調子にのる芽亜里に「女豹」聚楽幸子が牙を剥く ー 河本ほむら・斎木桂「賭ケグルイ・双 5」

日本の政財界の有力者の師弟が集まる私立百花王学園を舞台に、学園の支配権を巡って可愛い風貌ながら天然のギャンブラー「蛇喰夢子」が、生徒会長の桃喰綺羅莉などの生徒会メンバーや百喰一族とギャンブルでの闘いを繰り広げるのが「賭ケグルイ」シリーズなのだが、その蛇喰夢子の転校前、夢子の戦友である、早乙女芽亜里が単独で、学園を二分する生徒会とその対抗勢力「善咲会」との間に挟まれながら、双方との闘いを繰り広げる「賭ケグルイ」のアナザーストーリーの第5弾。

前巻までで、学園内に小さいながらも自前の「賭場」を確保し、さらに、クラスで仕掛けられた「愛浦心」からの罠も跳ね返し、クラス内でも一定の地歩を固めた芽亜里なのだが、そろそろその動きを自分の勢力のために使おうと、生徒会のハグレモノの風紀委員長・聚楽幸子が牙を剥き、芽亜里が失意のどん底におとされるのが本巻。

【あらすじと注目ポイント】

構成は

第19話 興じる女
第20話 使役する女
第21話 板挟みの女
第22話 試す女

となっていて、本格的に賭場の運営を始めたところに、生徒会の風紀委員長・聚楽幸子が訪れるところからスタート。実は、芽亜里は聚楽の「自分の跡を継げ」という誘いを「目の前に餌をぶら下げてやれば、何でも言うことを聞くと思っているやつの言うことは聞けない」

と断っていたのですが、それに起因した「芽亜里潰し」の来訪ですね。

で、聚楽はルールに従ってゲームに参加するわけですが、ゲーム相手の挙動や顔色から、持ち札の中身をすべて見抜くという「荒業」で、参加しているプレーヤーに次々と勝利していきます。

で、訪れていたすべてのプレイヤーを負かした後、標的となったのは「芽亜里」です。最初は、聚楽の勢いを止め、

彼女の鼻の穴をあかしたかと思えたのですが

という言葉の後、芽亜里の札はことごとく見破られていき、敗北への一本道ですね。

聚楽の洞察力の前にこてんこてんに蹴散らされ、原資を失ってしまった芽亜里に対して、ここで救いの神がやってきます。第二巻の「婚活ゲーム」でグループを組んだ「久留米くるみ」です。このゲームでの芽亜里の推理と強運を見てから、彼女は芽亜里のまわりをちょろちょろしているのですが、ここで、芽亜里に原資を貸そうと申し出ます。一見、「ホワイト・エンジェルか」と思わせるのですが、彼女の意外な正体は巻の後半のほうで・・・。

そして、再勝負にでた芽亜里は、聚楽が仕込んでいる「イカサマ」を見抜いた、と思って大勝負に出るのですが、本当にイカサマはあるのか・・・という展開です。このシリーズではイカサマを仕掛けるプレイヤーがたくさんでてくるのですが、今回は聚楽幸子の「凄さ」に恐れ入る展開となりますね。

【レビュアーから一言】

猫目で長い髪のクールビューティー・聚楽幸子の美しさと底知れなさが十分堪能できる筋立てになっているので、聚楽ファンの方は見逃してはいけない巻です。

本編の「賭けグルイ」のほうでは姿を見せないので、これから彼女がどうなってしまうのか興味津津なところです。

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