皇伊月の秘められた想いが露わになる ー 河本ほむら・尚村透「賭ケグルイ 9」

一見可憐なイメージながら、実はとんでもないギャンブラーの蛇食夢子を中心にして、夢子が転校当初のギャンブル勝負で負けた後、腐れ縁的に仲間となった、ヤンキー娘・早乙女芽亜里、ギャンブルの才能がほとんどない不運な男子生徒・鈴井を加えた三人が、日本の政財界の有力者の子弟が通学する「百花王学園」を舞台に、学園の統率・支配をめぐって、ギャンブルによる大バトルが繰り広げられる、「賭ケグルイ」シリーズの第9弾。

前巻では、夢子が毒に冒され生死の境を彷徨うという危険をおかしつつも、毒を使ってくる「陰喰」「陽喰」の姉妹の挑戦を早乙女芽亜里のサポートで退けた「蛇喰夢子」であったのだが、今回は皇伊月とともに、等々喰定楽乃のセッティングで尾喰茨と骨喰ミラスラーヴァとの対戦がメインとなります。ただ、ここに、夢子と生徒会役員との対戦で手ひどい敗北を喫した「豆生田楓」が勝負に加わることになって、百喰一族との闘いという側面だけではなく、彼の復活戦の様相も呈してくるのが本巻です。

【収録と注目ポイント】

収録は

第44話 蠢く女たち
第45話 決意する女
第46話 誘惑される女
第47話 裏切りの女
第48話 追われる女
第49話 負けない女

となっていて、争われるゲームは「公共財ゲーム」というものなのだが、要は、手持ちの5枚の銀貨を、入れられたコインが全員に2倍になってリターンされる共通の「税金BOX」と入れられたコインがそのまま自分のものとなる個人ごとに「私財BOX」に振り分けて投入して、自分の私財を増やしていくゲームです。税金BOXに銀貨を入れずにただ乗りしようとするプレイヤーの追放制度を加えたもので、5ターンのうちにコインをどれだけたくさん集めることができるかを競うゲームとなってます(こう書いてもわかりにくいな、やっぱり本書で確認してね)。

このゲームそのものは、実社会でのモラルと公共への貢献のどちらの行動を選択するかといった、心理学やゲーム理論で使われるものであるので、そちらの方面の本で調べてみても面白いかもしれません。

だた、本書では小悪魔・夢子が

ってなことを言うから、

というゲームの本質が明らかになってしまいますね。
で、ゲームの進行につれ、案の定、税金を一枚を払わない「ただ乗り」プレイヤーが出てることになります。誰がただ乗りしているのか明らかにするために、武闘派のミラスラーヴァが荒事をしでかしそうになったり、

さらには、

といった事態が出現してきて、ますますプレイヤー同士の不信を深め、疑惑を膨らまさせる展開になってきます。で、そんな中でさらに、

と、夢子と豆生田が共闘を宣言することでさらに混迷を深めていきますが、これが、「ただ乗り」をしているプレーヤーのあぶり出しのための偽りの共闘であるとは気づきませんでしたねー。
さらに少しネタバレをすると、このゲームの勝利は皇伊月に帰するのですが、勝利して「票」を集めたはずの彼女が会長選挙戦からリタイアします。そこに隠されていたのは・・・、という展開で、少女の「恋心」が可愛らしいです。

【レビュアーからひと言】

夢子たちの勝負と並行して、チェックしておかないといけないのは、副会長・桃喰リリカと早乙女芽亜里の関係ですね。

前巻から芽亜里のどこが気に入ったのか、選挙戦の共闘を申し込まれて付きまとわれているのですが、今回二人の共闘がどうやら成立しそうです。これが選挙戦の行方にどう影響するのか、そして、リリカの目的は何かってことは次巻以降の展開になりそうですね。

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