デジタルとアナログの中間点にある「仕事術」 ー 倉下忠義・北真也「シゴタノ!手帳術」(実務教育出版社)

「Lifehacks」や「手帳」のブームというのは時代によって流行り廃りがあるもので、デジタル系が流行したかと思えば、今度はアナログ回帰をしてみたり、と移り変わりが結構ある。

本書は2012年の刊行で、クラウド・ツールに対する熱狂も少々おさまり、さらにアナログのツールも「モレスキン」熱もそろそろ、といった時代を反映してか、アナログとデジタル・クラウドの間を模索する仕立てで、おすすめの読み方としては、アナログ・デジタルの良いとこどりのアイデアのヒントをつかむ、という読み方であろう。

【構成と注目ポイント】

構成は

はじめに 「仕事を楽しくする手帳術」
1 クラウド時代の手帳との付き合い方
2 毎日が楽しくなるほぼ日手帳の魅力とは?
3 目指す未来へナビゲートする、フランクリン式ほぼ日手帳術
4 自分の「記録」を蓄積する、ライフログ式手帳術
5 手帳の機能を(補完+拡張)するクラウドツールたち
おわりに 「終わりなき手帳術の旅」

となっていて、まず注目しておきたいのは

紙の手帳はパラパラと〝時系列〟順に情報をザッピングすることができます。これによって、そこに書いた内容を忘れてしまったとしても、1年という時系列の中で自分が「何をしていたか」を視覚的に捉えながら検索できるようになります

といったところで、この「一覧性」や「鳥瞰性」はいまだにデジタルツールでは不満を覚えるところが多いのですね。ただ、

確かに、複数のクラウドツールを組み合わせて使えば、手帳の機能の大半を代用できてしまいます。言い換えれば、手帳を持たなくても仕事が進められるようになるわけです。実際、私も ほぼ日手帳 カズンが手元になくても仕事を進めることは可能です。  では、カズンを一体何に使っているのかというと先ほどから何度も書いているように〈記録〉を残すため

といったあたりは、DayOneといったライフログアプリも進化してきているので、「紙」の優位性は揺らいでいるような気がしますね。ちなみに当方はDayOneは挑戦してものの挫折し、いまだにiPhoneの「瞬間日記」にメモや写真を記録し、一日の終わりのEvrnoteへアップするというやり方に固執しています。

そして本書の場合、ここから「日次レビュー」「週次レビュー」の具体的なやり方に移っていくのだが、ここらは「GTD」の流行したときの特徴で、今、ここまで丁寧にやるかどうかは、それぞれで考えてくださいね。あまり根を詰めて「レビュー」すると煮詰まってしまうので要注意です。

ただ、「 マスタータスクリスト(自分のやるべきことがすべて書き出されているタスクリスト)」の作成と

日次レビューでは、1日の終わりや始まりに、Inboxに集まっているタスクを再度収集・処理・整理し、プロジェクトリストから次にやるタスクを洗い出して「次にやることリスト」の最新化

と「マスタータスクリストのチェック・更新」は、断然、抱えるストレスの量が減ってくるので、短時間でもいいのでやっておいたほうがよいです。その際は、アナログ・ツールより、スマホのアプリといったデジタル・ツールのほうが当方的にはおススメですね。

このほか「ほぼ日手帳」や「Toodledo」の活用法に多くのページ数が割かれているのだが、ここらは自分の使うノートや手帳、アプリによって「つまみ食い」的な読み方がよいように思います。

【レビュアーからひと言】

スマホがほとんど全ての人が所有する時代になっているので、タスク管理やスケジュール、あるいはライフログといったものも、かなりの部分をアプリでこなしてしまっている人が増えているとは思うのだが、まだまだ「紙」媒体に書かないと落ち着かない、という人は多いと思う。そんな方は、刊行は少し古いが、本書で改めて自分やり方をブラッシュアップしてみてもいいのではないでしょうか。

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