ドS姫・マヤはシリアルキラーの真の狙いを読み解くー「ドS刑事 二度あることは三度ある殺人事件」

漆のように黒くつややかな髪を方の下あたりまで伸ばし、日本人形のような風貌と白磁のような肌をもった極めつけの美人な上に、スプラッタ映画と殺人事件が趣味で、警察庁次長という警察官僚のトップクラスの父親の権力を平気で濫用する、ドSのお姫様刑事「黒井マヤ」巡査部長を主人公に、彼女のお守役として抜擢された「代官様」こと「代官山脩介」巡査、彼女の暴力で生命の危機にさらされながらも「マヤ」命を貫く浜田学警部補とともに、連続して起きる怪奇な殺人事件の謎を解く「ドS刑事(デカ)」シリーズの第7弾が本書『七尾与史「ドS刑事 二度あることは三度ある殺人事件」(幻冬舎)』です。

あらすじと注目ポイント

今巻では、勤めているコンビニに毎日のようにやってくる近所の女性「七草華子」に密かな恋心を抱いている「ソウタ」という男性の様子から始まります。この彼女にDVを繰り返す彼氏を片付けて、その後も彼女を守るために監視を続けてる「ソウタ」は、ある日、「華子」が部屋に忍び込んできた「女」に刺殺されるところを目撃。彼女の仇をとろうと激しい怒りにかられた時、彼の心の中に「ゾディアック」と名乗る存在が出現してきて・・・という滑り出しです。

「ゾディアック」というのは1968年から1974年にかけてアメリカのカリフォルニア州でおきた連続殺人事件の犯人と自称する人物が名乗った名前で、犯行後に犯行声明を警察やマスコミに送りつけて自分の仕業であることを誇示した「劇場型犯罪」の有名例ですね。この事件の犯人はいまだ逮捕されていないのですが、クリント・イーストウッド主演の映画「ダーティーハリー」の連続殺人犯・スコルピオのモデルとなった犯罪者でもあります。

で、事件のほうは、「オズさん」と名乗る人物が、SNSの動画サイトで七人の女性の殺戮をこれから始めると犯行を予告し、警視庁捜査一課の刑事「黒井マヤ」に対して、自分の正体を暴いて捕まえてみろ、と投稿したところから始まります。
そして、その予告通り、次々若い女性が斬殺されていくのですが、その連続殺人の犯人当ての手がかりとして、ベートヴェンの楽曲、点字本といったヒントと、彼の配信した映像にはいずれも「小津酸株式会社」の会社広告とかつて「ゾディアック」が犯罪現場にシンボルマークとして残していたイラストが写っていて、という設定です。

少しネタバレすると、この「小津酸株式会社」という会社の英語表記は「Acid OZ」となっていて、この英文字を組みかえると「Zodiac」=ゾディアックの犯行声明となる、というわけですね。

さらに、この「ゾディアック」に関連して、「ゾディアック」に憑依されて日本で連続殺人を行ったと主張している死刑囚・杏野雲という殺人犯がいるのですが、彼は、黒井マヤが初手柄で逮捕した犯人です。「ゾディアック」がらみということで、黒井マヤたちは、死刑囚・杏野雲に彼の推理を問いただすと、彼は今回の事件について、鋭い推理を展開し始めて・・・ということで、天才犯罪者・杏野と「マヤ」との推理合戦が始まることにもなります。

ちなみに、この杏野雲は、「ゾディアック」の犯罪を特定個人ではなくて、DNAに記憶された犯罪傾向が遺伝情報として伝わり、ある一定の性向を持った人物が生まれたときに意識上に発現するもので、古くは古代ローマ時代から起きている、と推理しています。そして、彼によると、アメリカの「ゾディアック」事件の犯人は、彼の通っていた学校の教師を殺した、警察官をしていた彼の父親ではないか、と考えているのですが、これが真実かどうかは巻の最後半部で明らかになるのでお見逃しないように。

そして、「ゾディアック」と名のる殺人鬼がおこしていく女性連続殺人の犯行映像に残されたヒントをこの二人が読み解いていくのですが、導き出した結論は、なんと、冒頭の「七草華子」殺人事件の犯人の顔を示す「モンタージュ」写真。そして、その犯人像は、「ゾディアック」以外の「シリアルキラー」の存在を示すもので・・・といった感じです。「連続殺人」が別の「連続殺人」発覚の糸口になった、といった展開ですね。

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レビュアーから一言

シリーズ開始以来、マヤの恋人候補ながらいまいち煮え切らない代官山、東大出のキャリア警察官僚だが中学生以下の頼りなさの浜田警部補、マヤと同じ女子高出身のバリキャリ警察官・白金管理官と、マヤを引き立てるキャストが増えてきたわけですが、今巻の最後で、ゾデイアックに一時宿主だったシリアルキラー・杏野がその一員に加わりそうな気配が漂っています。普通ならありえないことなのですが、殺人事件趣味のためなら手段を択ばない「黒井マヤ」ちゃんですので、ひょっとすると超法規的なことを次巻までにしでかすのかもしれません。

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