ミステリー

加藤実秋

クールな若手メンバーを加えて、ますます「Club indigo」 は好調 ー 加藤実秋「Dカラーバケーション インディゴの夜」(集英社文庫)

塩谷、晶、憂夜という30歳を超えた経営陣と、ジョン太、DJ本気、犬マンといった「若手」ホストたちで繁盛していた「Club indigo」であったのだが、夜の本番に加えて、ショーとスィーツを提供する「昼間営業」を始めたところ、「若手」以上に若...
吉永南央

昔なじみとの再会は、家族の自殺の真相へ続く道であった ー 吉永南央「花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ」(文藝春秋)

「小蔵屋」の杉本草という、元気ではあるが、推理力抜群のおせっかいなおばあさんをメインキャストに展開される、「紅雲町」シリーズの第6弾。 はじめにとっかかった出来事があらぬ方向に進んでいって、思いもよらない隠れた事実を暴いてしまう、というのが...
吉永南央

祭りの「山車庫」移転話が転じて廃工場の秘密が・・ ー 吉永南央「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」

紅雲町の「和食器と珈琲小売り」の店・小蔵屋の女主人・杉本草の亡き母親が、仲違いしてしまった旧友に遺した形見の着物をなんとかして、その旧友に届けて、今更ではあるが仲直りさせようとしたことと、小蔵屋の敷地内に、祭りの「山車庫」を移転するという話...
吉永南央

寂れたショッピングモールの改修の陰に何がある? ー 吉永南央「糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ」(文春文庫)

こういったシリーズ物によっては、より大きな世界を揺り動かす事件であるとか、今進行している巨悪の陰謀といった、より大きな謎に向かっていくものがあって、それにつれてメインキャストの性向が変わってたり、他のキャストにメインの座を譲ったりということ...
吉永南央

おばあさん探偵、郷土史に残る捏造事件の謎を解き明かす ー 吉永奈央「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」(文春文庫)

紅雲町の和食器+珈琲小売の店「小蔵屋」の女主人・杉本草をメインキャスト、店の従業員・久美ちゃんをアシスタントに展開されるミステリー、「紅雲町珈琲屋こよみ」の第三弾。 このシリーズは、血なまぐさい殺人であるとか、日本中を巻き込む「巨悪」とかは...
吉永南央

小蔵屋にライバル出現、しかし、本当の事件は・・・ ー 吉永奈央「その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ」(文春文庫)

大観音像のそびえる地方の中核都市で、「小蔵屋」という和食器とコーヒー豆の小売を商う小さな店を営んでいる、70歳がらみの初老の女性、「お草さん」こと「杉本草」を主人公としたミステリーの第二弾である。 ここで「初老の女性」としたのは、このシリー...
佐藤青南

大規模客船火災に立ち向かう、新米女性消防士「蘭」に声援をおくろう ー 佐藤青南「消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生」(宝島社文庫)

女性進出が進んできて、多くの職業では女性の「就業比率」ではなく「女性の管理職比率」が話題になることのほうが多いのだが、未だに、その危険性などから女性の就業比率が少ない職業は厳然として存在する。それは、公務員の中では、消防、警察、自衛官といっ...
森谷明子

田舎の図書館に起こる「ほんわり」とした謎の数々 ー 森谷明子 「れんげ野原のまんなかで」(創元推理文庫)

最近、流行のミステリーは、心理サスペンス的にちょっと陰惨なところがあるものが多いのだが、そうした中で、ほっとさせる風合いのミステリーがこれ。 舞台は、秋庭市という中小地方都市(雪の降り具合とかを考えると南東北か北陸あたりかと勝手に推測。)の...
ミステリー

源氏物語の失われた物語の秘密を推理する ー 森谷明子「千年の黙 異本源氏物語」(創元推理文庫)

「れんげ野原のまんなかで」でほんわりとした図書館ミステリーをものした筆者の源氏物語ミステリー。 源氏物語をテーマにしたミステリーといえば、井沢元彦の「GEN」や柴田よしきの「小袖日記」といったところがあるのだが、こいつはそういう源氏ものとも...
ミステリー

アオヤマくんの「初恋」の結末は”鴛鴦茶”のごとく複雑な味わい ー 岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように」(宝島社)

第4巻は短編仕立てであったのだが、第5巻は従前に戻って長編仕立てと、京都風味が復活している。ただ、今までの巻と違うのは、今の巻のメインキャストは「アオヤマ」くんで、しかも、美星バリスタへの恋模様ではなくて、彼の中学生時代の年上の女性への初恋...