放浪の旅娘は恐山でおばけに会い、鮎美は鹿児島の「甘み」に出会う=「山と食欲と私」16

東京のセキュリティ会社で会社員をしながら、休みのときはほとんど「山」に登っているという、「山ガール」と呼ばれたくない「単独登山女子」の日々野鮎美の、単独(ときどき団体)での登山と「山ご飯」を描いたシリーズ『信濃川日出雄「山と食欲と私」(バンチコミックス)』の第16弾。

前巻では、夫婦で信州の山小屋で働いている瀧本さんを訪れ、久々の再会に喜ぶのもつかの間、高級登山グッズの盗難犯をつかまえたり、山小屋の食料庫で保管されていた化石のような食品を掘り出して食する姿を見たのですが、今巻では久々の放浪の美人旅人・黒蓮さんが「恐山」で出くわした怪異や鮎美の九州のドライブ&登山旅の前編が収録されています。

あらすじと注目ポイント

構成は

第170話 青森・下北半島〜恐山編①
     大間のマグロと味噌貝焼き
第171話 青森・下北半島〜恐山編②
     恐山冷水と賽の河原にて
第172話 青森・下北半島〜恐山編③
     恐山さ行ぐ君を送って
第173話 雪中の旨辛おでん
第174話 電熱ベストで雪山ケーキ
第175話 スタミナ野沢菜焼きうどんと瀧本夫婦の雪板遊び
第176話 代用のミックスコーヒー
第177話 俺たちのシャベル焼肉
第178話 大根とアンチョビのピリマヨドッグ
第179話 鹿児島単独ドライブ山旅編①
     韓国岳と黒豚角煮まんじゅう
第179話 鹿児島単独ドライブ山旅編②
     甘すぎる酎泉と桜島

となっていて、まず前半部分では、現在、車で日本中を旅している放浪の美人旅人・黒蓮さんが恐山で出会った出来事です。
今回、黒蓮さんは、本州最北端の「大間崎」へ来ているのですが、ここのキャンプサイトへ泊まっているときに、マグロ柄の寝袋にくるまって震えている年齢・職業不詳の旅人「まこりん」を保護します。

この黒蓮さんたちが出会ったキャンプサイトは「大間崎テントサイト」という大間崎の駐車場に隣接した無料のキャンプ場で、予約の必要はなく、炊事棟もコイン式の利用で4月終わりから10月まで開いている上に、周囲の食べ物屋からのテイクアウトもOKというアウトドア派にとってはありがたいキャンプ場ですね。詳しくは大間の観光情報サイト「大間ワイドアップ」を参照してくださいね。

大間崎テントサイト | 大間町観光協会
本州最北端のキャンプ場。大間崎の駐車場に隣接しており、周囲の食べ物屋さんでテイクアウトもできるので、とても便利。炊事棟、公衆トイレを完備しています。

そして、ここで知り合った「まこりん」を恐山へと連れて行くのですが、恐山愛に溢れつ彼女の正体は・・というところは原書のほうで。

中盤のところは、鮎美の実母の再婚相手の実家の裏山での雪中のウサギ観察や雪の山中でスポンジケーキを使ったケーキ作りや瀧本さんの冬遊びの数々が紹介されています。

後半は、溜まっていた有給休暇をまとめて取得しての、鮎美の南九州をドライブ&登山旅が描かれます。まずは霧島連山の韓国岳から始まって、鹿児島へと向かっていくのですが、ここで食しているのが黒豚角煮まんじゅう、豚足の漬け焼き、鹿児島鶏のごて焼き、鳥刺しというラインナップ。
作中で鮎美は「味付けが濃くて、とにかく甘い」と評しているのですが、たしかに、鹿児島の味噌や醤油は甘いのが特徴とよく聞くところです。これは南国で温暖な気候なので、他の地域より汗もかき、カロリーを消費するので、それを補給するために甘くなった、という説があるのですが、果たして真相のほうはどうでしょうか?

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レビュアーの一言

中盤の「俺たちのシャベル焼肉」では、あの「鷹桑秀平」くんのシャベルを使った焼き肉パーティーの様子が描かれています
この「シャベル」と「スコップ」の用法には東日本と西日本で違いがあって、東日本では大型のものを「シャベル」、小型のものを「スコップ」というのですが、西日本ではその逆のようです。これでいくと、今回、秀平くんの行った原野は東日本のどこかだろう、と推測されるところです。

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