ギャンブル妖精・蛇喰夢子、ギャンブル学校へ乱入し大暴れ ー 河本ほむら・尚村透「賭ケグルイ 1〜2」

IR法に絡んだ贈賄疑惑やギャンブル依存症など、ギャンブルの対するイメージはあまり芳しいものではないのだが、そんなギャンブルが公然と行われる学校を舞台に、女子高生たちが入り乱れて乱戦を繰り広げるストーリーが展開されるのが、この「賭ケグルイ」シリーズ。

舞台となるのは、日本の政財界の有力者の子弟が通学する「百花王学園」で、ここに通っている学生のほとんどが金持ちのエリートの子弟。なので、彼らには成り上がっていく必要がなく、支配・指導する側に立つことが義務付けられているので、ここで試されるのは、駆け引きや読心、勝負強さといった能力の必要となるギャンブルの才能という設定。このへんは、フィクションながらがギャンブルが珍重される理由をすんなりと盛り込ませていてうまいつくり方ですね。そして、ここに天然系の美少女・蛇喰(じゃばみ)夢子が転校してくるのだが、彼女によってこの学校の「生徒会」を中心とした「社会」に波乱が起きてきて・・・、というのがおおまかな流れですね。

【あらすじと注目ポイント】

シリーズの幕開けは、この蛇喰夢子が学校に転校してくるのですが、いでたちは

といった感じで、可憐さを前面に押し出したキャラ設定となってます。で、彼女が転校してきたクラスを支配する女子高生「早乙女芽亜里」の毒牙にかかるかと思いきや。まさかの「推理力」でクラスメートを抱き込んだイカサマを粉砕してしまいます。

この芽亜里と、彼女に家畜にされていて手下として使われていた「鈴井」を相棒にして、学園を支配する「桃喰綺羅莉(ももばみきらり)」の統率する生徒会とぶつかっていく、という筋立てですね。

まず1巻は、最初の芽亜里とのギャンブルで彼女を破産させた後、生徒会のメンバーに危険人物っぽいということで彼女の能力の探りが入ってきます。その第一に刺客が、大手ゲーム機メーカーのお嬢さま・皇伊月です。

彼女は自社製のトランプを浸かっての「神経衰弱」での勝負を挑んでくるんですが、夢子の抜群の注意力と記憶力の前に惨敗することとなります。この場面では、最後は夢子の泣かされてしまう、高慢なヘタレキャラとして描かれているのですが、シリーズが進むに従って、良い味を出すキャラになってきます。一途な性格の女の子で、当方はファンですね。

この後の二番目の刺客が、伝統文化研究会の部長・西洞院百合子で、

彼女が夢子に挑むのは「生か死か」というサイコロを使った和式ルーレットのようなゲームなのですが。で、この和式ルーレットの、研究会メンバー総がかりでの「イカサマ」を夢子が見抜くところは圧巻です。ただ、この勝負、生徒会長の桃喰が介入し、夢子は勝負に負け、大きな借金を背負い、家畜である「タマ」の地位に陥落することとなるのですが、夢子が全くメゲていない理由には誰もがビックリするのではないでしょうか。

続く第2巻では、この「家畜」の地位に落ちてしまった芽亜里と夢子が、敗者復活をかけて、生徒会が開催する「債務整理大集会」に参加します。

ここでの性格の最悪な男子生徒と繰り広げるインディアン・ポーカー・ゲームでの駆け引きは、かなりハラハラする展開なのですが、この男に奴隷のように扱われている女の子の勇気を与えて、

自立させながら、実は、この男を怒りに我を忘れさせて、最下位に沈める技はとても、川らしい女子高生の技とも思えない切れ味です。

【レビュアーから一言】

ギャンブルを扱うマンガということで「カイジ」を思い起こす人がいると思うのですが、可愛らしい女の子が主人公で、賭け事が重要なアイテムになっているとはいえ、中身のところは、学園を牛耳る勢力に対して、主人公の夢子と、ハグレモノの芽亜里が立ち向かう、という「ヒーロー物」のジャンルであるような気がします。
特に、性格のワルイ奴らが、夢子たちによってボコボコにギャンブルで負けていくところはかなりの爽快感があるのは間違いないです。

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