定楽乃と夢子は「蓮の館」で火花を散らすー賭ケグルイ 14

一見可憐なイメージながら、実はとんでもないギャンブラーの蛇食夢子を中心にして、夢子が転校当初のギャンブル勝負で負けた後、腐れ縁的に仲間となった、ヤンキー娘・早乙女芽亜里、ギャンブルの才能がほとんどない不運な男子生徒・鈴井を加えた三人が、日本の政財界の有力者の子弟が通学する「百花王学園」を舞台に、学園の統率・支配をめぐって、ギャンブルによる大バトルを繰り広げられる「賭ケグルイ」シリーズの第14弾。

前巻で、百花王学園の生徒会長・桃喰綺羅莉の発案による「生徒会長選挙」の「大集約」が、蛇喰夢子と早乙女芽亜里の痛み分けで収まったところなのですが、最終決着へ向けての大物同士の直接対決はとどまる気配がなく、今巻では753票を持つ「等々喰定楽乃」と250票を持つ「蛇喰夢子」との直接対決の火蓋が切られます。

「賭けグルイ14巻」の構成と注目ポイント

構成は

第76話 双人の女
第77話 清らかな女
第78話 選ぶ女
第79話 素直な女
第80話 幸せな女
第81話 必勝の女
第82話 眩しい女

となっていて、まず、百喰家一族の新年の集まりで、綺羅莉たちが等々喰定楽乃に、百喰一族の当主の座と等々喰家の取りつぶしをかけたクイズを出すところから始まります。

このクイズには割りが合わないと、定楽乃が拒否するのですが、このエピソードをみても、天才肌で享楽的な綺羅莉と、秀才肌で禁欲的な定楽乃とはもともとそりがあっていないことがわかりますね。
さらに、双子の兄弟でありながら、綺羅莉とリリカも密かに反目しあっていることもわかります。リリカは以前は綺羅莉のやることに疑問をもっていなかったようですが、芽亜里と接近することで精神的な変化が現れているようです。

現在の生徒会長選で一番有力なのは、桃喰綺羅莉なのですが、これを阻止するための票の再集約をするため、定楽乃と夢子がギャンブルを開始することとなります。

行われるのは、五角形の部屋を5つつなげた建物が2つ連結されている、まるで双頭の蓮をつなげたような「双頭蓮館」。

ここで行われるギャンブルは

①各々12ある部屋の好きな部屋に入ってゲームが始まるのを待つ「花選び」
②全員入室後、各部屋に自動的に1から12までの数字が与えられ、それがその部屋にいるプレイヤーの得点となる「花占い」
③全員が一箇所に集合して、他のプレイヤーに点数比べを挑む「花くらべ」

という3つのパーツで構成され

④点数の低いギャンブラーは敗退、退場。
⑤これをプレイヤーが残り一人になるか、残り全員が終了に合意したらゲームオーバー

というものです。
ただし、「花競べ」の前に、自分の得点を非公開で、ほかのプレイヤーに譲渡できる「献花」というルールが別ルールとしてあるので、与えられる得点と度胸だけの「勝負」ではなう、というのがミソですね。

このゲームの勝者を「等々喰定楽乃+等々喰ユミ」「蛇喰夢子+鈴井涼太」を争うのですが、勝敗に関係ないフロックの参加メンバーとして、1票ずつもっているが最終勝者にはなれないNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)の「蕾奈々美」ほか「大犬」「猿ケ谷」「雉岡」の4人が参加してゲームが始まります。このNPCは、オンラインゲームの「コンピュータ」のプレイヤーのようなものですが、それぞれが生身の人間なので、欲もあれば判断間違いもするというのが読めないところです。さらに、外部の圧力にも弱いということも・・・。

で、このゲームに勝つ秘訣は、「献花」のシステムで得点を譲渡してくれる仲間をどれだけ多く集めることができるか、ということで、つまりは4人のNPCからの譲渡得点を集めて、より12点に近くしたほうが勝ち、というところです。

このため、この4人に対して、定楽乃と夢子のぞれぞれの勧誘が始まるのですが、定楽乃は

と作戦をすでに考え抜いているようです。
それは、このNPCたちをゲームに参加させた黒幕の桃喰綺羅莉によって、多額の借金をっ持つ者に出される「人生計画表」を使って「蛇喰夢子は等々喰定楽乃を、自身が脱落することなく、秘密裏に脱落させること」という命令がでていることを見抜き、それをネタに味方に引きいれようとするものですね。
もっとも、渋る「大犬」「猿ケ谷」「雉岡」に対し、ユミが

と新たな交換条件を出してくるのは、全てを自分で責任をとりたがる「長女」キャラの定楽乃には予想外のようです。このユミちゃんの定楽乃への献身の姿は、孤児だった自分を育ててくれたお礼ではあるものの、健気で涙がでてきますねー。

一方で、夢子・鈴井ペアのほうは遅れをとっているようですが、第2巻と第12巻で夢子に救われている「蕾」は自ら「協力者」になることを申し出てくるのですが、人数の面で劣勢なことは間違いなし。さて、この勝敗の帰趨はどちらに・・・という展開です。

読みどころは、館の形が12面ダイスの展開図になっていて、二人のプレイヤーが協力すれば、二人合わせて13点は毎回獲得できることに気づいた「夢子」と「定楽乃」が他のプレイヤーをうまく利用しながら勝負を繰り広げるところなのですが、夢子が、綺羅莉の隠れた命令を逆手にとって、NPCたちを次々と仕留めていき、最後に冷静沈着な定楽乃を守る献身的なユミに仕掛けていくところは圧巻なのですが、この勝負の詳細は原書のほうでどうぞ。

ちなみに、定楽乃VS鈴井VS夢子の決戦となった最終戦で、夢子は鈴井と組もうとせず、

というあたりは、この娘らしいところですね。

さらに、このギャンブルの挿入話として、定楽乃と綺羅莉の一族の因縁話が展開されているので、ここはこれから本格化するであろう、夢子VS綺羅莉、芽亜里+リリカVS綺羅莉の闘いで、重要なキーとなるかもしれないのでしっかり記憶しておきましょうか。

レビュアーから一言ー勝負の行方は「蕾」が握っている

ここで、少しネタバレしておくと、このゲームの勝敗には「蕾奈々美」が実はキープレイヤーになっています。もっとも、定楽乃を自らを犠牲にして守る「ユミ」と違って、第2巻と第12巻では夢子によって窮地を救われたとはいえ、奴隷状態から自分の力で脱出したいと思って、独立意思で動くところが読めないところです。もっとも、今回はそれがうまい煙幕になって、夢子の本当の狙いを覆い隠すことになるのですが・・。

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