インプットよりアウトプットが大事 ー 樺沢紫苑「学びを結果に変える アウトプット大全」(sanctuary books)

「学び」というと、いかに効率的に学習するか、いかに知識を取得するする時間をつくるか、あるいは、いかに快適に学べる環境をつくるか、といった「インプット」の側面が重視されるもので、書店にいけば、インプットに関するビジネス書は、わんさと積んである。

これに対して「圧倒的に結果を出し続けている人は決まって、インプットよりアウトプットを重視しています」と、アウトプットの重要性を主張するのが本書。

【構成は】

CHAPTER1 アウトプットの基本法則
CHAPTER2 科学に裏付けられた、伝わる話し方
CHAPTER3 能力を最大限に引き出す書き方
CHAPTER4 圧倒的に結果を出す人の行動力
CHAPTER5 アウトプット力を高める7つのトレーニング法

となっていて、筆者によれば「仕事や勉強をアウトプット中心に切り替えるだけで、あなたの自己成長は飛躍的に加速し、計り知れない能力を発揮することができるのです」ということのようで、本書では「TALK(話す)」「WRITE(書く)」「DO(行動する)」の3つの側面からアウトプットの手法やアウトプットをする環境づくりについてのアドバイスがされている。

 

【注目ポイント】

OUTPUTの重要性はわかってはいても、その実践方法やら、ノウハウがさっぱりわからない、というのが多くの人の悩みであろう。本書では、OUTPUTのハードルを超える様々なTipsが提供されているので、キモとなりそうなところを紹介していくと

◯まずは「話す」

最初のハードルは「OUTPUT」って何をいいの、というところ。一口にOUTPUTする、とはいっても今の時代、SNSをはじめいろんな媒体があって、どれからはじめていいか悩む人が多いはず。そんな場合に筆者がまずオススメするのが

「アウトプットが苦手」という人は、どんなアウトプットからスタートすればいいのでしょうか?  まずは、「 話す」ことから始めましょう。
(略)
読んだこと、聞いたこと、自分が体験したこと。それについて、第三者に言葉ではなしてみましょう。
(略)
「感想を話す」ときのコツは、「自分の意見」「自分の気付き」をひとつでいいので盛り込むことです。

ということで、「OUTPUTする」ということを難しく考えて、敷居を自ら高くしていることが一番の問題であるようで、まずは「始めよ」ということである。なので、スマホアプリや登録やら、手間のかかるものは順繰りにとりかかるとして、まずは何もなくてもできる、家族や知り合いに「話す」こと。
もっとも、よりよく伝えるための「方法論」はあって、例えば本書では
①目の間を見る。
②重要なところで1秒、目を合わせる
③目で「想い」を伝える
④話すときも目をみる
といったアイコンタクト手法や「Yes But」「Yes And」「Yas How」といったクッション話法など、紹介されているので、詳しくは本書で。

◯上手な文章を書くコツ

ただ、「話す」ということでは、記録に残る「OUTPUT」にならない。やはり継続的にOUTPUTするには「書く」という分野をなんとかしないといけないわけで、筆者は「ブログ」を勧めている。この時に障害になるのが、文章が下手で書く気がおきない、ということであろう。これに対して筆者は

アメリカのベストセラー作家、スティーヴン・キングは、自らの小説作法についてまとめた『書くことについて』(小学館)の中で、次のように述べています。「作家になりたいのなら絶対にしなければいけないことが2つある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知る限り、その代わりになるものはないし、近道もない」

作家になる方法は、「たくさん読んで、たくさん書く」 しかないということですが、これはそのまま「上手な文章を書く方法」といえます

と「質より量」的なことが処方箋であるようだ。

これは、おそらくは「質」を求めることによるハードルの高さとハードルが高いがゆに、OUTPUTから遠ざかってしまうことを防止するためなんであろうが、たくさん書くためのハードルを超える手法が必要になってくるわけで、そこらのところは

①締切を設けて、書く時間を決めて書く
②構成を決めてから書く
②いつも同じ入力環境を整備する

といったことが解決策として示されている。

◯ひらめく、アイデアを出す手法

最後に、「何をOUTPUTするの?」という根源的な問題については

政治学者ウィリアム・ウォーラスが提唱する「問題解決の4つのプロセス」が、そのまま「ひらめきを得る」プロセスとして活用できます。  まず第1段階は「準備」。たくさん本や資料を読む。ノートやカードに何かを書き出してみる。ブレインストーミングする。チームで議論や討論をする。今、直面している問題や課題と徹底的に格闘することが必要です。  そして、第2段階は「 孵化(インキュベーション)」。徹底的に問題と格闘したら、その問題を放置します。
(略)
この孵化の段階で重要なのが、前の項でも紹介した「創造性の4B」です。徹底的に問題と格闘したあとに、リラックスした時間を持つ。この休息期間は何もしていないようですが、実際は脳の中でデフォルトモード・ネットワークが活発に活動し、無意識のうちに情報の再編、情報の関連付けが行われます。結果として、第3段階「ひらめき」 が生まれるのです。  最後に、「ひらめき」が本当に正しいのか、 理論的、実践的に「検証」します。

といったプロセスを紹介するとともに、筆者が本の構成を考えるとき、いいアイデアがでない、まとまらないときにやっている「カード」を使った手法なんかも紹介されている。このカードを使った手法は、別の機会に詳しくレビューしますね。

【レビュアーから一言】

モノゴトは勉強しているだけではダメ、とはよく言われることなのだが、たいていの場合、知識を得たことで満足して、そこで終わり、ということが多い。
本書の「インプットをしたら、その知識をアウトプットする。実際に、知識を「使う」ことで脳は「重要な情報」ととらえ、初めて長期記憶として保存し、現実にいかすことができます。」という前提にたった、具体的なTipsは、アウトプットの重要性の気付き、実践していこうとする人にとても有効なものばかりである。
一つでも多く、自分にフィットすることを試してみてはいかがでありましょうか。

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