火星と木星の間の謎の惑星は、人類誕生の秘密を解き明かす ー 星野之宣「星を継ぐもの」

壮大な宇宙SFのストーリーテラーである「J・P・ホーガン」の原作を、ヤマタイカや宗像教授シリーズなど歴史SFの描き手・星野之宣がコミカライズしたのが本作『星野之宣「星を継ぐもの1〜4』(ビッグコミックSP)。

【あらすじと注目ポイント】

時代的には21世紀の後半、2030年代にエネルギー問題が解決された後、国連の「国際平和委員会」が世界中の武器という武器を買い上げたことによって、紛争や軍事衝突がなくなった世界が実現されている。そして、アメリカ軍など各国の軍隊は、宇宙開発事業団の宇宙軍として再編されている、という設定になっている。

この世界が、月面で5万年前の宇宙服を来た「現生人類」と同じ顔貌をした「ヒューマノイド」のミイラが発見されることによって、月が生まれた経緯やアストロベルトが形成されて原因、そして人類の進化が始まったわけなど、太陽系と地球の人類の秘密に関わる謎解きに発展していく、といった筋立て。

月面で見つかるのは、こんな様子のもので、地球のものとはちょっと姿が違いますね。

そして、この宇宙人の発見にやたら干渉してくるのが、「国連平和委員会」というやつで、この委員会は、世界の富の多くを所有する財閥、しかもかなり古い時代から続いてきた金持ちたちで構成されている、まあ、「いかにも」というところですね。

さらには、この「オーパーツ」的なものの発見はこれだけにとどまらず、木星の第三衛星・ガニメデで今度は百万年前の宇宙船が発見されて、とあれとあれよという間に、謎が複数出現するのが、いかにも「ホーガン」流というところで、この謎が、火星と木星のアストロベルトが古代は「惑星」で大戦争によって破壊されたとか、月は実は地球の衛星ではなく、この古代惑星の衛星であったとか、その規模がどんどんデカくなっていくので、ここらは頭を柔らかくしてついていきましょう。

もっとも、ガニメデに残されていた宇宙船に乗っていたモノと同種族の宇宙人が異空間から突如出現したり、

平和委員会の黒幕っぽいのも宇宙人らしいのだが、これがネアンデルタール人そっくり、とかしてくるので、ここらでSFの奇想天外さについてこれるかどうかが試される所ですね。

まあ、話のほうは人類の祖先・クロマニョン人とネアンデルタール人との五万年ごしの因縁の争いが現代に持ち込まれて、現生人類と彼らの間で、虚々実々の情報戦が展開されたりとか、アクションシーンも満載であるので、まさに星野ワールド炸裂であります。

【レビュアーから一言】

アマゾンの書評の中には、原作との整合性についてあれこれ言う意見もあるのだが、コミカライズ行為そのものが原作を、漫画の作者が読み砕いて描くものであるのだから、ここはあまりとやかく言わずに、星野ワールドを堪能したほうが得というもの。
人類誕生の謎から、太陽系の謎、そして古代の宇宙人まで、SF要素がコテコテに盛り込んでありますので、SFファンや星野之宣ファン以外もしっかり楽しめるものに仕上がっています。

原作はこちら

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