内藤了「東京駅おもてうら交番 堀北恵平 EVIL」=恵平は通り魔と蛇の憑きものに立ち向かう

信州の山間の村から東京へ上京し、警視庁に就職した「東京駅」大好きの、新米女性警察官・堀北恵平(通称「ケッペー」)が、東京駅近くの丸の内西署で研修中に遭遇する怪奇事件の謎を、50年以上前の「うら交番」の警察官のアドバイスを受けながら解いていく「東京駅おもてうら交番」シリーズの第5弾が『内藤了「EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平」(角川ホラー文庫)』です。

前巻では、女子中学生の出血死事件に端を発した死んだ胎児を引き取る闇サイト事件を捜査したのですが、今回は結平の勤務する東京駅おもて交番の前でおきる通り魔事件とその陰に隠れる殺人事件の謎を解き明かします。

あらすじと注目ポイント>恵平は通り魔と蛇の憑きものに立ち向かう

構成は

プロローグ
第一章 東京駅おもて交番
第二章 東京駅おもて交番まえ通り魔事件
第三章 ワカミヤサマと心の臓
第四章 東京駅うら交番
第五章 妄信殺人
エピローグ

となっていて、プロローグの「永田刑事篇」のところでは、誤って若い警察官を殺してしまった彼が、その死体を農機具小屋でバラバラにして、川や墓地の投棄していく様子が描かれます。

ただ、簡単に隠匿できるはずもなく、川に投棄した胴体が見つかってしまってバラバラ殺人事件として捜査対象となったり、農機具小屋の持ち主の孫の男の子に見つかってしまい、この子供を絞殺してしまうなど、だんだんと追い詰められていきます。そこに現れたのが、ゴシップ記事を専門にしている雑誌記者の「明野」という老人で、彼は永田にその犯行を知っていることを匂わせた上で、奇妙な提案をしてくるのですが・・という展開です。

一方、本篇のほうでは、結平は警察学校の初任補修過程を修了して見習いを脱して、丸の内署の地域総務課配属となり、「東京駅おもて交番」勤務となっています。人生で初めて会社支給の「名刺」というものをもらい、嬉しくてあちこちの知り合いに配って回っている様子が初々しいですね。

正式に交番のお巡りさんとなって張り切って働く結平なのですが、彼女が同僚の平野刑事と「うら交番」に迷い込んでからすでに9ヶ月あまりが過ぎ、うら交番に迷い込んだ警察官は1年以内に命を落としている、という「1年の期限」の残りも三ヶ月余りとなっています。

このため、結平たちは、柏村巡査の遺族を訪ね歩き、孫娘から、彼が残していた捜査資料や日報のノートなどの記録を譲り受け、結平、平野、鑑識の桃田の三人で三等分して中身を調べることとになるのですが、そのうちの桃田の分担から封筒に入った、油紙に包んだ毛髪と爪が見つかります。この毛髪と爪のDNA鑑定を行ったところ、奇妙な事実が明らかになるのですが、詳細は原書のほうで。少しネタバレすると、現代の事件との関連性がでてきて、うら交番へのタイムスリップにも関連してくるネタにつながっていきます。

で、今回のメインの事件は「おもて交番」の前で起こります。

岡山から上京して大きな荷物を抱え、道に迷っている老女に、彼女が目指している「白蛇神社」への電車の乗り換えを説明している時に、ボサボサ髪の若い男性が交番前の人通りの多い交差点を通りかかります。その姿を見た老女が「あー・・・いかん」「ありゃ、ワカミヤサマがついとるじゃ」という言葉を残して立ち去った後、その若者が手に縛り付けた刃物を振り回し、通行人に対して見境なく切りかかっていきます。

結平たち駆け付けた警察官によって取り押さえることができたのですが、多くの死傷者を出す大惨事となります。この犯人の男は取り押さえられた時、「何人死んだ、何人だ」と叫ぶなど、「通り魔殺人」の典型ですね。

そして、事件はこれだけでは終わりません。通り魔事件の後、交番の近くで風呂敷に包まれた忘れ物が見つかるのですが、その中には木箱に入れられ、油紙と和紙で包まれた人間の「心臓」が入っていて・・という展開です。

この心臓の持ち主は誰で、その目的は?通り摩殺人の犯人と関わりがあるのか?といった感じで展開をしていきます。ちなみに、今回「うら交番」で謎解きのヒントを出すのは、柏村巡査ではなくで、前巻で出会った、結平の若い頃のおじいちゃんですね。

さらに、結平は現代から過去に迷い込む「うら交番」のタイムスリップがあるななら、過去から現代に迷い込む逆の「タイムスリップ」もあるのでは、と思いつくのですが、ここからは次巻以降のネタとなるようです。

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レビュアーの一言>品川にある「白蛇神社」のモデルは?

今巻の事件の重要人物である、紫色の服をきた老女の目的地は、品川区二葉にある」白蛇神社」なのですが、モデルはおそらく鎌倉時代に創建され、白蛇大神や蛇窪龍神を祀る「蛇窪神社」のことかと思われます。

蛇は脱皮をすることから再生・復活を表し、財運や病気平癒の御利益があるとされているのと白蛇と龍神が祀られていることから「巳が辰」(身が立つ)ということで、立身出世の願いもかなえていただけるようですが、神社のHPには、今巻のような蛇の憑きものを祓うといった記述は見当たりませんでした。

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