下で
巨人
有明の凱旋

となっていて、前巻に引き続き、シールケとファルネーゼによるキャスカの心の復元が続いています。「夢の回廊」を使って過去の記憶をたどり、キャスコを具現した壊れた人形のピースをうめていきます。

そして最後の欠片にたどり着くのですが、その姿は、二人は知らないのですが、魔と化したグリフィスによって凌辱されたキャスカが産み落とした「赤子」の姿をしています。それは呪詛を宿していることが明らかなのですが、これを壊れた人形の中に戻さないとキャスカの心は元に戻りません。それがキャスカのひどい苦痛をもたらすことを承知で、シールケとファルネーゼは決断を下し・・という展開で、第13巻以来、キャスカの心が復元する瞬間が訪れます。

第41巻 キャスカは心を取り戻すがガッツとの間は隙間風のまま。そして不思議な子供の正体は?

第41巻の構成は

ー幻造世界篇 妖精島の章ー
帝国の黎明
障壁
桜の園
渓谷
幻死
跳猿
朝露の涙

となっていて、冒頭ではグリフィス率いる新王国軍によってミッドランド周辺の「魔獣」たちは駆逐され、王国は徐々にその版図を復活させていっています。しかし、難民の流入も続き、治安の悪化も心配されてくる中、グリフィスは、国中の子供すべてに国民教育を施し、将来的には国民軍を組織することと、難民を軍に編入することを宮廷会議に提案し了承を得ています。
これによって何を企んでいるかは、この段階では明らかになっていませんね。

一方、シールケとファルネーゼによって心を取り戻したキャスカは、「鷹の団」のいた時のような凛々しい姿に復活しているのですが、ガッツをみると、グリフィスに凌辱された記憶が蘇るらしく、いまだにガッツとの仲は修復されていません。

そして中盤以降では狂戦士の甲冑の以前の持ち主を記憶をシールケが呼び覚ましたり、海神の島にいた「小さな子ども」が再び現れ、キャスカに妙に懐いていることがわかります。シールケは、この子供が「花吹雪く王」の化身ではないかと推理していたのですが、これは「花吹雪く王」ダナンによってきっぱり否定されてしまいます。

この後、この子供は、ガッツの狂戦士の甲冑で遊んだり、キャスカと添い寝したり、と彼女の心の中にしっかりと入り込んでいくのですっが、ガッツが見た幻の姿はあの・・・というところで、物語は作者の急死によって中断を余儀なくされます。

レビュアーの一言

41巻最終話の「朝露の涙」は作者がペン入れをした最後の原稿で、いわな作者・三浦建太郎氏の遺稿ともいうべきものなのですが、ベルセルクの物語はこの後も、30年前にベルセルクの構想を聞かれ、以後もストーリーやエピソードを聞かされていた森恒二氏の監修の元、ベルセルクの制作に関わっていたスタッフの方々のよって再開されていますので、以後の展開はそちらのほうで。

「幻造世界(ファンタジア)篇」はホメロスのイーリアスの後の「オデッセイア」のような位置づけかなと思っていた当方は、この妖精島がオデッセイアが冥界へ行くまでに立ち寄る「キルケーの島」ではないか、という推理をしていたのですが、これは残念ながら的外れであったようです。

続編では、妖精島にグリフィスの触手が伸びてきて、キャスカが再びグリフィスの手に落ちて、といった波乱万丈展開になっているようですので引き続きウォッチしていきますね。

【スポンサードリンク】

【電子書籍比較】「まんが王国」のおすすめポイントを調べてみた
新型コロナウイルスの感染拡大がおきてから、一番利用者が伸びたのは、漫画の電子書籍サイトではないでしょうか。それ以来、電子書籍アプリは、書店系から出版社系まで数多くリリースされているのですが、今回は各種の比較サイトでベスト5にはいる「まんが王

コメント

タイトルとURLをコピーしました