歩美の登山は、今回は「霧島」から「西穂高」へ=信濃川日出雄「山と食欲と私」17

東京のセキュリティ会社で会社員をしながら、休みのときはほとんど「山」に登っているという、「山ガール」と呼ばれたくない「単独登山女子」の日々野鮎美の、単独(ときどき団体)での登山と「山ご飯」を描いたシリーズ『信濃川日出雄「山と食欲と私」(バンチコミックス)』の第17弾。

前巻の後半で九州・鹿児島の桜島近くにあるコテージ風の民宿に長期滞在することになった「鮎美」だったのですが、今巻ではその桜島で噴火と夫婦トラブルに遭遇する話から始まって、鮎美には珍しく、二人の男性の間で右往左往する姿が見られます。

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あらすじと注目ポイント

第17巻の構成は

181話 鹿児島単独ドライブ山路編③
   もうひとりの鮎美と黒い雨
182話 鹿児島単独ドライブ山路編④
   豚味噌おにぎりとそら豆のペペロンチーノ
183話 あみあみのパワフルハンバーグパイ
184話 Take a 竹筒,Let’s ココナッツ赤飯!
185話 飛騨高山〜西穂高編①
   理解不能の飛騨牛にぎり寿司
186話 飛騨高山〜西穂高編②
   何かが始まる西穂ラーメン
187話 飛騨高山〜西穂高編③
   げんこつ飴を分け合って
188話 飛騨高山〜西穂高編④
   鶏ちゃん混ぜごはんと謎の肉
189話 飛騨高山〜西穂高編⑤
   培養肉のステーキ
190話 マナする?〜煤だらけの爺兄〜
191話 感謝のおつまみ出汁茶漬け

となっていて前巻の最後で鹿児島の民宿で桜島の噴火を目撃して慌てふためいていた「鮎美」だったのですが、前半がその決着篇です。
鹿児島がほとんど初めてだった彼女にとっては、大災害級の噴火というイメージだったのですが、地元の人にとってはそうでもなかったようですね。
旅館の女将さんにそのことを教えられ、それが縁で彼女の夫婦喧嘩に巻き込まれていくのですが、その夫というのが、前巻で登場し、焼酎を温泉水で割って黒砂糖を入れた「酎泉」を教えてくれた、濃い風貌の九州男児なのですが、夫婦喧嘩の理由がまたビミョーで・・という展開です。

話の後半で、家でした旦那さんと砂蒸し温泉で出会った鮎美が「今日はお仕事はお休みですか・・?」と聞くと、「サボっておりもす」と答えるところは好きなシーンですね。「休み」と違って「サボった」時の高揚感と背徳感をよくご存知のようで。

中盤では学生時代のバイト仲間に紹介してもらったバイオテック系ベンチャー企業の研究員と西穂高へ一泊二日のテント泊登山をすることに。
もともとは二対二で登山する予定だったのですが、残りの二人が急遽怪我をしたり、用事ができたりというよくある設定ですね。
ここで、まあ恋愛系に発展しそうでそうでないのがこのシリーズの特徴で、相手の男性が登山慣れしているのと、相手のペースに合わせるのが苦手という性格なので、鮎美はほぼ「ソロ登山」と変わらないという状況です。

このほか、前巻で先輩から祖父がひっかかった原野商法の「山」を押し付けられた「鷹桑秀平くん」がキャンプ好きがこうじて山をかっちゃった人、を演じる「イタい」話(「Take a 竹筒,Let’s ココナッツ赤飯!」)や、山中の川で転倒して下着まで濡らしてしまった鮎美の意外なピンチ脱出法(「あみあみのパワフルハンバーグパイ」)、伝説のマナスルストーブの復活譚(「マナする?〜煤だらけの爺兄〜」)が収録されています。

レビュアーの一言

今巻の「飛騨高山〜西穂高編」では、食糧問題の解決や畜産に伴う環境負荷の軽減策として最近話題の「培養肉」が登場します。
培養肉の研究をしている蒲谷は、環境課題の解決というよりも、様々な動物の肉の細胞を組み合わせてつくる「デザイン・ミート」という部分に興味が強いようで、このへんは「培養肉」の倫理的課題を体現している人物のようですね。

培養肉が初めて登場したときはハンバーガー1個あたりの価格が33万ドルかかっていたのものが現在では約10ドルぐらいまでさがっているようで、普及に当たっての課題とされる「価格問題」にも一定の光が見えているようなのですが、これはエネルギー価格の低下によるところが大きいという指摘もあるようです。

いずれにせよ、「植物肉」と並んで、将来の「食問題」として目を話してはいけない話題のようです。

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