絶対音感のピアニストを打ち負かせ ー 河本ほむら・斎木桂「賭けグルイ・双 8」

日本の政財界の有力者の師弟が集まる私立百花王学園を舞台に、学園の支配権を巡って可愛い風貌ながら天然のギャンブラー「蛇喰夢子」が、生徒会長の桃喰綺羅莉などの生徒会メンバーや百喰一族とギャンブルでの闘いを繰り広げるのが「賭けグルイ」シリーズなのだが、その蛇喰夢子の転校前、夢子の戦友である、早乙女芽亜里が単独で、学園を二分する生徒会とその対抗勢力「善咲会」との間に挟まれながら、双方との闘いを繰り広げる「賭グルイ」のアナザーストーリーの第8弾。

学園一番のイベントの文化祭「繚乱祭」の真っ只中、善咲会会長・壬生臣の差し金で、文芸部潰しにやってきた写真部部長の「六条恵音留」の「盗撮野球拳」の仕掛けを、「つづら」と「雪見」の奮闘でなんとか退けたところに、二人と引き離された「芽亜里」に善咲会幹部「久留米くるみ」の罠がしかけられ、天才ピアニストを相手に聴覚と推理力が試されるゲームに挑まされるのが本巻。

【構成と注目ポイント】

構成は

第35話 はかる女
第36話 傾聴する女
第37話 十重二十重の女
第38話 女の観察結果
第39話 新装開店の女
第40話 女を巡る戦い(前編)
第41話 女を巡る戦い(後編)

となっていて、文芸部での勝負をよそに、芽亜里は、くるみによって、音楽室へいざなわれる。そこではクラシック会研究会会長・瑠璃鳥撫子という女の子が、ピアノを弾きながら芽亜里を待っています。

ただ、彼女は「善咲会」のメンバーではなく、単純に、スタンウェイのピアノを買うための資金集めをやっているようです。どうやら金持ちではあるものの、国産品偏重の親は外国産のピアノは買ってくれない、とのこと。彼女は、スタインウェイで練習さえすれば、芽亜里の親友・花手鞠つづらにコンクールで勝てる、と思っているようです。

で、「瑠璃鳥」が芽亜里と勝負するのは、1円玉と5円玉を使って、円筒形の筒に、それぞれ入れた硬貨の総数を当てる「聴重千金」というゲームです。

筒に硬貨を落とし込む音と重さで、枚数を推理する、というものですね。

「瑠璃鳥」は絶対音感を持っているとうそぶいているので、普通なら勝負を避けるはずなのですが、負けず嫌いの芽亜里は、このゲームで勝敗を競うことを承知します。しかも、最初は勝たせておいて後でガッポリという、ギャンブル場でお決まりの仕掛けにまずは引っかかります。始めの勝負で儲けた芽亜里が引き上げようとすると

という瑠璃鳥が芽亜里が一番怒りそうな挑発をしかけてきます。これににまんまと乗っかってしまって、芽亜里は瑠璃鳥の仕掛ける深みにはまっていくことになります。負けず嫌いもほどほどにしないと大やけどするという典型的な行動ですね。

ただ、負けが混んでからが強いのが芽亜里のスゴイところです。負けが込んで熱くなるところを、トイレに行ったりして気を鎮め、策を練り(トイレに行くのには他の理由もあるようですが)、

と、いつの間にか、瑠璃鳥の仕掛ける「イカサマ」を見抜いての逆転劇が始まります。ここらは、このシリーズ特有の、芽亜里たちに罠をしかけてくるゲスな奴らがコテンコテンにされる大事なところですので、ここから先は本書のほうでどうぞ。

そして、巻の後半部分では、芽亜里たちの文芸部が、善咲会の決起の大障害となることを危惧した、壬生臣の腹心の二人、上下凪と伊吹壮太郎が、文芸部へ、芽亜里たちの能力の見定めにやってきます。

今巻のところは、芽亜里たちの能力に確信が持てず、彼ら自らやってきた、ということですね。この場面で行われるのが、ダイスを使った「リトル・マックス」というゲームです。真面目で真正面から勝負をしてくる「伊吹」と、気まぐれな動きで何を狙っているかわからない「上下」の二人に、芽亜里たちは嘲弄されてしまうことになるのですが、本格的な勝負は次巻のお楽しみですね。

【レビュアーから一言】

あくまで勝負にこだわって、イカサマがバレても、さらにスキをついてイカサマの証拠を消してごまかそうとするなど、勝負にかける執念はとんでもないところが、この「瑠璃鳥撫子」の憎めないところでしょう。

ちょっとネタバレすると、次の9巻では、文芸部の賭場にやってきて、大きな顔でゲームをしているのが彼女らしいところでしょうか。

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