ブックレビュー

ブックレビュー

元バリキャリ娘が「神使」見習いの小狐に憑かれてのドタバタ劇 ー 柏てん「京都伏見のあやかし甘味帖 おねだり狐との町家暮らし」

彼氏には捨てられ、仕事では失敗プロジェクトの責任をとらされて自主退職を迫られた、バリキャリ女子「小薄れんげ」が、失意の上で選んだ先は古都「京都」への逃避行、といったところから始まる、御当地ものファンタジーである。 その逃亡先の「京都」で出会...
ブックレビュー

中洲に現れる不思議な屋台が心の凝りを溶きほぐす ー 篠宮あすか「あやかし屋台なごみ亭 1 金曜日の夜は不思議な宴」

「屋台」っていうのは場所を問わず、売りものがラーメンであろうとおでんであろうと、はたまたフレンチであろうと、妙な吸引力をもっている存在であることは日本国中の共通理解に間違いない。客の吸引力の強い「屋台」の中でも、九州・博多の中洲の屋台は最強...
成田名璃子

若き女性シューズデザイナーは謎解きに奮闘する ー 成田名璃子「不機嫌なコルドニエ 靴職人のオーダメイド謎解き日記」

プロのホテルマンは洋服ではなく、靴を見て客の質を評価する、という話があるぐらい「靴」が、その人の品格を表すものであるらしく、その中でも「ビスポークシューズ」といわれる、熟練の職人の手によって最初から最後まで、客の注文どおりに靴の部品からつく...
成田名璃子

ホームレス女子、がら空きの朝ごはん食堂を再生する ー 成田名璃子「ハレのヒ食堂の朝ごはん」(ハルキ文庫)

単身赴任をしていると、面倒なのが「朝ごはん」が結構悩みのタネで、ファーストフード店の朝食メニューも充実してきてはいるのだが、毎日となると変化をつけるのにも限界があって、「日替わり朝ごはん」なんていうのを出してくれる定食屋を探し出すのが、「幸...
出口治明

「児童書」は「大人」の必読書でもある ー 出口治明「教養は児童書で学べ 」(光文社新書)

「子ども」に物事を教えるというのは意外に難しいもので、余計な夾雑物や邪心があると、子どもはしっかりと見抜いてしまうもの。これは「本」の場合も同様であるらしく、本書によれば、 いい児童書は、無駄をすべて削ぎ落としたうえで、ていねいに作ってある...
畠中恵

「廃仏毀釈」の因果が明治になって復讐をはじめる ー 畠中恵「明治・金色キタン」(朝日文庫)

明治の二十年代、銀座にある派出所に勤務する「滝」と「原田」の二人の警察官を主人公にするシリーズの第2弾。第1弾の「明治・妖モダン」は江戸から明治に時代が移る中で、こっそりと人間の世の中へ忍び込んでいた「妖」たちが、その姿をそろそろと現してく...
畠中恵

明治の女性も強かった。沙羅ちゃん、世界へ雄飛する ー 畠中恵「若様とロマン」(講談社文庫)

警視庁の巡査となった、元旗本の長瀬健吾とその友達の若様たち、横浜の居留地育ちの西洋菓子職人・皆川真次郎、成金の金持ちの美人でお侠なお嬢様・小泉沙羅たち、明治時代の元気いっぱいの向こう見ずな若者たちが活躍する「若様」シリーズの第3弾。 今回は...
畠中恵

元旗本の若様、巡査教習所で大暴れの毎日 ー 畠中恵「若様組まいる」(講談社文庫)

若様組まいる   posted with ヨメレバ 畠中 恵 講談社 2013年07月 楽天ブックス   「アイスクリン強し」であっけらかんとしたデビューをした、元二千石の旗本の若様・長瀬健吾たちをメインキャストにした「明治の若様組」シリー...
畠中恵

元旗本の若様たち、明治政府の”巡査”となる ー 畠中恵「アイスクリン強し」(講談社文庫)

アイスクリン強し posted with ヨメレバ 畠中 恵 講談社 2011年12月 楽天ブックス   維新後に巡査となった、元旗本の跡取りで組織する「若様組」のリーダー格「長瀬健吾」と、旗本家柄ながら孤児となり横浜の居留地で育った「皆川...
畠中恵

「明治」になっても闇に潜む「妖」は江戸と同じ ー 畠中恵「明治・妖モダン」(朝日文庫)

明治時代を舞台にした小説というと、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」や「翔ぶが如く」といった歴史小説か、梁田風太郎さんの「明治断頭台」シリーズや坂口安吾さんの「勝海舟」を主人公にした「安吾捕物帳」といったところが目立つところで、本書のような幻想...