「賭ケグルイ 13」ー己を操ろうとする者に、夢子と芽亜里が抗う

賭ケグルイ

一見可憐なイメージながら、実はとんでもないギャンブラーの蛇食夢子を中心にして、夢子が転校当初のギャンブル勝負で負けた後、腐れ縁的に仲間となった、ヤンキー娘・早乙女芽亜里、ギャンブルの才能がほとんどない不運な男子生徒・鈴井を加えた三人が、日本の政財界の有力者の子弟が通学する「百花王学園」を舞台に、学園の統率・支配をめぐって、ギャンブルによる大バトルを繰り広げられる「賭ケグルイ」シリーズの第13弾。

前巻で、生徒会長の座をかけてくりひりげられていた「生徒会長選挙」が桃喰綺羅莉の発案の、大量票をもつ者たちがトーナメントで票を賭けて勝負する「大集約」の結末編です。

【構成と注目ポイント】

構成は

第70話 あの女
第71話 不動の女
第72話 怖れる女
第73話 女達の意志
第74話 巻き込む女
第75話 ハーベストの女

となっていて、決勝の相手は、蛇喰夢子と早乙女芽亜里に間で争われることになります。今まで互いに協力し合いながら戦いをしてきた二人がここで決着をつけることとなるのでしょうか。

「決勝戦」で争うゲームは「じゃんけんポーカー」。若干ルールは違いますが、これは、蛇喰夢子がこの学園に転向してきたときに、クラスを支配していた芽亜里を、その地位から叩き落とした「投票じゃんけん」のアレンジ形です。

ただ、今回使うデックは、ここまでの試合で使われたものを使うので、カードの傷とかもそのまま。カードの特徴を覚えこんでいる夢子と芽亜里にとっては、中身を半分さらしているような状態での勝負で、その分、駆け引きが重要な役割を果たしてきます。

夢子の転校以来、ともに「ミケ」に落ちたり、共同して這い上がって、生徒会メンバーをコテンコテンにしたり、と同志のように戦い抜いてきた美少女二人の、腹の探り合いはドキドキさせる展開です。

ギャンブルの実力では、夢子に劣る芽亜里は強気・強気で勝負を進めていきます。

芽亜里の強気の攻めに押されて、第1ターン、第2ターンと負けをきっしつつも、ゲームの緊張感そのものを楽しんでいる様子で

と邪気のない笑顔を見せるのが彼女らしいところですが・・・・。
ただ、この「笑顔」に黙されてはいけないのが「蛇喰夢子」という女の子で、この「大集約」の影で、密かに進められている「等々喰定楽乃」の企みを打ち砕くことに照準を合わせられています。

「等々喰定楽乃」の企みというのは、この「大集約」の勝負で彼女が胴元になって生徒の「票」を賭けたギャンブルをしかけて、自らのもとに票を集約しようというものです。

この企みに対して、夢子はどういう反撃を試みるのか、そして、真剣勝負をしている芽亜里との勝敗は・・・といった感じで、「大集約」のトーナメントの内と外との双方での熱い戦いが繰り広げられていくことになるのですが・・・、という展開です。最後のほうの示し合わせてはいないが、互いの「力」を認め合う二人が、自分たちを操ろうとしているものへ無意識のうちに立ち向かっていく姿は爽快感がありますね。

【レビュアーから一言】

このトーナメントの結果、生徒会長選挙の有力候補として残ったのは、桃喰綺羅莉、桃喰リリカ、蛇喰夢子、早乙女芽亜里、そして等々喰定楽乃の五人。今まで、この勝負の外にいて参加者の戦いを陰で操っていた桃喰綺羅莉、等々喰定楽乃も実戦の場に引きずり出されそうなのですが、これは次巻の展開のようですね。

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