鮎美はいかにして「登山女子」となったかー「山と食欲と私」13

都会でセキュリティ会社の会社員をしながら、休みのときはほとんど「山」に登っているという、「山ガール」と呼ばれたくない「単独登山女子」の日々野鮎美の、単独(ときどき団体)での登山と「山ご飯」を描いたシリーズ『信濃川日出雄「山と食欲と私」(バンチコミックス)』の第13弾。

今巻では、第9巻の「鮎美の富士山リベンジ」の話で再現されていたように、登山とは全く縁のなかった「鮎美」がいかにして「単独登山女子」へと変貌していったかが明かされる巻となっています。

第13巻の構成と注目ポイント

構成は

第136話 鮎美のモーニングルーティン
第137話 鮎美23歳 山ガール時代篇①
     信じられないパンパンパン
第138話 鮎美23歳 山ガール時代篇②
     私の明日に小さな灯火を
第139話 鮎美23歳 山ガール時代篇③
     ハムとゆでたまごの山ラーメン
第140話 鮎美23歳 山ガール時代篇④
     そして御岳山の別れ
第141話 鮎美23歳 山ガール時代篇⑤
     北海道・羊蹄山とあげいも
第142話 鮎美23歳 山ガール時代篇⑥
     成長の道産子おにぎり
第143話 うなキャン
第144話 空駆けるハンバーガー
第145話 雨の奥多摩縦走<前編>
     すりおろし梨ソーダ
第146話 雨の奥多摩縦走<後編>
     野性を覚ますトマ豚汁うどん
第147話 ご期待どおりのどんぐりクッキー

となっていて、「鮎美」が登山に目覚めていった家庭が137話から142話にかけて描かれています。

ここででてくる「山ガール」という言葉は、2009年頃から出てきた言葉で、2010年にはユーキャンの新語・流行語大賞の候補にも選ばれています。もともとは2009年に創刊された「ランドネ」あたりが発端のような気がしているのですが、2012年から九州の各地で「山ガールサミット」も開催されるようになり、「登山」をする若い女性をさす代名詞のようになった単語です。

で、鮎美が登山にはまるようになったのは、大学卒業後、大学時代の友人が職場の人と登山をするのに誘われてご一緒したことから始まります。この時はしっかりと「山スカート」での登山スタイルですね。

そして、ここで同行者がふるまってくれたメスティンで焼かれた「パン」

が登山と「山ごはん」にどっぷりと浸かりこむきっかけとなったようですね。

その後、人見知りで、友人に依存しがちの性格で、一緒に山登りを始めた友人とも疎遠になった後、母親の再婚を報告にいった亡き父の実家のある北海道での羊蹄山登山を通じて、いかにして彼女が、独立心を育てていったかは、ちょっと感動的な「単独登山女子」の誕生物語になってます。

さらに、144話から146話にかけては、新型コロナ下での登山事情を垣間見ることができます。長野の山小屋でアルバイトをしている妻・瀧本サヨリのところへ、」山で「ハンバーガー」をつくる材料を担いで登ってきた夫・瀧本健次郎との久々の夫婦キャンプはそれぞれがソロテントを張るソーシャルディスタンスを保ったテント泊ですし、奥多摩に登山した鮎美も基本は「単独登山」で、雨中にポンチョをかぶっての「トマト豚汁」のつけうどんで、

下山後に偶然出会った同僚・小松原さんとの温泉行も、リモートワークのために久々のリアル再会ですね。

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レビュアーから一言ー新型コロナで「山登り」も変わった

今巻はやはり、新型コロナの影響のためか、鮎美もリモートワークが続いていますし、山小屋で働くサヨリも「マスク」姿で、以前の「山登り」とはちょっと違う光景が広がっていますね。いつもの「やらかし男」鷹桑秀平クンも店外のコーナーで自分で「鰻」を焼き、その蒲焼きをシェラカップに盛った白米に乗せて食すといった、「うな重」のキャンプコーナーを体験したりといった感じです。

今巻は、感染症の拡大したなかでの、山登り・キャンプ事情の記録として残しておくべきでしょう。

ただ、日常生活とは離れたところにある「アウトドア」が、安心安全という面から見直されあ身近になったことと、ソロキャンプや単独山登りとか、今まで「暗イ」と負の側面が強かったものに「正」の評価が加えられることになったのは評価すべきだと思いますね。

ちなみに、この「山と食欲と私」シリーズの番外編として、「山登りガイド」が誕生しています(「山と食欲と私」公式 鮎美ちゃんとはじめる山登りー気軽に登れる全国名山27選ガイドー)。
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