時代小説・歴史小説

高田郁

「女衆」から「ご寮さん」へ。サクセス・ストーリーが本格稼働 ー 高田郁「あきない世傅 金と銀 早瀬篇」(時代小説文庫)

大坂の天満を舞台に、老舗の呉服屋「五鈴屋」に女衆として奉公にあがった娘「幸」が商売のイロハを覚えながら、店を大きくしていくサクセスストーリー「あきない世傅」シリーズの第二弾。 前巻では、成長して「女衆」として一人前になり、主人の奥さんでの「...
高田郁

大坂・天満の「呉服屋」を舞台に、女性のサクセスストーリーが始まる ー 高田郁「あきない世傅 金と銀 源流篇」(時代小説文庫)

江戸の小料理屋「つる家」を、様々な新作料理で人気店に仕上げていく女料理人・澪を主人公にした「みをつくし料理帖」など、女性を主人公にした時代小説を世に送り出している「高田郁」氏が今回創り上げた主人公は、大坂の天満の「呉服屋」で奮闘する、浪人の...
西條奈加

お縫の父母の若い頃の「恋物語」は波乱万丈であった – 西條奈加「大川契り 善人長屋」(新潮文庫)

一人をのぞいて住んでいる住民が、すべて巾着切りやら詐欺やらの手練れであるにもかかわらず、裏家業を隠すために表向きは「善い人」ばかりの「善人長屋」シリーズの第2弾。 もめ事を呼び込んでくるのは、長屋で唯一の善人「加助」で、彼が「善行」によって...
時代小説・歴史小説

徳川の天下統一は「文」と「武」だけでは語れない ー 門井慶喜「家康、江戸を建てる」

徳川家康が豊臣秀吉によって、三河・駿府から関東へ領土替えをされたころから、幕府開府のあたりを扱った歴史小説のほとんどは、関ヶ原、大阪冬・夏の陣といった「戦記」ものがほとんどで、徳川三百年から平成の時代まで続く「江戸(東京)」の繁栄の基礎がど...
坂井希久子

「善助」の死の真相はいかに。そして只次郎は家出してどこへ行く ー 坂井希久子「あったかけんちん汁 居酒屋ぜんや」(時代小説文庫)

前巻までで、お妙の元亭主・善助の死が自己ではなく、殺しではなかったのか、しかも、彼の元同僚で今は材木問屋にまで成り上がっている「近江屋」が関係しているのでは、という疑惑が膨らみながらの、「ぜん屋シリーズ」の第6弾である。 【収録と注目ポイン...
時代小説・歴史小説

京の戯作者と美人絵師の恋模様は、彼の過去に復讐されるのか ー 三好昌子「京の絵双紙屋 満天堂 空蝉の夢」(宝島社文庫)

代々、男の子は生まれず、しかも娘は26歳になると突然死する「祟りつき」の家である京都の口入業「縁見屋」の跡継ぎの一人娘・お輪を主人公にした前作「京の縁結び・縁見屋の娘」に続く「京」シリーズの二つ目である。 今巻は「縁見屋」とはちょっと離れて...
今村翔吾

健気な娘「お春」の”くらまし”は成功するのか? ー 今村翔吾「春はまだか ー くらまし屋家業」(時代小説文庫)

前巻で、香具師の親分のもとから姿を「くらまし」たい二人を、何十人もの手下が取り囲む宿屋や、街道筋で目を光らせている道中同心たちの目をかいくぐって「くらます」ことに成功した、堤平九郎、七瀬、赤也の「くらまし屋」三人組の活躍を描くシリーズ第二作...
今村翔吾

江戸から「消えたい」望みを叶えます ー 今村翔吾「くらまし屋家業」(時代小説文庫)

江戸時代の「江戸」は、世界でも有数の大都市で、経済の中心でもあったのだが、富と人が集まって「光」が強いところには、その分、深い「闇」が生まれるのは世の常で、「姿を消してしまいたい」「姿を消さなければならない」事情を抱えた人も、それだけ多くな...
佐々木裕一

信平、京都へ出張するが、やはりそこでも事件が・・ ー 佐々木裕一「公家武者 信平 比叡山の鬼」(講談社文庫)

奥方である紀州藩主・徳川頼宣の娘の松姫の心の傷もようやくふさがりかけたところで、江戸の闇に潜む悪党退治に再び乗り出した松平信平であったが、第一巻・第二巻で、武家を狙う凶暴な剣客や大名や大店の跡目騒動を解決して、その存在感が世に出ると、輪をか...
佐々木裕一

跡目争いがもたらす事件を「信平」がスパッと解決 ー 佐々木裕一「公家武者 信平 逃げた名馬」(講談社文庫)

先巻で、江戸の闇を晴らす役回りに再デビューした、公家出身の旗本・松平信平を主人公とした「公家武者」シリーズの第2シリーズの第2弾。   【収録と注目ポイント】 収録は 第一話 逃げた名馬第二話 悪しき思惑第三話 佐吉を捜せ!第四話 頼母の初...