壬生臣葵への「咲良」の想いがほとばしる ー 河本ほむら・斎木桂「賭けグルイ・双 9」

日本の政財界の有力者の師弟が集まる私立百花王学園を舞台に、学園の支配権を巡って可愛い風貌ながら天然のギャンブラー「蛇喰夢子」が、生徒会長の桃喰綺羅莉などの生徒会メンバーや百喰一族とギャンブルでの闘いを繰り広げるのが「賭けグルイ」シリーズなのだが、その蛇喰夢子の転校前、夢子の戦友である、早乙女芽亜里が単独で、学園を二分する生徒会とその対抗勢力「善咲会」との間に挟まれながら、双方との闘いを繰り広げる「賭グルイ」のアナザーストーリーの第9弾。

学園一のイベント「繚乱祭」で学芸部に仕掛けられた「善咲会」の罠をからくも跳ね返した芽亜里たちであったのだが、「決起」の日が近づいてくる中、その邪魔になりそうな芽亜里たちを排除していおこうと上下凪と伊吹壮太郎が、本気で「芽亜里」つぶしに乗り出してきます。

【構成と注目ポイント】

構成は

第42話 美しき女
第43話 共闘する女たち
第44話 解説する女
第45話 五分五分の女
第46話 見降ろされた女
第47話 弱い女
第48話 惑う女たち

となっていて、彼ら二人が来訪する以前に、以前、芽亜里に勝負を挑んで2回も返り討ちにあった「愛浦心」と、前巻で聴覚焦眉をした天才かつ天然ピアニスト・瑠璃鳥撫子が文芸部にやってきています。どうやら二人に完全になつかれてしまったようですね。

ここに、先回のように上下凪と伊吹壮太郎がやってきて、賭場荒らしを始めます。

ただ、彼らのやり口は一発勝負を仕掛けてきて、芽亜里たちを追い込むのではなくて、小口の勝負を何回も仕掛けてきて、だんだんと削っていく手法なのですが、資金力の乏しい芽亜里たちには結構厳しい手ですね。

ここで事態を打開してくれるのが、聚楽幸子で、上下凪・伊吹壮太郎vs三春滝咲良・早乙女芽亜里で、決着をつけるような場を設定をしてくれます。

この勝負のために、三春滝は「美化委員長」の座を賭け代にするのですが、勝負をする目的は、上下凪・伊吹壮太郎の二人を「決起」から降ろさせて、決起によって生徒会長・桃喰綺羅莉によって、婚約者の壬生臣葵がボロボロにやられてしまうことを未然に防止したい、という健気な動機です。この共闘の申し出を

ともちろん芽亜里は承知するのですが、こちらのほうは持ち前の「負けず嫌い」ゆえですかね。

まず上下凪と芽亜里が勝負をするゲームは「フルカウントブラックジャック」というもので、A(エース)からK(キング)までの13枚のカードを使って、それぞれブラックジャックのルールに従った「役」を5つつくり、それを互いに出し合って強弱を競うゲームです。実はこのゲームには最善手というものがあって、それは

というもので、これに気づくことができるかが、勝負の分かれ目と思われているのですが、上下凪はこれを切り崩す「奇手」を繰り出してきます。さて、これに芽亜里がどう対応するかということが焦点になります。ここで芽亜里が繰り出したのは、「最善手をあえてつくらない」という自暴自棄と思われる手なのですが、果たして・・・、という展開です。

次の伊吹壮太郎と三春滝咲良が競うゲームは「限界ダイス」というゲームで

「六」がでそうと思ったら「ストップ」をかけて得点を確定できる、というもの。ただ、今回の肝は「六」の目を出してもダイスは振り続けることがdケイル、という、どこまで「我慢」をすることができるか、そしてどこまで平静にダイスを振り続けることができるか、というものです。聚楽幸子に言わせると

というゲームとのことですが、二人の「壬生臣葵を支えよう」という気持ちの強さを競い合う、チキンレースみたいな様相を呈してきますね。

ここまでして、三春滝が壬生臣を止めようとする理由を彼女は「葵は弱いからだ」と言うのですが、その真相と勝負の行方、さらには巻の最後のほうでいよいよ明らかになってくる「決起の詳細」も本書のほうでご確認を。

【レビュアーから一言】

上下凪と早乙女芽亜里の勝敗を分けたのは、芽亜里によれば

ということで、ここは芽亜里が勝ちを収めるときの常道ですね。ツインテールの天然系の匂いがする上に、直情径行で感情丸出しのせいか、芽亜里は、勝負しとして侮られる場面が多いのですが、それを逆用した勝ち方がでてくるといいうことは、実はかなり「演技」の部分があるのかもしれません。

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