時代小説・歴史小説

佐々木裕一

公家あがりの剣豪旗本、再び江戸の闇を晴らすため登場 ー 佐々木裕一「公家武者 信平 消えた狐丸」(講談社文庫)

徳川家光の御台所の実の弟で、公家の名門・鷹司家から幕臣となった、松平信平の活躍を描いたシリーズの第二シリーズの始まりである。 前シリーズで、江戸の闇に潜む悪党を、その剣技によって次々退治し、徳川家光、徳川家綱の覚えめでたく旗本に昇進したのも...
西條奈加

「望」くんの料理の腕も、お蔦さんの推理も冴え渡っております ー 西條奈加「お蔦さんの神楽坂日記 みやこさわぎ」(東京創元社)

元芸妓で、まだまだ元気で粋な祖母・お蔦さんと、彼女と同居している、料理上手の「望」くんとが、住んでいる神楽坂を中心におきる、日常の謎の数々を解きほぐしていくという、「お蔦さんの神楽坂日記」の第三弾である。望くんの初恋の相手「楓」ちゃんも無事...
山本巧次

「おゆう」に恋敵が現れ、宇田川は学者先生として江戸へ潜入する ー 山本巧次「八丁堀のおゆう ドローン江戸を翔ぶ」

現代の東京では、元OLのフリーター、江戸では南町奉行所の同心・鵜飼伝三郎配下の小粋な岡っ引きという、東京と江戸の二重生活をおくる、関口優佳ことおゆうの捕物帳の第4弾が本書『山本巧次「八丁堀のおゆう ドローン江戸を翔ぶ」(宝島社文庫)』。 【...
宮部みゆき

百物語も第三作目となり、おちかが遭遇する話も多種多様に ー 宮部みゆき「泣き童子」

江戸・神田で袋物を商う「三島屋」の主人の姪・おちかが「黒白の間」で、訪れる客人から「不思議な話」を、「聞いて、聞きすて。語って、語り捨て」にする「三河屋変調百物語」の第三弾が『宮部みゆき「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」(角川文庫)』。 ...
西條奈加

「正義の味方」の意外な正体と「お縫」の恋の行方は? ー 西條奈加「閻魔の世直し 善人長屋」

長屋の住人のほとんどが故買屋や情報屋、美人局などなど悪事に手を染めているのだが、それを隠すために、皆親切で「善人長屋」と言われているのが、主人公の質屋で故買屋の娘・お縫の父親が差配する「千七長屋。そこに本当の善人の「加助」が引っ越してきたこ...
宮部みゆき

江戸情緒と人情の「宮部ワールド」へようこそ ー 宮部みゆき「堪忍箱」(新潮文庫)

(この記事は2018.10.14にリライトしました)   おなじみの江戸もの。   今回は古い大店(おおだな)にかけられた呪いの顛末や仲の良い幼馴染や長屋の住人が垣間見せる一瞬の闇など庶民の暮らしをなぞりながら、底に流れる暗闇を描いている。...
宮部みゆき

変調百物語は続く ー 宮部みゆき 「あんじゅう」(中央公論新社)

(この記事は2018.10.14にリライトしました) 神田の袋物屋 三島屋の「黒白の間」で、三島屋の姪・おちかを聞き役に始められた変調百物語の第2冊目 【収録は】 序 変わり百物語 第一話 逃げ水 第二話 藪から千本 第三話 暗獣 第四話 ...
宮部みゆき

百物語の聞き手の名手「おちか」誕生 ー 宮部みゆき「三島屋変調百物語 おそろし」(新人物ノベルズ)

(この記事は2018.10.14にリライトしました) 百物語の聞き手 おちか は三島屋の長兄の娘で、実家で忌まわしい事件に会い、その後、この三島屋に預かってもらっているという設定(彼女の「事件」の内容は、「邪恋」でわかる)。三島屋の主人 伊...
宮部みゆき

江戸の怪異の数々はお好きですか? ー 宮部みゆき 「あやし」(角川文庫)

(この記事は2018.10.14にリライトしました) 旧い商家にとりついた魔物の手から、早死した姉に守ってもらった妹の話(「布団部屋」)やかどわかしをして刑死された女の亡霊に狙われる太郎をかぼちゃが救う話(「女の首」)、十年おきに同じ顔の人...
蓑輪諒

常陸の名門・佐竹は「敗れたが、負けない」 ー 蓑輪 諒「でれすけ」

戦国の後期、特に豊臣政権から徳川政権に移行する間の「時代小説」は、どうしても、その舞台が「上方」か「江戸」が中心となることが多いのだが、「うつろや軍師」や「最低の軍師」で、中央からちょっと外れたところの戦国模様を描いた筆者による「東北・常陸...